下町の可愛いパティスリーに潜む攻めのスイーツに驚く。大阪・毛馬『PÂTISSERIE MIYOSHI』
日々のケーキから最先端のガトーまで
暑かった夏の終わりにお店を訪ねると、店内にはいよいよ秋を迎えようかという商品がぎっしりと並んでいました。焼菓子は壁一面にずらり。ショーケースのケーキ類も大人から子どもまで楽しめるような商品が多数。特筆すべきはバースデーケーキや、週末のお持たせか、はたまた家族で楽しむのか、ホールケーキの予約がたくさん入っていることです。 この辺りは「パティスリーが少ないので」と謙遜するオーナーシェフの三好祐哉さんですが、お店が人々の暮らしに浸透して親しまれている証拠です。記念日にケーキを毎回注文しようと思える馴染みの街のパティスリーがあることは幸せなことだと感じました。
大阪市出身の三好さんは市内の有名パティスリー『ル・ピノー』や『モンシェール』などで長く勤め、生菓子から焼菓子まで幅広い技術を習得。特に10年在籍していた『モンシェール』では商品開発なども任されていました。
ショーケースの生菓子は、ブリンやシュークリーム、ロールケーキに季節のショートケーキなど世代を問わず親しみやすい味を並べます。いずれも材料を吟味して丁寧に作られた味わい。それでいて価格は手頃な設定というのも嬉しいところです。
一方、三好さんの高い技術力を存分に発揮した華やかなガトーもあります。
11月ごろまで販売の『柚子ショコラ』。見た目は可憐な仕立て。中央に軽めに仕立てたベルギー産チョコレートのムースを抱き込んで、外側は柚子クリームでコーティング。柑橘の香りとチョコレートの酸味が相性ピッタリで、秋から冬へと移ろう季節の変わり目を感じさせる味わいです。
ビジュアルの可愛さと季節感、焼菓子の表現力
焼菓子の充実ぶりも見逃せません。オープン間もない頃すぐに、本誌でも取材させていただいたのはこちらのクッキー缶「人気のサブレ7種の詰め合わせ」です。それぞれの味わい際立つ小さなクッキーがぎっしり入っていて3400円というお値打ち価格で、それは現在も変わらぬ人気。
店舗を訪ねると、壁際に沿って小袋に分けた多種類のクッキーやフィナンシェなどの焼菓子が並ぶコーナーが。どれにしようか迷うほどの充実ぶりです。
三好さん自身も楽しんで作っているというアイシングクッキー。動物や花、様々なフルーツの型で抜いて焼いたサブレに、様々なフレーバーのアイシングを施して、季節を表現できるのが魅力だと語ります。見た目も可愛らしくて美味しくて、友人や職場の同僚への小さなプレゼントに喜ばれそう。この商品のためにクッキー型のコレクションも年々増えていっているのだとか。クリスマスやバレンタインなど季節のイベントに関連するアイシングクッキーが登場して、来店客の目を楽しませてくれます。
食べてびっくり!攻めのサブレ缶
お子さんに喜ばれそうな可憐なアイシングクッキーとは対照的に、こちらには大人仕様のサブレもあります。その名も「大人の燻製サブレ缶」。なんと焼き上げたサブレを桜のチップで燻したという、斬新な商品です。
ゲランドの塩の粒が味のアクセントとなったサブレと、細かく砕いたコーヒー豆を混ぜ込んだコーヒー味のサブレの2種類。
まずクッキー缶の蓋を開けた瞬間に、立ち上るスモーキーな香りに驚かされます。ザクザクと焼いたサブレ生地だからこそ、全体に燻香がくまなく浸透していて、噛むたびに目が覚めるほどに香りが立って鼻を抜けていきます。後からゲランドの塩やコーヒー豆の味が舌の上を引き締めて、砂糖は入っているのに、甘みを前面には感じないという、不思議な後口にとにかく驚くのです。
他所ではおよそ見たことのない唯一無二のサブレ「これね、癖になってハマる人はハマるんです」と語る三好さんの攻めの意欲作。この味に合わせるならブラックコーヒーか、いや、ウイスキーにピッタリか。商品名に偽りなしの大人仕様のサブレ。お酒を嗜む方への目先の変わったお持たせにいいかもしれません。
家族で楽しめるケーキが並ぶ街の小さな可愛いパティスリーと思いきや、スイーツマニアもびっくりの商品が潜んでいたりして、三好さんの着想と才能の奥行きの深さに驚かされます。いずれはイートインも出来たらいいなと語るシェフの今後の展開も目が離せない一軒です。
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- 店名
- PÂTISSERIE MIYOSHI
- 住所
- 大阪府大阪市都島区毛馬町1-5-15
- 電話番号
- 090-8104-3520
- 営業時間
- 11:00〜19:00
- 定休日
- 火曜、水曜、他不定休あり
- 交通
- 大阪シティバス毛馬橋バス停すぐ
- メニュー
- しろきたロール1700円、バターサンド470円、しろきたプリン370円、シュー・ア・ラ・クレーム340円。
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