鳥取・境港の美味が揃う大阪・『みさき食堂』

ズワイガニはもちろん、モサエビや白イカ、ハタハタなど鳥取・境港直送の魚介や干物が盛りだくさん。女性店主が営む小さな食堂には、日本酒のほか、ジンやウイスキーまでも境港産が揃っている。

故郷・境港との新たな繋がりを求めて

JR天満駅から歩いて4分ほど。魚を加えた愛らしい黒猫がトレードマークの小さな食堂がオープンしたのは、2025年8月のこと。素敵な笑顔で出迎えてくれる店主の阿部未咲季さんは、鳥取県西部の境港市出身。28歳で独立を決めた理由は「故郷と新しい形で繋がるため」だったと話す。

都会の暮らしに憧れて神戸市の大学で管理栄養士の資格を取り、そのまま大阪での生活を続けているうち、気付けば故郷と疎遠になりがちになっていたという阿部さん。いつか飲食店を開く際は、故郷・境港の食材を積極的に取り入れようと決めていたそうだ。

『みさき食堂』外観
黒猫が描かれた扁平な提灯とサーモンピンクの外壁の組合せが可愛らしい。
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『みさき食堂』店主の阿部未咲季さん
店を営みつつ、大阪で料理教室の講師も務めている阿部さん。
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魚介も農産物も、ほぼ境港直送

「仕入れの相談もあって、母と予想以上に連絡を取り合うようになりましたね」と嬉しそうに話す阿部さん。お母様の勤め先は、堺港にある水産物直売センター。
「春先は境港サーモン、初夏頃からは生本マグロ、夏は岩ガキなど、鳥取には松葉ガニ以外にも魅力的な海の幸がたくさん。母と相談しながら、その時季ごとにイチ押しの食材を届けてもらっています」。

鮮魚に加え、魚介加工品も充実している。ハタハタやノドグロの干物、紅ズワイガニのクリームコロッケなども境港にある顔馴染みの業者から。米もあっさりとした食味と粘りがある境港産のきぬむすめをセレクト。境港の輪を着々と広げている。

『みさき食堂』の紅ズワイガニ
食べやすさがありがたい紅ズワイガニは2000円。この日あわせたのは境港にある『千代むすび酒造』の「千代むすび 純米大吟醸 強力50」。同じ港町生まれの魚介と酒は、自然と相性が良い。
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『みさき食堂』のモサエビと白イカの造り盛合せ
モサエビと白イカの造り盛合せ。鮮度が落ちやすいモサエビを関西でいただける場所は希少だ。
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『みさき食堂』のハタハタの干物
頭ごといただけるハタハタの干物は境港『遠藤商店』から。3尾750円。
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『みさき食堂』の港のジャココロッケと紅ズワイガニのクリームコロッケ
チリメンジャコを中にも外にも使った港のジャココロッケ3個750円は境港『小倉屋(こくらや)』から。旨みたっぷりのホワイトソースが堪らない紅ズワイガニクリームコロッケ2個750円も人気。
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酒の最推しは『千代むすび酒造』

酒ももちろん、堺港にフォーカスしている。鳥取県内に酒蔵はいくつもあるが、阿部さんが店に据え置くのは境港で160年以上続く老舗酒蔵『千代むすび酒造』一択だ。

代表銘柄の日本酒「千代むすび」は、「純米大吟醸 強力50」「純米吟醸 強力60」「純米酒 強力70」の3種飲み比べセットを1500円で提供。鳥取県固有品種の酒米・強力(ごうりき)の精米度合による味の違いを堪能できる。

「『千代むすび酒造』は、革新的な取り組みを続けている酒蔵としても有名。ジンやウイスキーもお薦めしています」と阿部さん。熱く厚く、境港を応援している。

『みさき食堂』の酒イメージ
人目を引くべく、あえてカウンターに置いている『千代むすび酒造』の酒。一番右は三代目の名を付けたシングルモルトウイスキー「山陰の麒麟児 林太郎(りんたろう)」。
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常時30種以上を取り揃える料理は他にも、阿部さんのお祖母さま直伝のおでん、地元給食の定番メニュー・スタミナ納豆をアレンジしたパリパリピーマンなど、気になるものが多数。

「食事だけでも、軽く一杯飲むだけでも、大歓迎です」と阿部さん。港町の食堂のような気取らない雰囲気と柔らかなもてなし、温かみを感じる家庭料理で、鳥取出身の常連客も着々と増やしている。

『みさき食堂』店内
約20席ほどの店内には、奥に個室も完備している。
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