‟生地がおいしいパン“を目指す、京都・烏丸三条『ファイブラン』

表面がカリッと焼けた明太バゲットは香ばしく、あんドーナツはふわモチッ!国産小麦を巧みにブレンドして焼き上げるパンは、麦の香りが印象的な優しい味わいです。

スタンダードなおいしさを重視

京都・烏丸御池からほど近い店は、2015年のオープンから10年経った今も、朝9時前から開店待ちの行列ができる人気ぶり。ヨーロッパ圏の訪日外国人からも高い評価を得ている、本格的なブーランジュリーです。

「毎日食べても飽きない、定番的なおいしさを大切にしています」と話すのは、立ち上げスタッフのひとり、白成瞬(はくせいしゅん)さん。

開業当初はマスカット果汁を天然酵母パンのルヴァン生地に練り込むなど、エッジの利いたパンを色々と焼いていたそうですが、「もっと素直に小麦の味を伝えたい」という想いから、ゆるやかにシフトチェンジ。日々焼き上げるパンは、クロワッサンやバゲット、リンゴパイやカレーパンなど50~80種類。お洒落過ぎない親しみあるパンを中心に幅広く揃えています。

『ファイブラン』外観
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『ファイブラン』店内
陳列スタイルはお洒落ですが、並んでいるパンは馴染み深いものが中心です。
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『ファイブラン』クロワッサン・ファイブラン
クロワッサン・ファイブラン260円はリベイクするとよりサクサク感が楽しめます。
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『ファイブラン』キーマカレーパン
素朴なフォルムが何ともそそるキーマカレーパン259円。中には香辛料を利かせたスパイシーな挽肉カレーが詰まっています。
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10種類の国産小麦を使い分け

パン生地のベースにしているのは、福岡の有名ベーカリー『パンストック』シェフの平山哲生さんから学んだ製パン技術です。開業に当たって全国のベーカリー行脚を続けていたディレクターの白成瞬さんが、その小麦のおいしさに満ち溢れた味わいに‟ひと口“惚れ。平山さんに懇願して、当時のスタッフを何人も引き連れ、長い時間をかけて深いパン哲学を教わったそうです。

なかでも大切にしているのは、繊細な小麦使い。九州と北海道を中心に10種類の国産小麦粉を使い分けています。例えば、バゲットは4種類の小麦粉をブレンド。低温で18時間発酵して弾力のある食感に。クロックムッシュに使う食パンなら2種類の小麦粉を配合し、もっちり感を出すために湯ゲル(湯種の手法)を使って高加水に。

加水率や糖分、発酵などのバランスをはかりながら、小麦の旨みが生きた理想の食感に仕上げています。

『ファイブラン』のパン各種
バジルが香るクロックムッシュ・ジェノベーゼは410円。 “逆折り”と呼ばれるバターでパイ生地を包む手法で作るショソン・オ・ポム(アップルパイ)454円は驚くほどサクサクです。
『ファイブラン』のパティシエール
パティシエール300円。あえて卵を使わないことで軽やかに仕上げた生地の中に、銅鍋で炊いたとろとろのカスタードクリームをたっぷりイン。開業時からの看板商品ですが、フォルムだけでなく生地の配合などもさりげなくバージョンチェンジしています。
『ファイブラン』のパンドミ蜂蜜ミルク
パンドミ蜂蜜ミルク410円。砂糖不使用でハチミツとヨーグルトを配合した生地は、甘さ控えめ。バターをのせて軽くトーストすると、よりおいしくいただけます。
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新顔のドーナツも大好評!

2023年から登場したドーナツは、ぜひ注目していただきたい新商品です。バターと卵を贅沢に使ったブリオッシュ生地をベースに、発酵を短めにして独特のモチモチ感を生んでいます。

中に粒あんをぎっしり詰め込んで表面にきな粉をまぶしたあべかわドーナツや、チョコレートやココアを練り込んだクルリエフランセなどバリエーションは4種ほど。こちらも生地のおいしさにハマるリピーターが多いそうです。

『ファイブラン』のドーナツ
ベーシックなブリオッシュベニエ290円。あべかわドーナツは270円です。
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店内奥のテーブル席でのイートインも可能。ホットコーヒーやジュース各種は390円と、気安い価格でいただけます。午前中や週末は混み合うことが多いのですが、意外と空いているのが15時以降。買い物や街歩きのちょっとした休憩スポットとして覚えておくと便利ですよ。