神戸・不動坂『IO RASSIC』の、奇をてらわないのに記憶に残るイタリア料理

地元の人が通う小さな飲食店が軒を連ねる、神戸・北野の不動坂。店主自ら畑に通う新鮮な野菜を取り入れるイタリア料理店『IO RASSIC』の料理は、飾らない素朴さと裏腹な力強い旨みに驚かされます。

畑の採れたて野菜

2025年秋でオープンから丸14年。「いつの間にか年月が経ちましたが、何も変わらないですよ。初日の気持ちでずっとやってます(笑)」とは、店主の宮田光基さん。メニューも大きく変えず、西脇にある実家の畑で採れた野菜を中心に、兵庫県産の食材をベースにした素材を生かした料理を手がけています。

「ここ数年の変化といえば、これまで父に任せていた畑を僕も手伝うようになったことでしょうか」。そう言って、とれたての野菜を見せてくれました。

神戸・不動坂『IO RASSIC』の野菜
ニンジンやカブ、菜の花など、この日は15種ほどのラインナップ。なるべく無農薬で、ちょっと変わった野菜やハーブも育てているそうです。
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毎週実家まで車を走らせて畑仕事をしているという宮田さん。実際に土に触れて季節を感じ、成長を見守ることで以前よりも素材を大切にしたいという想いが強くなったと話します。

自然豊かな西脇でのびのびと育った野菜の味を堪能するならシンプルにソテーがおすすめ。じっくりと火を通しながら濃厚な甘みをジワジワと凝縮させることで、個性豊かな野菜そのもののポテンシャルが最大限まで引き出されています。

弱火で長時間焼いて仕上げるため、忙しい時間帯は提供が難しいことも。もしオーダーできたらラッキー!

神戸・不動坂『IO RASSIC』の自家菜園の野菜ソテー
夜のメニューから、自家菜園の野菜ソテー。2000円前後〜。
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確かな目利きでこだわる、夜のお肉メニュー

夜のお肉メニューには「黒田庄和牛(くろだしょうわぎゅう)」や、知人の猟師が仕留めた西脇の鹿肉なども登場。鶏肉なら多可郡の「播州百日どり」を使うなど、確かな目利きで素材そのものにもこだわります。

神戸・不動坂『IO RASSIC』のロースト
夜のメニューより、黒田庄牛のロースト わさびのソース。アラカルトの場合は5800円〜。
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「黒田庄和牛」は黒田庄町で育てられた血統書付きの但馬牛のこと。後にその多くが神戸ビーフとなるため、肉質は最高級。抜群の火入れで柔らかく焼き上げた肉からは噛み締めるたびに肉汁が溢れ出し、旨みをダイレクトに堪能できます。実家で育てる米を使った付け合わせの豆ごはんもホッと和むポイント。

お気軽なパスタランチも!

アラカルトやコースでしっかりいただけるディナーとは異なり、平日限定の気軽なパスタランチもあり。

神戸・不動坂『IO RASSIC』のパスタ
前菜盛り合わせとパン、飲み物がセットになったパスタランチ2200円。
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パスタは2種から選ぶことができて、写真は小ダコと菜の花のスパゲッティ。驚くほど柔らかいタコはユズでマリネしてからサッと湯通しするなど、手間を惜しまぬおいしさをお得にいただくことができますよ。

神戸・不動坂『IO RASSIC』の店内
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店名のイオはイタリア語で「自分」、ラシックは日本語の「らしく」をもじったもの。
「おかんのごはんが一番おいしいなと思うんですよ。素朴やのにやたら旨い、そういうのが一番いいなと」。ホッとできて、忘れられない。そんなおいしさこそ、お店の“らしさ”なのかもしれません。