サバ愛が止まらない!大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』

サバに魅せられたオーナーが、サバ棒寿司専門店を経てサバ料理の店を開いた「SABAR」。品質やおいしい食べ方へのこだわりなど、随所にサバ愛が凝縮。ランチからディナーまで、魚好きにはたまらないサバ料理が待っている。

居酒屋の一品から専門店へ発展

現在、全国に9店舗を展開する『とろさば料理専門店 SABAR』。中でも阪急三番街店は昼夜通し営業が嬉しい旗艦店だ。

実は「SABAR」の前身は、意外にも鳥料理を中心とした居酒屋だったとか。そうした中、かつて魚屋や寿司屋で経験を積んだ代表取締役社長の右田孝宣さんが、当時居酒屋でサバ寿司を提供したところ評判に。そこで2007年にサバ棒寿司専門店「鯖や」を展開。サバ博士と呼ばれるほどに追求し、2013年に大阪・福島で立ち上げたのが『とろさば料理専門店 SABAR』だ。

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』外観
10
大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』席
10

現在扱うサバは、店名通り「とろさば」と名乗ることを許されたサバばかり。「とろさば」とは脂質含有量が21%以上で魚体が550g以上のものを指し、身が厚く脂ノリノリの身質は「まるでマグロのトロのよう」と呼ばれることも。事実、箸を入れるとふっくら身がほどけ、口に含めば驚くほどジューシーだ。

妥協なき「とろさば」への探求

かつて“身近な青魚”の代表格だったサバだが。近年、その状況は大きく変わりつつある。国内外でサバの漁獲量は年々減少傾向にあり、資源管理の観点から漁獲枠が厳しく制限される年も増加。
日本近海でも、サバの不漁が続いた年には漁獲量が大幅に落ち込み、安定供給が難しいことも。海外でも北欧や北大西洋のサバについて「このままでは資源が回復しない」とする科学的な指摘が相次ぎ、漁獲量を抑える動きが進んでいる。
つまりサバは今「たくさん獲れる魚」から「状態を見極めて選ぶ魚」へと立ち位置を変えつつある。
そうしたなか「SABAR」が選ぶのは、その時々にいちばんおいしいサバ。有名な八戸沖・三陸沖といった東北近海で漁獲されたサバを中心に、近年は北海道や千葉県の銚子、ノルウェーやアイルランドなど、その時期に最も状態が良いサバを世界中から探し出している。

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』”鯖街道”
福井から京都へとサバを運んだ歴史の道「鯖街道」をイメージし、街道沿いの宿場町の名前が各テーブルに描かれている。
10

新名物、とろさばの灰干しに注目

名物のさば寿司の他、シメサバの丼や定食、サバの味噌煮定食、珍しいサバのひつまぶし定食まで、サバ三昧の「SABAR」だが、特に注目したいのが2025年秋に登場した「とろさばの灰干し」。
灰干しとは、灰が直接魚に触れないようセロファンや和紙などで包み、その周囲を火山灰で覆って熟成・乾燥させる伝統的な保存・加工法。灰が持つ吸湿性と脱臭性によって余分な水分と生臭さが取り除かれ、身は締まりながらも硬くなりすぎず、旨みだけが凝縮される。特に脂が多いサバは 酸化しやすい脂を守りながら臭みを抑え、干物でありながらジューシーな脂が瑞々しく感じるほど。熟成した魚のような奥行きのある味わいも特徴だ。
しかも店で出すのは「とろさば」ゆえに、魚体が大きく満足感も十分だ。

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』とろさばの灰干し定食
「とろさばの灰干し定食」1848円。脂質30%以上という脅威の脂のりが特徴で、ノルウェーから活きたまま空輸で運ばれる「サバ・ヌーヴォー」などを使用する「とろさばの灰干し定食」。ガス火で皮目をパリッと焼く。サバ節の吸い物やサバ節をかけた冷奴、サバに合わせて自家ブレンドする五穀米、漬物まで美味。
10

削りたてが決め手。サバ節が変えるだしの新常識

「SABAR」の料理を語る上でさらに欠かせない存在が、サバから作るサバ節。一般的には厚く削ってしっかり旨みを抽出し、うどんや蕎麦のだしとして使われる節だが、こちらではだし以外にも使う。その理由は「削りたて」の旨さにある。
サバ節は削ってからわずか2〜3時間で香りが失われてしまうほど繊細な素材のため、店内には専用の削り機を設置。その専用の削り機は、星付きの料亭や割烹で使われているハイテク機器で、節の向こう側が透けて見えるほどにごくごく薄く削ることができるというもの。

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』サバ節
店内に入ると、自慢の削り機器が鎮座。静岡・焼津から仕入れるカビ付きのゴマサバのサバ節をごくごく薄〜く削り、枡に入れてお通しとして提供。薄いため、口に含むと瞬時に旨みと香りが広がる。
10
大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』サバ節、持ち上げ
10

「一般的なカツオ節の厚みは、最も薄い場合で0.03mmですが、カツオ節よりもやや硬いサバ節は0.03mmでも舌に当たってしまうため、当店では0.01 mmに削っています」とは広報の田中俊子さん。ふわっと空気を含むような食感を生むよう極限まで削り込み、香り高さを感じてもらうため提供直前に削る。
削りたてのサバ節は、鼻に抜ける香りがまろやかで、口に含むと旨みと甘さがじんわりと広がる。カツオ節のような強い香りではなく、料理を包み込むような奥行きが特徴だ。
ランチでは冷奴にかけたり、夜は枡にふんわりサバ節を盛ったりして提供。アテとして、ご飯やおかずにかけるも自由で、おかわり自由。
サバを知り尽くした専門店だからこそ辿り着いた、“だしをとる素材”から“旨みを楽しむ素材”への発想転換だ。

ディナーや宴会なら、サバしゃぶを

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』とろさばのしゃぶしゃぶ、1人前
「とろさばのしゃぶしゃぶ」1人前1980円(写真は1名分追加980円を加えた量)。サバのだしが心にしみる味わい。3種の自家製タレのなかでも甘酢で食べる意外性が面白い。シメにはラーメンを投入して。
10

先のサバ節の真価を味わうのに最高峰ともいわれている料理が夜限定の「とろさばのしゃぶしゃぶ」だ。
あらかじめとったサバ節のだしに、お客の目の前で厚さ0.01mmのサバ節を“追いサバ”として加えることで、味わいが一変。
目の前で削られた節が鍋に舞い落ちる瞬間、香りと旨みが一気に立ち上がり、より深くより豊かな液体へと進化。そこに薄く引いたサバの身を、さっとだしにくぐらせると脂がじわりと溶け、身は驚くほどしっとりとした口当たりに。脂がのった“とろさば”だからこそ旨く、青魚特有の臭みはなく軽やかな後味に驚く。
サバの繊細さや上品さを教えてくれ、発見を与えてくれるのが、この「とろさばのしゃぶしゃぶ」。自家製ネギポン酢やニラの甘酢、おろし麺つゆといった3種のタレで食べる食べ方も楽しい。

大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』とろさばのしゃぶしゃぶ、“追いサバ”
“追いサバ”をたっぷりと
10
大阪・梅田『とろさば料理専門店 SABAR 阪急三番街店』とろさばのしゃぶしゃぶ、持ち上げ
10

この他、料理を待つ間に読むのにちょうどいいサバの魅力をまとめた小冊子があったり、3月8日(サバの日)にはサバ検定を行ったり、3と8がつく日は割引があるなど、楽しい仕掛けがいっぱい。
店を出る時にはサバファンになっているかもしれない。