神戸・六甲道で見つけた稀少な沖縄の味『木灰そば 太陽人』

本場・沖縄でも稀少となった伝統の木灰そばが食べられるのが、神戸・六甲道『木灰そば 太陽人(もっかいそば てぃだんちゅ)』。ツルツルと喉ごし良い細麺に、澄み切った旨みたっぷりのスープ。シンプルなのに一度食べたら忘れられなくなる味には、研究熱心な店主のこだわりが詰まっています。

関西で唯一、稀少な木灰そばを提供

JR六甲道駅直結の商業施設『メイン六甲』の1階。買い物客が行き来する動線から少し離れた奥まった場所に店はあります。
「木灰そば」とは、沖縄でかん水が手に入りにくかった時代に、かん水の代わりにガジュマルやデイゴの木の灰を水に浸してできた上澄み液を練り込んで作られた麺のこと。現在の沖縄そばは、かん水を使った麺が一般的で、木灰そばを提供しているのは沖縄県内でも10数軒ほどしかないそう。沖縄県以外では全国で数軒しかなく、その稀少な店のひとつが『木灰そば 太陽人』です。

『木灰そば 太陽人』の外観
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試行錯誤を重ねたクリアな味わい

店主の萩原弘也さんは、沖縄出身と思いきや兵庫・姫路出身。様々なジャンルの飲食店で経験を積み、初めて行った沖縄旅行で食べたそばのおいしい記憶から、専門店を出すまでに。「沖縄そばに興味を持って色々調べていくうちに、木灰そばの存在を知りました。自然由来の無添加の味に惹かれ、それから沖縄に行く度に各地のそば店を訪問。古い文献も調べ、試作を繰り返してきました」。

2020年に店がオープンしてからも試行錯誤を重ねてきたという木灰そばは、本枯節を燻した木灰の上澄み液を加えた自家製の細麺を使用。スープは、カツオと昆布の和だしに豚だしを合わせ、アクや脂は丁寧に取り除いて丼の底が見えるほど澄み切ったものに。ひと口すすると、もっちりツルツルの麺にしっかりと旨みあるスープが絡み、わぁと感嘆の声が漏れるほどクリアで滋味深い味。針ショウガの爽やかな香りもアクセントとなり、夢中になって食べられます。味変にコーレーグースやピパーツといった沖縄ならではの香辛料を加えるのも一興です。

『木灰そば 太陽人』の木灰そばと軟骨ソーキ、ポークたまごおにぎり
木灰そば440円、身のトロトロ感と軟骨のプニプニ感がヤミツキになる、軟骨ソーキ550円、ポークたまごおにぎり400円。
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木灰そばと相性の良いサイドメニューも充実。豚のあばら肉で作るソーキは、骨付きの「本ソーキ」と「軟骨ソーキ」の2種あり、皮付きの三枚肉を使った沖縄風の豚の角煮・ラフテーは、迫力ある塊で登場。
また、ポークたまごおにぎりは、「塩味が強すぎないから」と、沖縄でシェアNo.1の『TURIP』製ポークを使用し、ふっくらと厚みあるだし巻き玉子と合わせた作りたてが供されます。どの品をとっても店主の惜しみない手間暇が伺えるものばかり。おいしい沖縄がここにあります。

『木灰そば 太陽人』の肉塊ラフテー
肉厚7㎝以上のその名も肉塊ラフテー650円。コク深い味はもちろんのこと、皮付き豚ならではのネチッとした食感にハマりそう。
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『木灰そば 太陽人』の海老ビスクそば
濃厚なエビの香味に瞠目する「海老ビスクそば」930円。無料の「ダイブ飯」は50gから頼めます。
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毎月1~15日は『海老人』に!

そしてなんと、実はこの店、「毎月1~15日は、屋号が『海老人(えびんちゅ)』になるんです」。もともと限定メニューだった海老そばが人気を博したのをきっかけに、月前半は、暖簾も“えびんちゅ”に変え、海老ビスクそばと海老味噌そばをメインに提供しているそうです。
海老ビスクそばのスープを口に含むと、その濃厚なエビの香味にのけ反るほどのパンチ力。甘エビの殻から取ったエビだしと鶏白湯を合わせていて、風味は濃いのにしつこくなく、木灰そばとの絡みも抜群。そして、「残ったスープにご飯を入れてみてください」とすすめられるままに白ご飯を投入すると、まるでリゾットのようなまろやかな味が楽しめます。海老そばや限定そばはこの「ダイブ飯」が無料なので、オーダーするのをお忘れなく。
『海老人』として営業している時も木灰そばなどの定番メニューは提供しているので、店主が丹精込めた品をあれこれ食べたい人は、月前半に訪問するのがよいでしょう。

『木灰そば 太陽人』の店内
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