神戸・新開地の新星ビストロ『Le côté』で金曜夜の女子会を

2人なら、アラカルトの前菜とメインをそれぞれ2皿ずつシェアして。ワインはグラスで好きなものを。別腹のデザートは外せない。飲んで笑っておいしいものを食べて約1万円。新星ビストロ『Le côté(ル コテ)』で週末女子会を開催した。

新開地に新しい風

「新しくできたビストロに行ってみようか!」。互いに多忙なお年頃。たまにしか会えない女友達とのディナーは、どこに行き何を食べるか計画する段階からワクワクは始まっている。ちょうど金曜の夜なら予定が合いそうということで待ち合わせたのは、新開地駅。 古参の居酒屋や立ち飲み店など下町情緒が色濃く残る街に、若いご夫婦が営むビストロとは、ちょっと新鮮だ。

淡いブルーに木目の茶色。新開地にフランスの空気感が意外にも馴染んでいる。
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開店は2025年の10月で、神戸の食通の間ではすぐに話題に。
シェフの齊藤信広さんは、元々は別の仕事に就いていたが、26歳で初めて本格的に料理の道へと進む。大阪の『リーガロイヤルホテル』で1年、神戸『リストランテハナタニ』や『シェシロ』などでそれぞれ数年修業をし独立した。

1人で調理をこなす齊藤さんは34歳。本格的に料理を学び始めてまだ10年に満たないとは思えないセンスだ。
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「B面の神戸」で「コテちゃん」と

料理はフランスの郷土料理をアラカルトで。接客とワインのセレクトはソムリエで妻の真由さんが。まだ30代前半の若いご夫婦が二人三脚で切り盛りしている。

店名の由来を訊ねると「côtéはフランス語で『側』とか『面』という意味がありまして。三ノ宮や元町がおしゃれな港町のイメージの『A面の神戸』で、対して下町情緒いっぱいの新開地の街を『B面の神戸』と言われたりするじゃないですか。僕たちはB面の方。なので面をフランス語にしてみたんです」と齊藤さん。それに加えて、奥様の旧姓が小寺さんで「コテちゃん」とみんなから呼ばれていたからなんだそう。

店が休みの日も揃って早朝から仕込みに追われ、まだゆっくりできる余裕はないそうだが、営業中、テキパキ働きながらも柔らかなご夫妻の雰囲気がなんだか店内に心地よい空気を伝えている。

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さて、金曜の夜ということで店内は満席。仲間と4人でテーブルを囲むグループに、ご夫婦だろうか2人連れ。カウンター席には50代と思しき男性1人客もワインと前菜を楽しんでいる。我々は女性2名と、それぞれに違うシチュエーションのゲストが、ビストロでの時間を自由に満喫している。

「白からにする?」ということで真由さんに相談すると、テーブルにはボトルが5種類ほど並べられ、ワインについて丁寧に説明してくれる。全てフランス産で統一しており、グラスは1000円から1500円くらい。スッキリ辛口からフルーティーな飲み口のものまで幅広く揃えてある。

席代は1人500円。付出しとしてほんのり温かなグジェールが。チーズの風味と塩気がいいおつまみになる。
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まずは乾杯して喉を潤し、アミューズの、フランス・ブルゴーニュ地方のシュー菓子「グリュイエールチーズのグジェール」をつまみつつ、前菜から料理を選んでいく。

フランスの郷土料理にワインが進む

1皿目の前菜は「サンマルスランチーズと蜂蜜とクルミのサラダ」。酸味の効いたドレッシングで和えたサラダに、アクセントにクルミの食感と香ばしさを。そして蜂蜜の甘さと、ミルキーなサンマルスランチーズを丸ごと1個一緒に味わう仕立て。1品目にしてもう、白ワインが進んで仕方がない味わい!

「サンマルスランチーズと蜂蜜とクルミのサラダ」2750円。
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おしゃべりに花を咲かせていると前菜の2皿目「フォアグラ入り鴨のテリーヌ サラダ添え」が運ばれてきた。鴨の胸肉とモモ肉を塩、スパイス、酒などでマリネ。豚肩肉、フォアグラやピスタチオなどと一緒にテリーヌに仕立てた、見目麗しいひと品だ。修業先で学んだことと、独学で試行錯誤することを合わせた齊藤さん渾身の力作。

フォアグラ入り鴨のテリーヌ サラダ添え2800円。上はコンソメのジュレで蓋をした。オリーブやコルニッションなど付け合わせの味もアクセントとなっている。
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ワインはちょっとコクと甘みのあるしっかりしたタイプと合いそう!ということでアルザスを追加して、前菜で早くも白の2杯目に。

メインディッシュは魚と肉を1皿ずつ

気になる料理が目白押しのメインディッシュは、魚と肉から1品ずつ選ぶことに。
「魚のポワレ ソースヴァンブラン」。この日の魚は大きな天然物の真鯛。皮目はパリッとしっかり香ばしく焼き上げて、身はしっとりとした状態を保つ。ヴァンブランは、白ワインや白ワインヴィネガーを使った酸味のあるソースで、特に白身の魚との相性がよい。これからの暑い時期にもさっぱり食べられるソースだ。

魚のポワレ ソースヴァンブラン3000円。外パリ、中はふわふわ。抜群の火入れ加減の真鯛。魚は入荷に応じて。どの皿も付け合わせが野菜たっぷりなのも嬉しい。
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肉料理は「塩漬けした豚バラとレンズ豆の煮込み」。ソミュール液に2日漬けて味を染み込ませて、冷蔵庫で2日休ませてからホロホロになるまで煮込まれた豚バラ肉。こちらには当然赤ワインを。「シラーやグルナッシュなど辛口のしっかり目が合うと思いますよ!」と、パートナーの料理を知り尽くすソムリエールの勧めに従うことに。

どの料理も酸味や塩味のメリハリが効いており、おまけに野菜や豆などの付け合わせがどれも味わい深く、食べ進む。そしてワインを呼ぶ。

「塩漬けした豚バラとレンズ豆の煮込み」2500円。程よい食感を残したレンズ豆と柔らかな豚バラのコントラストに食が進む。
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大人のデザートの締め方は?

前菜2皿とメイン2皿をシェアして、お腹も結構いい感じ。デザートはアイスクリームだけにしようかな?とも思ったが、ガトーショコラやクレームブリュレなどクラシックな品が揃っていて悩ましいところ。

結局「ラム酒風味のババ(ハーフサイズ)」500円をチョイス。「ババ」は、イタリアやフランスの一部地域で愛されるデザートで、ブリオッシュを、ラム酒を効かせたシロップに浸して味わう大人味の一品だ。こちらでは「足りなければどうぞ!」とショットグラスに追いラムが添えられて供される。デザートだけど食後酒のようでもある。

「ラム酒風味のババ(ハーフサイズ)」500円。フルサイズは800円。
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甘いものが苦手な方は、食後酒や、チーズも豊富に揃っているので、真由さんに相談を。フランス流にゆっくりと強めのお酒とチーズを嗜んで夜を締めくくるのもいい。

さてこの日のお会計はワイン3杯とデザートを付けて1人当たり10525円。他のメニューも食べてみたいから「次は他の友達も誘って来ようね!」と約束しつつ、週末の夜を多いに楽しみ、リフレッシュして家路に就いた。

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writer

三好 彩子

Miyoshi Ayako

愛媛県生まれ。関西の飲食店の皆様に育てられ、丸々成長した食いしん坊フードライター&編集者。特技はレストランの厨房に潜入取材をすることで、調理師免許も取得。イベント司会や企業のプロモーションも担う。共著書に『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく神戸』(株式会社KADOKAWA)がある。