神戸・三宮『ブラッスリー ラルドワーズ』畑の旬野菜が満載のフレンチ

神戸・三宮の磯上エリアで約20年愛される『ブラッスリー ラルドワーズ』。加西市にある畑で野菜も作るというシェフの料理は、季節の香りと彩り、そしてアイデアに満ちていてワクワクします。野菜たっぷりのコースや子ども向けメニューもあるので家族や親世代とも訪れたい1軒です。

神戸の風土に魅せられて

アンティークの照明や調度品、アートに溢れた空間と温かい雰囲気が、パリの街角に本当に存在しそうな『ブラッスリー ラルドワーズ』。

オーナーの柘植淳平シェフは和食からキャリアをスタートし、その後、フランスの美術や建築、文化などに憧れてフランス料理の道へ転向。ホテルや東京のレストランを経て、2005年、神戸・磯上に開業しました。

開業する際、東京も視野に入れたものの、神戸に決めたという柘植シェフ。「神戸は海と山に挟まれて、限られたエリアで発展している稀有な街。海外の食文化に親しんでいる風土もあり、食材の生産地が近いことが魅力でした」と話します。

柘植淳平シェフ
柘植淳平シェフ。
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自家農園の野菜をふんだんに

実は柘植シェフ、野菜も作る料理人。義理の両親と共に営む畑「ラルドワーズファーム」が加古川市にあり、週に数回、自ら野菜を収穫しています。

作っているのは年間30品目〜40品目の野菜やハーブなど。取材時は今朝、採りに行ったというバジルやミント、大葉、タイム、ローズマリーといったハーブがクーラーボックスの中にびっしり。蓋を開けた途端、イキイキと瑞々しい葉から香りが弾け、一瞬にして周辺に漂います。

そのほか、店内には自家栽培した大きなスイカやジャガイモなどが。
その時々に採れ、大地で刻々と変化する野菜の個性に合わせて作る料理は季節の色、香りにあふれています。

ハーブ
クーラーボックスを開けた瞬間、ハーブの香りが立ち上りました。
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新しい発見に満ちたアミューズ

開業から20年の間に、時代に合わせて変化させてきたというコースは、約4年前から「育てている野菜を使ったアミューズをたくさん楽しんで欲しい」と、アミューズ5品〜6品、冷前菜2品、メイン、米料理、デザート(夜10300円のコース)の構成を中心に提供。工夫を凝らした旬野菜のアミューズが充実しています。

例えばジャガイモは、カッペリーニのようなごく細い麺状にカットしてから茹で、野菜の味を活かす海藻のジュレや甘エビ、キャビアを重ね、ハーブやライムの皮を散らしたアミューズに。

キャビアとジャガイモというフランス料理の定番でありながら、ジャガイモのシャキシャキ食感に新しい発見があり、甘エビの甘さやキャビアの塩気、ジャガイモが絡み合い、残暑がまだ残る季節でも軽やかにいただけます。

アミューズ
インパクト大な手のオブジェの上にあるのはスイカのマリネ。皮に近い瓜の香りが強い部分をココナッツヴィネガーでマリネした瑞々しく爽やかな一品。手前は本文中で紹介したジャガイモのカッペリーニ。
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シメは香りに満ちた味変で楽しむ米料理を

さらに、スペシャリテのひとつが「お茶漬け」をイメージしたシメの米料理。

兵庫県産米を少量のバターや魚介のブイヨン共に炊き、季節の具材をたっぷりのせた土鍋ご飯とハーブのスープが共に供されます。

お茶漬け
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まずはひと口、ふた口、土鍋ご飯を楽しんでから、ハーブのスープをかけると華やかな香りと旨みが増幅。スープだけでもおいしく、子どもから高齢の親世代まで食べやすい仕立てに感激します。

フランス料理は最近、重くて食べられないという親世代も連れて来たいお店です。

お茶漬け
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内観
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