
大阪・田辺の住宅街にひっそりと佇む点心の名店 『点心工房 九龍(クウロン)』
店主は元調理師専門学校の助教授
店主は、20年以上も辻調理師専門学校で中国料理の講師を務めてきた藤田 梢さん。女性初の助教授だったのですから、その知識と実力は本物です。
2021年、40歳になったのを機に、自身の店を開くことにしたのだそう。なぜ、繁華街からも遠いこの場所でと、藤田さんに訊ねると、「田辺は、阿倍野の調理師学校に近いので、勤めている間この近くに住んでいたんです。茨城県出身でこのエリア以外、あまり大阪を知らなくて…」と照れ笑い。ご近所の方は、ラッキーですね。
手間暇と時間を掛けた海鮮スープ餃子
藤田さんとタッグを組むのは、元教え子で名店『福臨門酒家』で点心師として経験を積んだ山口 悟さん。
「昔はたくさん点心師が居たけど、今では山口くんは希少な存在なんですよ」と藤田さんは冗談めかして言います。でも事態は深刻で、「値を下げようとすると手数を抑えることになるので、機械で点心を作るお店も多いんです」と藤田さんは、現状を憂えているのです。「近ごろは機械でも上手に作ることができるんですが、どうしても生地は端から端まで同じ厚みになります。職人の手業には敵わないと思います」とも。
例えば、フカヒレ入り海鮮スープ餃子。「これは本当に難しいんです」と藤田さん。「『福臨門』のスペシャリテの一つで、私が本場で食べて感動して、繊細な点心の世界に憧れた思い出の1品です」と藤田さん。
この点心、『九龍』で実際に味わうことができますが、3日前までに予約が必要。実際3日掛かって作るのだそうです。まず1日目、ひね鶏や中華ハムでスープを取ります。2日目、スープを煮凝りにし、餡を作ります。3日目、生地作り。あくまで薄く、でも破れにくくするために、卵と小麦粉を硬めに練って、少しずつ伸ばしては休ませること3度。直径15cmまで伸ばします。いやはや何とも手間がかりで、時間もかかります。「プラモデルみたいに部品作りが大変なんです。全部の部品を揃えてから、たくさんの具を薄い皮で包むのは、また熟練の技が必要です」。
黄金色のスープをひと口。お腹の底まで滋味深い旨みが染み渡るようです。器いっぱいの大きな餃子をそっと割ると、ゴロゴロとたくさんの海鮮が転がり出てきます。フカヒレのコリリとした食感が、旨みの中に軽やかな調子を作ります。なるほどパワーのある点心です。
コスパ最強!点心8種ランチから
『九龍』の魅力はおいしさだけではありません。実はコスパが最強なのです。ことにお昼がスゴイ!
ランチセットは特製中華粥(6種のトッピング付き)と手作り点心4種が付いて1700円。オススメは九龍ランチセット2300円。海老蒸し餃子、韮と海老の蒸し餃子、広東焼売、麻辣焼売、小籠包、大根餅、海老春巻き、ココナッツ団子の絶品点心8種に野菜スープ、ごはんは豚バラ肉の豆豉(トウチ)蒸し御飯、中華粥、蒸し鶏の3種から選べます。海老蒸し餃子や韮と海老の蒸し餃子の皮の食感には、誰もがきっと感動するはず! 小籠包から弾けるスープにうっとりさせますよ。
叉焼メロンパンも常連は必ず追加オーダーするほど大人気。ランチセットに追加して、食べきれなければお持ち帰りもOK。実は、多くの点心がテイクアウト可能なのです。夜は月替わりコース6800円、ボリュームも満点です。 すべてが時間と手間を掛けた手作りなので、訪れる際は予約をお忘れなく!
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- 店名
- 点心工房 九龍
- 電話番号
- 06-6654-7718
- 営業時間
- 11:30~14:00LO、18:00〜20:30LO
- 定休日
- 不定休
- 交通
- 地下鉄田辺駅から徒歩5分
- 席数
- カウンター5席、掘り炬燵式小上がり10席
- メニュー
- ランチセット1700円、2300円、夜コース6800円(前日までに要予約)、点心単品450円~。ビール中瓶630円、紹興酒グラス500円~、台湾烏龍茶各種650円~。
- 備考
- 点心のテイクアウトは要予約で11:30~19:30受け取り可能。
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