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江戸時代から味を繋ぐ、京都・錦市場『千枚漬本家 大藤(だいとう) 麩屋町本店』

冬の京名物として愛されている千枚漬が生み出されたのは、江戸時代の終わり頃。その考案者が創業した漬物専門店は、160周年を迎えた今も、一子相伝で味を守り続けています。

千枚漬の生みの親が創業

訪日外国人で賑わう錦市場から、麩屋町通をほんの少し南へ。京町屋の風情を色濃く残す貫禄ある店構えから、長い歴史が伺えます。

こちらの創業は慶応元年(1865)。初代にあたる大黒屋藤三郎さんは、元々は江戸時代終わりに京都御所で料理方を務めていた人物。今や誰もが知る京漬物の代名詞・千枚漬の考案者として、歴史にその名が刻まれています。

『大藤 麩屋町本店』外観
2025年に創業160年を迎えた老舗です。初代から文字を拾って付けた屋号は大藤(だいとう)と読みます。
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『大藤	麩屋町本店』店内イメージ
店内には店の歴史を伝える記事や看板が飾られています。
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名物の千枚漬は一子相伝

冬が旬の甘く真っ白な聖護院かぶらを御所の白砂に、緑鮮やかな壬生菜をキュッと結んで吉祥の意味を持つ松に見立てたというのが、こちらの千枚漬の始まり。透けるような薄さも、繊細な味付けも、当時のままだそうです。

「下漬け3日、本漬け3日、計6日間かけて作ります。味付けは塩や酢などごくシンプルですが、その配合や漬け込みの匙加減に長年の勘が要りますね。この味を出せるのは、私だけです」と、5代目にあたる山﨑茉莉さん。「いずれは息子にも作れるようになってもらわらないとね」と、微笑みながら一子相伝で味を守り続けています。

『大藤 麩屋町本店』の千枚漬
千枚漬(袋入)1188円。贈答用の箱入りは1296円~。千枚漬が買えるのは、10~3月頃だけです。
『大藤 麩屋町本店』の店内
『大藤 麩屋町本店』の店内イメージ
店内に飾られている可愛らしい粘土アートは、山崎さんのお姉さまの手作り。あくまで趣味でされているそうで、残念ながら非売品です。
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壬生菜やセロリなど品揃え多彩

看板商品の千枚漬は冬だけの季節商品ですが、店内には常時30種前後が揃っているのでご安心を。赤しば漬や半割大根などの定番のほか、塩だけを使ったあっさり味のきざみみぶ菜、息子さんが考案したという玉ネギの醤油漬け・お玉ちゃんなど気になるものばかりです。

「春になったら新玉ネギを使います。夏なら万願寺唐辛子や山科ナス、トマトがおいしいですよ。千枚漬以外にも季節ごとの商品がたくさんあることも、もっと知っていただけたら嬉しいですね」と山﨑さん。

自由に詰め合わせて発送してもらうことももちろん可能。季節感ある贈り物にもおすすめです。

『大藤 麩屋町本店』の半割大根
半割大根648円は、青首大根を縦に割った浅漬け。昆布の旨みが大根の甘みを引き立てた素朴な味わいです。
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『大藤 麩屋町本店』の赤しば漬など
梅酢の酸味がまろやかな赤しば漬540円。きざみみぶ菜475円は白ご飯に混ぜ込んでも。カツオの風味が利いたごんぼ540円は酒のつまみにも最適です。
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『大藤 麩屋町本店』のせれりなど
シャキシャキ感が心地よいセロリの浅漬・せれり540円は隠れたファンが多いそうです。秋冬限定の赤かぶこうじ漬648円、ワサビの辛みが利いたながいも756円。
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