“ちょい飲み”できる日本料理店。大阪・天満橋『寧』

コースを予約して、となるとお腹の空き具合もお財布も整えていかねばなりません。かといって割烹はちょっと敷居が高い。でも居酒屋じゃなくて日本料理を楽しみたい。
そんな気分にピッタリのスタイリッシュな空間で、店名通り丁寧に手が掛けられた日本料理を味わえます。ガチガチの割烹料理より、ちょいと面白い創作も入った感じ。しかも気の張らないプライズソーンという、一番欲しかった使い勝手の良い一軒。女子の一人飲みも似合う『寧』をご紹介。

花を飾った小さな額が看板代わり

大阪・天満橋からちょっと南へ、坂道を上がる途中。花をあしらった額に「寧」の文字が。小さな看板は、慎ましすぎて見過ごしてしまいそう。扉の内は、器のギャラリーかしらと思うほど、素敵な陶器の食器が並んだ棚が。長いカウンターの奥には、テーブル席もあり、広やかな空間です。
そんな中、竹瀬篤宣(あつのり)さんと香織さんご夫婦が穏やかな笑顔で迎えてくれます。

寿司屋に生まれた竹瀬さんは、日本料理を7年学んだ経験を活かして、「ちょい飲みもできるし、会席コースもある、使い勝手のいい店が好き」と、ご自身が行きたい店を創りました。2011年に開店して以来、ご近所さんが2~3品摘んで行ったり、遠方からの女性グループがコースを予約してきたり、思い思いのスタイルで、楽しんでいます。

大阪・天満橋『寧』外観
天満橋から南へ。店は暗越奈良街道に面しています。
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大阪・天満橋『寧』カウンター
ご店主・篤宣さんと香織さんご夫婦。
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日本の節句や旬を取り入れた八寸

コースの価格設定は、6000円とお手頃。しかも、ごはんやデザートは要らないと言う方に、先付、八寸、椀物、向付、その他一品という5品のミニコース4000円も用意。アラカルトもあるので、ミニコースに好みの一品をプラスする人も多いとか。
竹瀬さんは4つの季節をさらに6つに分けた暦、二十四節気ごとに献立を考案。旬の食材をふんだんに取り入れながら、日本の文化も感じさせるちょっとオシャレな和食を創出します。たとえば、ミニコース、コースどちらにも供される5月の穀雨の八寸をご紹介しましょう。

大阪・天満橋『寧』八寸
八つ橋の上には、柏の葉の中にタケノコのお寿司、矢羽根に見立てたレンコンの蒸し煮など。目も楽しませる伝統的な本格日本料理。酒は和歌山の「カラクチ紀土」の純米吟醸酒。グラス500円。
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八寸は古典的な和食の仕事をこまやかに施して登場です。
5月と言えば端午の節句。鯉のぼりを意識して鯉の甘煮や、タケノコの寿司は柏の葉でくるんであります。鎧に見立てた沢蟹の素揚げは、甲羅はパリリと、カニミソはしっとりと仕上がっています。沢蟹が川辺の砂利に遊ぶように煮豆を添えて。大根とニンジンは、紅白手綱という伝統の手法で。生麩は菖蒲色と、縁起物で構成されています。一つ一ついわれを想いながら味わえば、一層楽しくいただけます。

大阪・天満橋『寧』煮物
こちらは伊勢赤鶏の酒塩煮 緑茶オイル掛け。柔らかく煮込んだ鶏もも肉に緑茶の香りを閉じ込めたオイルを添えて。口の中で緑茶の青い香りが広がる。
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ちょっとオシャレな創作料理も

大阪・天満橋『寧』うにバター
「寧の瓶あてシリーズ」。小瓶にうにバター880円。バゲット付き。シリーズはほかに、酒盗チーズ、オマール海老味噌クリームなど。もしも残ったら、持ち帰り可。
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大阪・天満橋『寧』うなぎのサンドウイッチ
「うなぎのサンドウイッチ」800円。ウナギのかば焼きを食パンで巻いて。キュウリとガリが爽やか。かば焼きのタレと青のり山椒で。
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アラカルトには、酒のアテもズラリ。中でも人気は、「うにバター」。塩ウニをバターと合わせたオリジナルの逸品です。ウニの旨みとバターのコクが溶けあって、頬が蕩(とろ)けそう。たっぷりバゲットに塗っていただきます。
「日本酒にもワインにも焼酎にも合うんですよ!」と香織さんの言葉通り、本当に良き酒のアテです。

締めには、これまたユニークな「うなぎのサンドウイッチ」などいかがでしょう。ウナギのかば焼きを食パンで巻くなんて、どこから発想が湧くのでしょうか。巻き簾でギュギュっと巻いてあり、面白い食感です。 香織さんがセレクトする日本酒もグラス500円~と実にリーズナブル。つい飲み過ぎてしまいそうです。大川沿いを川風に吹かれて、酔い覚ましにお散歩もいいですね。

大阪・天満橋『寧』花さくら
奥さんの香織さんは、酒担当。日本酒は常時12種ほど。料理に合わせつつ、味わい、産地は幅広くセレクト。
大阪・天満橋『寧』内観
丹波篠山の杉山陶房「涓々窯(けんけんよう)」に竹瀬さんがデザインして作ってもらった器などが、さながらギャラリーのように展示。料理にも使われて登場。
大阪・天満橋『寧』入口
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