鴨肉や馬肉を満喫できる個性派肉割烹、京都『子鴨』

しっとりジューシーな鴨の西京焼きや馬肉のステーキなど、さりげなく工夫を凝らした肉料理が充実。京都の繁華街ど真ん中にありながらも隠れ家感満載の肉割烹は、お一人様にも宴会にもおすすめの穴場です。

鴨肉と馬肉、京野菜の三本柱

京都の繁華街・河原町三条の東隣に潜む細路地の、ちょうど真ん中あたり。店の前に置かれた存在感ある看板が、いかにもおいしい隠れ家の雰囲気を醸し出しています。

2013年にオープンしたこちらは、その看板にも書かれた「京野菜」「桜肉(馬肉)」「鴨肉」の3種をテーマにした、ちょっと珍しい肉割烹です。

『子鴨』外観
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「クセがなくて旨みのある熊本産の馬肉、品は良いけど力強い旨みがある鴨肉、どちらも京料理との親和性が高いんですよ」と、若干マニアックな肉をセレクトした理由を語る店主の青木泰樹さん。

祇園の京懐石店などで培った和食の技法に、総料理長まで務め上げた大阪の馬焼専門店『けとばし屋チャンピオン』で学んだ肉の知識や技術を重ね合わせ、独自のメニューを生み出しています。

『子鴨』店主の青木泰樹さん
店主の青木泰樹さんは1982年京都生まれ。店内の看板‟馬い鴨“は京都市内で和食店を営むお父様の直筆だそうです。
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‟漬けない“鴨肉の西京焼き

料理は締めのご飯ものまで含めて、単品が常時30品前後。京都・宇治から仕入れるブランド鴨「京鴨」を使った鴨肉料理の中でイチ押ししたいのが、西京焼きです。白味噌を酒やみりんでのばした漬け床に肉や魚の切り身を漬け込んでから焼くのが一般的な作り方ですが、青木さんの作る西京焼きは、まったく漬け込みません。

漬け込まない理由は、「身が締まってかたくなり、勿体ないから」。その代わりに鴨ロースにウイスキーをスプレーでシュッとひと吹きして風味付け。30分ほどおいて味を馴染ませてから焼いた鴨ロースに、白味噌ソースを絡めて仕上げます。

フワリと漂うウイスキーの熟成香と、まろやかな白味噌ソースが大人っぽいニュアンス。穏やかに肉汁が溢れ出す鴨肉の旨みがたまらない逸品です。

『子鴨』の京鴨西京焼き
京鴨西京焼き3400円。周りに散らされたマグロ節パウダーを付けると、より旨み豊かに。
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ひと味違う馬肉ステーキ

馬肉は付き合いの長い熊本の生産者から。様々な部位を楽しめる馬刺し盛合せも良いのですが、ぜひ試してほしいのがステーキです。独自の低温調理法でキレイなロゼ色になるよう優しく火を通してからサッと焼き上げ、昆布だしを利かせた特製の熟成醤油ダレを絡めています。

しっとり滑らかな舌ざわりで、噛むごとに馬肉ならではのパワフルな旨みが口に広がります。

『子鴨』の馬肉ステーキ
馬肉ステーキ3900円。部位はその日によって変わり、この日はカイノミ。
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『子鴨』の馬刺盛合せ
馬刺盛合せ3800円は熊本産の甘醤油で。昆布締めしたロースのほか、カイノミやコーネ(たてがみ)など5部位を味わえます。
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手の込んだ野菜サラダもお忘れなく

3つ目の柱、京野菜はブランドの京野菜ではなく、‟京都周辺の野菜“。「良いものが手に入るので」と、京都を中心にお隣滋賀からも、厳選して取り寄せています。

その野菜のおいしさをひと通り味わい尽くせるのが、野菜サラダです。メニュー名だけ聞くと普通ですが、想像以上に手が込んでいます。

人参やゴボウ、菊芋などの根菜類は頃合いをはかりながら干したり寝かせたりして、味を凝縮させてから使うのが青木さん独自のスタイル。スナップエンドウはサッと5秒茹でるだけに留めて食感を生かす一方、サツマイモやジャガイモは30分じっくり茹でて奥から甘みを引き出すなど、野菜ごとにアプローチを変えて、個性を際立てています。

『子鴨』の野菜サラダ
野菜サラダ2400円は20種以上の野菜を楽しめる内容。それぞれ適度に味付けされていますが、お好みでポン酢ドレッシングなどをかけても。
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日本酒は「地酒を楽しんでほしい」と、京都産と滋賀産のみで常時20種ほど。ワインはイタリアとフランスを中心に、肉に合う飲みごたえあるものを中心に揃えています。

カウンターでアラカルトをつまみながら酔いしれるのも乙ですが、7900円~14600円まで5段階用意されているコース料理も魅力的。テーブル席を貸し切れば、最大7名まで利用できますよ。

『子鴨』カウンター席
カウンター席の後ろには、寝かせ中の野菜たちが並んでいます。
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『子鴨』テーブル席
テーブル席は通常6名までですが、テーブルをつなげれば7名まで座れるようになります。
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