大衆に愛され続ける名酒場、京都『神馬』の2階で40年ぶりに復活した寿司酒場へ数々の名物と寿司を味わいに!
京都一歴史のある居酒屋は昭和9年創業
酒蔵を模した建物で、酒谷禎一・とみ夫妻が居酒屋『神馬』を開いたのは昭和9年。当時の界隈は西陣京極と呼ばれた京都屈指の歓楽街で、店は行列ができる日もあるほど大繁盛した。太平洋戦争末期には一時休業を余儀なくされたが、昭和28年に営業を再開。その8年後には店を大改造し、立命館大学卒業後に会社勤めをしていた2代目の芳男さんも店を手伝うようになった。
「おばあさんはオヤジを修業に出すのがイヤやったんやと思います。それで2階に雇った寿司職人にオヤジを預け、仕事を覚えさせた。目の届くところに置いておきたかったんでしょう」
そこへアルバイトとして働きに来たのが、その後、2代目夫人となる紀代子さん。やがて2人は結婚し、昭和47年に直孝さんが誕生。同じ年に初代が亡くなったため代替わり。それから約10年後に2階は閉店した。
「しばらくはオヤジの弟がステンドグラスを教えたりしていましたが、その教室もいつしか開かれなくなり、40年近くほったらかしの状態でした」
40年ぶりに復活した寿司酒場
直孝さんは、物置と化していた2階を1年かけて片付けながらリノベーション。かつての雰囲気を残しつつ、白木のカウンターまばゆい寿司屋へと生まれ変わらせた。
「寿司屋のカウンターはハードルが高いと気後れするような若い人たちにも来てほしいので、気兼ねなく使ってもらえるテーブル席も設けました」
酒谷さんが毎朝市場で仕入れてくる新鮮な魚貝や地元産の野菜、長年の付き合いから特別にもたらされる食材など、多彩なメニューがオーダーできる。
「メニューがどれぐらいあるか?数えたことないです(笑)。食材は日々変わるし、お客さんによって好みも食べられる量も予算も違うしね。居酒屋なんやから気軽に何でも言うてもろたら良いんですよ」
名物のアテとブレンド燗酒を堪能
名物も数多い。ぜひ注文したいのが造り盛り合わせ。予算を告げておまかせした盛り合わせは、素晴らしく脂の乗ったマグロのカマトロ、鱧と見まごうほど太いアナゴの焼き霜、旨みが濃いタイ、皮目だけをさっと炙ったサワラ。一緒に味わいたいのが同じく名物のブレンドされた燗酒だ。
「そもそもは、おばあさんが地元と灘の酒を均等に売ってやりたいと、木箱で運ばれてきた10本の日本酒をすべて甕に注いでブレンドしたのが始まり。今は灘の清酒6銘柄をブレンドしています。こんなことしている、というか許されるのはウチだけと違うかな~(笑)」
もう一つの必食メニューは鯨ベーコン。鹿の子状のサシが美しい椿色の赤身と、コラーゲンの塊のような脂身をショウガ醤油で味わう。端正な甘みが舌の上でとろけた。
「鯨ベーコンにはショウガを添えていますが、辛子醤油で食べるお客さんもおられます。辛子だけを乗せる方、ソースが欲しいと言われる方もありますよ」
メニューにない料理の注文も?
ウナギの蒲焼と酢漬けのキュウリを和えたうざく。だしをしっかり利かせた茶碗蒸しなど、バラエティに富んだアテも燗酒を進ませる。
腹五分目になってきたところで、マグロ赤身、カスゴ、クルマエビの握りを頼もうと思っていると、隣席のお客さんが「芽ネギとイカで細巻、作ってくれる?ワサビ効かして」と頼むではないか。思わず「それ、こっちにも!でもワサビは普通の量で良いです」と便乗。こんな風に融通が利くところもこの店の魅力だ。
この夜のお会計は、造り盛り合わせ1800円、鯨ベーコン1760円、うざく1650円、茶碗蒸し990円、握り3カン1200円、芽ネギとイカの細巻650円、ブレンド燗酒650円、合わせて8700円。女性グループも多く見かけたので、次回は女子会を催すのも良いなと思いながら階段を降り、バス停に向かった。
data
- 店名
- 寿司酒場 神馬
- 住所
- 京都府京都市上京区千本中立売上る玉屋町38
- 電話番号
- 050-8884-8877
- 営業時間
- 17:00〜21:00LO
- 定休日
- 日曜
- 交通
- 市バス千本中立売バス停すぐ
- 席数
- カウンター8席、テーブル14席、個室4席
- https://www.instagram.com/shinme_kyoto/

writer

小林 明子
kobayashiakiko
京都在住フリーライター。缶入りクッキー、ワッフル、薯蕷饅頭、そば餅…、これらの名店に徒歩で行ける京都市の烏丸御池近くに生まれる。自動的に甘いもの好きが出来上がりました。
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