“自家製発酵もん”がユニークな京都・河原町五条『六条院拓磨』

奈良漬け風味の筋子やカブラ糀漬けのほか、ウスターソースまで手作り!締めのご飯には自家製のカラスミやイクラの醤油漬けが登場。保存食ラブな森拓磨さんが繰り出す個性派コースに、夢中になる人が続出中です。

謎めいた外観も演出のひとつ

京都の河原町五条を南に下がると右手に現れる、コンクリート打ちっぱなしのクールな建物。窓もなく中が一切見えないスタイリッシュな造りに不安を抱くかと思いますがご安心を。中に入ると店主・森拓磨さんが笑顔で出迎えてくれます。「謎めいた雰囲気にドキドキするでしょう?堅苦しそうに見えて、店主は優しい。そんな嬉しいギャップを狙っています」と森さん。独特のもてなしは、入店する前から始まっています。

『六条院拓磨』外観
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『京料理 六条院拓磨』店主の森拓磨さん
店主の森拓磨さんは1981年京都生まれ。京都の有名料亭などで日本料理の基礎を学んだ後、2018年に独立を果たしました。
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自家製発酵もんが大活躍のコース

「和食は発酵食品や保存食品の宝庫。その素晴らしい技術と食文化を伝えたくて」と目を輝かせる森さん。その言葉通り、全10品前後から成るコースは、自家製の“発酵もん”が大活躍です。

独立前から仕込んでいたという梅干しは、ご飯のお供としてだけでなく、造りに添える煎り酒や梅醤油などの調味料にも活用。先付に登場したヒラメ昆布〆のねっとりした旨みに感動していると、「そちらは奈良漬けの床に漬けた筋子を合わせています」。嬉しそうにネタを明かします。

コース料理の揚げ物に派手な装いの蟹クリームコロッケが登場するだけでも驚きますが、こちらのウスターソースが、またもや自家製。「野菜の糀漬けを使って作ると、なんとも言えない深みが出るんですよ」。屈託ない笑みに、保存食作りが好きで堪らない気持ちが伺えます。

『六条院拓磨』の先付・ヒラメ昆布〆
先付のヒラメ昆布〆は、自家製の筋子とカブラ糀漬けと共に。横に添えているのは、菊花入りのカブラ蒸し。
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『六条院拓磨』の蟹クリームコロッケ
海老芋コロッケの上に、カニ身とカニ味噌ソースをのせた独創的な蟹クリームコロッケ。自家製ウスターソースと豆乳風味のあんを絡めながらいただきます。
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締めのご飯はワガママ大歓迎!

「最後までインパクトのあるコースにしたくて」と、鉄鍋で炊く締めのご飯は最低でも4種類の食べ方をスタンバイしています。しかも、「選べない方は、ひと口ずつ全部でも対応しますよ!」と泣けるひと言付きです。

まずは白ご飯をそのまま。それから、自家製カラスミや自家製のイクラ醬油漬けをのせて…。「あ、今日はすっぽん茶漬けもありますよ」。口福すぎる提案に悩む必要なし。とことん甘えて満腹になるのが、この店を楽しみ尽くす最適解です。

『六条院拓磨』のカラスミご飯
カラスミは目の前で振りかけるパフォーマンス付き。お米は丹波産コシヒカリ。店からすぐの「市比賣(いちひめ)」神社境内の湧水で炊いています。
『六条院拓磨』の卵黄&チリメン山椒ご飯
卵黄とチリメン山椒という組合せがまたニクイ提案。
『六条院拓磨』のイクラ醤油漬けご飯など
振り柚子をしたイクラ醤油漬けは濃厚ながら爽やか。ちなみに、味噌汁の味噌も自家製です。
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