神戸・元町『鮨 島本』に、鮨を心ゆくまで楽しむ新コース誕生

「せっかくなので鮨でお腹いっぱいになってもらえたら」。鮨職人としての目利きと技が光る神戸・元町の『鮨 島本』。新たなディナーコースに、店主の想いが溢れています。

「もっと鮨を食べてほしい」、想いを形に

神戸・JR元町駅から歩いて3分ほどのところにある『鮨 島本』。店主の島本哲也さんは、東京・新橋に本店を構える『鮨処 順』の神戸店で江戸前の技を学び、神戸市中央卸売市場内に店を構える『まるも』、ホテルオークラ神戸の『寿し はま磯』で腕をふるったのち、2016年に自らの店を開きました。

『鮨 島本』外観
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『鮨 島本』内観
鮨職人として歩み始めるまで、建設業に携わっていた島本さんのこだわりが随所に詰まっている店内。吉野檜の一枚板が使われたカウンターの美しさにも背筋が伸びます。
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経歴にも裏打ちされた島本さんの素材の目利きの力と確かなにぎりの技術に加え、コースの合間に供されるアテの数々が多彩だと評されてきた『鮨 島本』でしたが…。
「自分自身、鮨が好きだからこそもっと神戸の人に鮨を食べてほしいという想いがありました。その気持ちに正直に、より鮨に特化したディナーコースを始めました」と島本さん。これまで提供してきた鮨とアテが楽しめる25000円のコースに加え、にぎり15貫を堪能できる16500円のコースをスタートさせました。

『鮨 島本』調理風景
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食べ進めるごとに感動を呼ぶ15貫

新たなコースは季節の野菜料理に鮨15貫、そして茶碗蒸しと赤だし、デザートが付くにぎりに特化した構成です。コースをいただく前にぜひ知ってもらいたいのが『鮨 島本』のシャリのこと。近年赤酢のシャリも人気ですが、こちらで使うのは神戸の鮨屋では使われることも多い銀酢を用います。梅やゴマなど旨みが出る素材にまろやかで優しい酸味の銀酢を注いで寝かせ、味に深みが加わった鮨酢をご飯と合わせてシャリを仕上げます。

にぎりは、イカから始めるのが島本さんの流儀。塩をパラリ、すだちをキュッと絞ったピカピカのイカ。口に運ぶと舌触り滑らかでネタとシャリが一体しつつほどけていくにぎりに感動…。「ネタとシャリの一体感やシャリの食感を感じていただきやすいのがイカなんです。ここから始めることで1貫重ねるごとにおいしさを感じていただけると思います」。

『鮨 島本』イカ
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この日は他にも車エビ、マグロ、ハマグリなどが供されました。瀬戸内の好漁場を擁する土地であることも、神戸で鮨屋を営む魅力だと語る島本さん。近郊の漁師が店までネタを届けに来ることもあれば、築地や東北・九州など全国各地からも新鮮なネタが集まります。

『鮨 島本』車エビ
スッと目の前に置かれる鮨を頬張ると、1貫ごとに新たな感動が。淡白なネタ、味の強いネタ、脂のしっかり乗ったネタ…出す順序にも15貫通して楽しめるよう、細やかな島本さんの心遣いが光ります。「ぜひ日本酒とどうぞ。青森の地酒・田酒はじめ、いろいろと取り揃えています」。酒器はガラス工芸作家・市川知也さんの作品をズラリと揃えています。
『鮨 島本』マグロ
『鮨 島本』ハマグリ
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『鮨 島本』酒器
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職人のアイデアが光るスペシャリテ!

にぎりに特化したコースだけに、コースの緩急が必要だと考えた島本さん。アテはなくとも満足してもらえるようにと思案して生まれたのが“スペシャリテ”でした。にぎりのスタイルにこだわらないアイデアが光るスペシャリテは、この日は焼き白子のまぜずし! 大振りのとらふぐの白子をじっくりと焼き目をつけてシャリの上に乗せ、ポン酢を含ませた大根おろしごとお客さん自身が自由にまぜていただくのも斬新。自分自身で鮨を完成させる楽しさも島本さんの創作意欲も鮨欲を満たしてくれる、驚き満載のディナーコースです。

『鮨 島本』白子のまぜずし
小さなうつわで供される白子のまぜずし。豪快に混ぜると、クリーミーな白子とシャリが一体化。シャリの銀酢の香りと酸味が少し立って、これもまた美味です。コースのシメとなる黒みつのプリンも名品!
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