新生「レストラン ラ トゥール」を訪れて体感した、原点回帰の正統派フレンチ

京都大学のシンボル・百周年時計台記念館に構える『レストラン ラ トゥール』が、2026年10月9日にリニューアルオープンした。近年のフランス料理で主流となっている革新性とは異なる方向へ舵を切り、「クラシックへの原点回帰」を掲げたという。新生『ラ トゥール』を訪ね、フランスの食文化を体感してみた。

“現代式”に逆行? 目の前で仕上げる手の込んだパフォーマンス

京都大学近くにあった『喫茶 まどい』を覚えている人はいるだろうか。のちに『レストラン 円居』となり、『レストラン ラ トゥール』を運営する『円居グループ』の原点になった店だ。現在は関西・関東に19店舗を展開しており、2022年に岡崎で『メゾン ドゥ シャルキュトリ エム』をオープンしたことで話題になった。今年で創業65周年を迎える。

『レストラン ラ トゥール』の鳩料理
以前はプリフィックスや手頃なコースが中心だったが、リニューアルによりフルコース1本に絞られ、料理が研ぎ澄まされた。
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今回のリニューアルは、建物の設備改修に合わたタイミング。2026年7月から一時休業を経て、装い新たに生まれ変わった。最も変化させたのは「サービス」という。特にディナーでは、大きな肉や魚を客の前で切り分ける「デクパージュ」や、アルコールに火をつけて風味を加える「フランバージュ」など、フランス料理の伝統的なサービス技法を取り入れる。

『レストラン ラ トゥール』の内覧会で話す伊藤文彰さん
リニューアルオープンに先立って開かれた内覧会では、伊藤文彰社長が「より地元の方に利用していただけるレストランを目指します」と語った。
『レストラン ラ トゥール』の「フランバージュ」
『レストラン ラ トゥール』の盛り付け
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料理に使う食材もより厳選。もちろんフランスの食材も使用するが、大切にするのは「地産地消」の考えだ。“店舗から半径80km圏内”をキーワードに、地元の生産者が育てた有機野菜や、新鮮な魚、肉なども積極的に取り入れる。京都近郊をはじめとした全国の美味しい食材の魅力を、フランス料理の技法で最大限に引き出すことがシェフの信念という。

『レストラン ラ トゥール』のシェフの泉裕太氏
シェフの泉裕太氏。2026年に渡仏し、ミシュラン二つ星レストランでの研修を経て帰ってきた。
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テーブルウェアも新たに整えた。カトラリーは、フランスの老舗銀食器ブランド「クリストフル」が1876年に発表したパールコレクションから。器は京都で約250年続く清水六兵衛の系譜を受け継ぐ「六青(ROKUSHO)」を採用した。料理だけでなく、手に触れる器やカトラリーにも京都とフランスという二つの土地の文化を重ねている。

『レストラン ラ トゥール』内観
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ランチのデザートは「好きなものを好きなだけ」(!)

またランチでは、季節のケーキやシャーベット、焼き菓子などをワゴンに載せ、客の好みに合わせて盛り付けるシャリオデセールも用意する。なんと、「ワゴンのスイーツ全種類でもOKです」。クグロフ、季節の果実のタルト、カヌレ、マカロンなど、スイーツ好きには夢のようなフランス菓子のラインナップだ。

『レストラン ラ トゥール』のシャリオでセール
アントルメ6~7種、小菓子6~7種、アイスとソルベ3種。季節ごとに内容は変わる。
『レストラン ラ トゥール』のシャリオでセール
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食事はコミュニケーションであることを再認識させる

実際に訪れて印象的だったのは、目の前で料理が仕上げられる時に“香り”や“音”を体感できるだけでなく、スタッフとの会話があること。「シェフが綾部出身なので、野菜もその近郊農家さんのものが多いです」「ソースも鳩の内臓を使っています。フランスではレバーなどを使ってとろみをつけたり、コクを出す技法をサルミと呼びます」など、ただ切り分け、皿へ盛るだけでなく、コミュニケーションの一部であることを気づかされる。

『レストラン ラ トゥール』の琴引の塩でマリネした真アジと京都産野菜のガルグイユ。
琴引の塩でマリネした真アジと京都産野菜のガルグイユ。
『レストラン ラ トゥール』の琴引の塩でマリネした真アジと京都産野菜のガルグイユ。
訪れた時の魚は、三陸産の戻りガツオ。脂の乗りによりフライパンで焼いたり、炭火を使ったりと、火入れも変える。
『レストラン ラ トゥール』の京赤地鶏胸肉と椎茸のファルシー 丹波しめじと薩摩芋のキャラメリゼ。
京赤地鶏胸肉と椎茸のファルシー 丹波しめじと薩摩芋のキャラメリゼ。
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近年、こうしたクラシックなサービスを目の前で体験できる店は決して多くない。昔ながらのフランス料理を知る人には懐かしく、デクパージュやフランバージュを初めて見る世代には、むしろ新鮮に映るだろう。

『レストラン ラ トゥール』の鳩料理デクパージュ
ディナーのメイン料理「ラカン産ピジョンのロースト」。ビジョンは鳩のことで、目の前で豪快に切り分ける。
『レストラン ラ トゥール』の鳩料理
ランチコース11000円はアミューズ、前菜、メインの魚・肉料理、シャリオデセール、パン、食後の飲み物。ディナーコース16500円はアミューズ、前菜2品、メインの魚・肉料理、デザート、小菓子、パン、食後の飲み物という内容。
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amakara.jp編集部

amakara.jp

関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。

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