日本酒党ならわざわざ訪れたい“今里の星”、『大阪まんぷく堂』

中華居酒屋として始まったのに、店主が日本酒にハマり、日本酒に合う料理を創意工夫するうち、どんどん和食がおいしく進化しているユニークなお店です。リーズナブルなプライスゾーンで、日本酒が進みすぎるほどおいしいアテが続々と登場すると、日本酒党にはつとに有名。繁華街からは外れたそんな“今里の星”をご紹介しましょう。

創業20年目のリニューアル

「たぶん昭和初期」に建てられた木造2階建ては、創業20年を機に2024年秋、大幅リニューアル。古民家風の店内は、すっきりとした和風モダンといった雰囲気。バーを思わせるおしゃれなマホガニー製のカウンターを中心にテーブル席もあり、飛騨の木工家具の椅子は座り心地抜群です。

創業は2003年。店主の芦田哲夫さんは、中国料理店で長らく修業していた方で、当初は中華風居酒屋としてオープンしました。ところが、お酒のイベントに参加するうち、大阪の居酒屋パワーに触発されて、すっかり日本酒党に。そうしておいしい日本酒を揃えて、日本酒に合う料理を創意工夫。今では、おまかせコースは別名“酒肴コース”として有名になり、予約が取れないほどの人気ぶりです。

大阪・今里『大阪まんぷく堂』店主
店主の芦田さん。今里に店を開いたのは、「繁華街でやる予算がなかったから。最初のうちは移転も考えてました。でも今は、ここまでわざわざ来てもらえるのが嬉しいので」と、この地で大々的なリニューアルを決意。
大阪・今里『大阪まんぷく堂』外観
10

自由な発想でユニークな一品続々

おまかせ9品のコース一本を用意(食事=ごはんもの・デザートをカットした7品もあり)。たとえばある秋の日の1品目は、ワタリガニの柿酢がおしゃれなグラスで。かと思えば、織部の角皿の上に緑の丸い物体が。これは、蒸して裏漉(ご)した栗でウニを包んで、アオサノリを塗して揚げた一品「栗とウニのアオサ揚げ」。栗とウニだなんて不思議な組み合わせですが、「イガイガ同士です」と芦田さんはとぼけ顔で笑わせます。

大阪・今里『大阪まんぷく堂』柿酢
色づいた柿の葉を載せたグラスにて。ワタリガニの柿酢。
大阪・今里『大阪まんぷく堂』アオサ揚げ
緑の丸い物体は、栗とウニのアオサ揚げ。クセになる味わい。
10

おまかせコースのメインは酒肴盛り

大阪・今里『大阪まんぷく堂』酒肴盛り
ある秋の日の酒肴盛り。店名が刻印されたパリサクの最中の中はまったりした鶏レバー。鮭の南蛮漬け、茹で落花生、タコの旨煮など。
10

そして、コースの後半に登場する「酒肴盛り」。秋の彩りを映したそれは、呑めない人でもテンションが上がりそうです。定番の鯖寿司に、コンフィにしてカリカリに焼いた子持ち鮎や、四方竹の中にエビの真丈(しんじょう)を詰め、さらに揚げたものなど、芦田さんならではの面白い工夫が随所に光る数品が、美しく折敷に載って供されます。
椀物は、サンマのつみれを種に、ゴボウや白ネギ、菊の花をあしらって。昆布とかつお節のだしに、サンマの中骨から取っただしを加えてあるので、旨みが深く、汁物なのに酒を呼びます。

大阪・今里『大阪まんぷく堂』椀物
サンマのつみれを椀種にした汁物。
10

日本酒ペアリングもスタンバイ

吞まずにいられない料理が続々と登場。そこで気になる酒は。。。
日本酒をメインに60種が常備。何を選ぶべきか悩んだら、店主が本気で合わせたペアリングをどうぞ。前述の酒肴盛りには「ひやおろし3種飲み比べ」なんて楽しい趣向も。飲みすぎ注意と言われても飲み過ぎてしまうお店です。

大阪・今里『大阪まんぷく堂』日本酒
大阪・今里『大阪まんぷく堂』カウンター
10