明治建造・煉瓦造りのビルでフランス料理を楽しむ優雅なひと時『NELU 高麗橋』

高麗橋でもひと際目を引く赤煉瓦のビルに、この春、レストラン『NELU高麗橋』がオープン。歴史ある空間で味わうフランス料理は格別で、日常を忘れさせてくれます。
メインダイニング
1階のメインダイニング。天井が高く、客席間も広くゆったりと。周りを気にせず食事や会話を楽しめます。
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明治45年に建てられ110年以上の歴史を誇るビル。東京駅の丸ノ内本屋や大阪市中央公会堂なども手掛けた「日本近代建築の父」辰野金吾氏の設計によるものです。赤煉瓦の外観は洒落ていて、街の中でも存在感があります。中に入れば高い窓にシャンデリアの似合う広々としたメインダイニング。2階には挙式もできるホールも備えて、披露宴など婚礼や、貸切パーティーなどにも対応しています。 料理を担うグランシェフの木村福孝さんは、神戸のフランス料理店で修業後に渡仏。南フランスのオーベルジュでキャリアを重ねて、帰国。フレンチの基礎を応用し、日本人ならではの季節感を折り込んだ自由闊達な料理でゲストを魅了します。

木村シェフ
季節の食材を活かした料理を手がける木村シェフ。
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謎解きのようなメニュー表

着席すると、テーブルの上にはこれから供されるコースの内容が記された小さなメニュー表が置かれています。見れば前菜に「ハム」メインディッシュには「北淡 IC 左折」など、まるで謎解きのヒントのようなワードがひと言。「一体どんな皿だろう?」と、会話が弾み、料理への期待と想像が膨らみます。
シェフの遊び心溢れるネーミングセンス「ハム」は、こちらの想像をはるかに超えた仕立てで登場しました。まず表面にはびっしりとキャビア、外周は湯引きして軽くバーナーで炙った淡路島産のハモ。そして中央に、2025年にリリースされた淡路島産の「イザナミ黒牛」のタルタルが潜んでいます。ハモと牛肉の組み合わせが意表を突く展開です。周囲にはアメリカンチェリーとトマトの甘酸っぱいソースを敷き詰め、ジュンサイをあしらって。素材や仕立てはフランス料理、なれど、日本料理の「ハモ梅肉」にも通じるような不思議な錯覚を覚える独創的なひと品です。

NELUの料理1
コースのそれぞれの料理に付くメニュー表記がユニーク。こちらは鱧を使った「ハム」という名前の料理。写真はすべて取材時のメニュー。
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日本の旬の食材で季節を映す

食べる人をワクワクさせるコースは、食材の時期が終われば献立を随時入れ替えながら提供していく予定。取材時は初夏のメニューで、変化球から正統派まで緩急を持たせた構成です。魚料理は「パイ包み」と記され、こちらは直球「スズキのパイ包み焼き」が登場しました。添えたソースは、卵黄とエシャロット、白ワインヴィネガー、トマトなどを合わせた酸味のある「ソースショロン」をアレンジしたもので、爽やかな仕立てです。

NELUの料理2
淡路島産スズキのパイ包み。身が厚いスズキと、ハモやタイなどの規格外の魚で作ったムースを合わせ焼いたもの。酸味の効いたソースを添えて。
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可憐なデセールも想像を超えて

この日のデザートは「メロンア・ラ・モード」。パティシエールの横山琳加さんと木村シェフの合作です。崩すのがもったいないような可愛らしいビジュアルに心を奪われると同時に、どういう仕立てなのか好奇心を刺激されます。丸くくり抜いたメロン。雨の季節を表すように水紋を描いたチョコレート。抹茶を使ったソースを敷き、セロリのジュレとハーブもあしらって。青っぽさや苦味、ハーブの香りも印象的なグランデセールで、さっぱりとコースを締めくくります。

NELUの料理3
キャラメルのチュイルの下に、みりんを使ったカスタードとショウガをきかせたメレンゲを重ねて。食感や香りも含め五感を刺激するデザートです。
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空間の非日常感だけでなく、提供されるコースの構成も緻密で、楽しいサプライズがいっぱい。ゲストに特別な食体験をと考え抜かれた、フランス料理は、目にも鮮やかで食べる人の好奇心をくすぐり、心も豊かに満たしてくれます。

NELUの店内
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