京都・西院『旬菜中華 喜鳥』の口福すぎる4000円コース

気さくな町中華に見せかけて、その腕前は有名ホテル仕込み。名物の黒酢豚はもちろん、紅茶で燻した自家製鴨ロースやフカヒレスープなど渾身の一品を、優雅なコース仕立てでいただけます。

あの人気中華が西院で再始動

京都・祇園で名を馳せた後、とある縁に導かれて2019年に桂へと移転。その後も遠来の客が引きも切らない大人気の中国料理店が京都市内へと舞い戻ったのは、2023年末のこと。新天地に選んだその場所は、路面電車の甲高い音が鳴り響く、西院駅のすぐ近くです。

「独立から10年を間近に、自分一人だけでも目の届く範囲で、ゆっくりもてなせる店をやりたくなって」と、おっとり話す店主の山口忠之さん。紫色の暖簾がかかる格子戸を引くと、中は厨房に面したカウンター4席とテーブル1卓のみ。おいしい調理風景を目の前に食事を楽しめる、気さくな空間になっています。

『喜鳥』外観
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『喜鳥』店主の山口忠之さん
店主の山口忠之さんは1972年京都生まれ。市内ホテルで19年、祇園で7年と四半世紀かけてとことん中華を学んでから独立を決めた堅実派です。
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「小さな店ですから、お一人様でも色々味わっていただけるように」と、料理は昼夜共に季節替わりのコースが基本です。ベースとなるのは、山口さんが得意とする広東料理。豚の角煮やクラゲの酢の物などの前菜盛合せから始まって、フカヒレ入りの上湯(シャンタン)スープや揚げ物、甘味まで7品前後をいただける贅沢な内容。お昼なら4000円からいただけます。

『喜鳥』の前菜盛合せ
料理はすべて昼4000円のコースから。この日の前菜盛合せは、豚の角煮、クラゲの酢の物、生のザーサイでした。
『喜鳥』のフカヒレスープ
この日のスープは、幸運にもフカヒレ入り。季節によってカニやアオサ海苔など、味も具材も替わります。
『喜鳥』の大根餅
この日の点心は大根餅。紅茶で燻した自家製鴨ロースをのせた、リッチな仕立てです。
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名物の黒酢豚は健在!

全6種類揃えるコースすべての主役を張るのは、ツヤツヤと光る黒酢の酢豚。『喜鳥』ファンを瞬く間に増やした、開業時からの名物です。

サクッと歯切れ良く揚がった豚肩ロースが快感的なおいしさ。味の深みの秘密は、肉に絡む濃厚な甘酢ダレ。黒酢をベースに、バルサミコ酢でコクを、米酢でまろやかさを加え、果実酢の華やかな香りと甘味でバランスを取っています。

さりげなく混ぜ込んだ生麩のぐにゅりとした食感もポイント。食感のコントラストを付けることで、食べ飽きないよう工夫しています。

『喜鳥』の黒酢豚
コース終盤に登場する黒酢豚は、もっちりとした中華パン・花巻(はなまき)付き。「渾身の甘酢ダレも余さず味わってほしい」という山口さんの想いの表れです。
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19時30分以降は‟蒸し料理“タイム

2025年の夏からは、19時30分以降限定で‟蒸し料理“のアラカルトを始める予定だとか。「中華料理では上湯スープを作るときはもちろん、肉や魚も蒸す技法が山ほどある。ですから、ラーメンも‟蒸し料理”としてカウントしてしまおうかなと」と楽しい企みを明かす山口さん。インスタグラムで随時情報発信されるそうなので、要フォローですよ!