関西モーニング手帖Vol.2/『陽』のトライアングル積みトースト

人生で外食できる回数は、思うほど多くない。でも“朝ごはん”まで入れてみると、その楽しみはぐっと広がる。和洋中にエスニック、朝飲みからビュッフェまで、関西の「モーニング」をご紹介。第2回は、京都『陽』の不思議なフォルムのトーストモーニング!

スパルタすぎるおみくじの理由は……

「買い物は凶」「忘れ物に要注意」。おみくじ付きシュガーに書かれているのは厳しめのコメントばかり。「主人が考えて作っていたんです。後で聞いたら、全部私への文句だったみたい」とママの林佐代子さん。ご主人の陽さんは24年前に亡くなったので、今や良い思い出話ですね。佐代子さんが店を継いでから24年。京都・鞍馬口駅すぐの場所で『陽』は創業から54年間、学生や地元の人に愛されてきました。

喫茶陽外観看板
近くに大谷大学、龍谷大学などがあるので、学生や教員の集まる場に。
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陽のおみくじ付きシュガー
スティックシュガーの先に手製のおみくじが貼られており、開くとコメントが書かれています。
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このおみくじが楽しみで、甘党じゃないのに砂糖を使ってしまう人も多かったそうです。マスターの遊び心とおもてなしの精神が伝わってきますね。

喫茶陽おみくじ
厳しめコメントはアルバイトの学生たちに引き継がれ、みんなで考えるのが楽しかったそう。今もやっぱり厳しめです。
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モーニング①アートなフォルムのトースト

モーニングはA・B・Cの3種あり、AとCは王道のトースト……と思いきや、盛り付けが独特。トライアングル積みとでも呼びましょうか。これも先代からのスタイルで、たっぷりのバターが満遍なくしみわたるための工夫だそうです。野菜も一つひとつ丁寧に切られ、隅々まで心の行き届いた仕事ぶりが伝わってきます。

喫茶陽のモーニングのc
Cモーニング800円。トースト、ベーコンエッグ、サラダ、コーヒーと王道です。トーストとコーヒーだけのAモーニングは600円。
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モーニング②ピザトーストではない“イタリアン”

Bモーニングはちょっと珍しい「イタリアントースト」。いわゆるピザトーストとは別モノで、カリカリの薄いフランスパン生地に、オニオン、トマトソース、ベーコン、チーズ、ピーマンが重ねられ、見た目に反して大変複雑な味わいです。手作りのトマトソースの酸味が程よく、オニオンの香ばしさと良いハーモニー。コーヒーは京都の『三喜屋珈琲』のオリジナルブレンドで、酸味と苦みのバランスが絶妙です。

喫茶陽のBモーニング
Bモーニング750円。なんとイタリアントーストは3枚全て味が違います!
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モーニング以外の名物はハンバーグ!

店名は『陽』ですが、看板やSNSなどで『喫茶 陽』『珈琲 陽』と表記が違い、さらには店内のポスターに『カジュアルレストラン 陽』の名も。その通り、食事メニューにも定評があり、ハンバーグとオムライスが二大看板。特に人気の「ランチ」は子供の頃の夢を形にしたようなビジュアルです。

喫茶陽のランチB
Bランチ1300円はハンバーグ、クリームコロッケ、ハムエッグのセット。
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Bランチはハンバーグがメイン。牛と豚の合い挽きミンチを手ごねして作るハンバーグは、よく炒めたタマネギの甘みが噛むほどに溢れます。ブラウンソースから仕込むデミグラスは赤ワインが利いていて、本格洋食店も顔負けの味。

喫茶陽のランチB
ドレッシングもお店で手作りしています。
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実はレストランとしての顔だけでなく、土曜日はまた違う顔が加わるんです。毎週プロのミュージシャンを招き、「Saturday Night Jazz Live」を開催。この日は『ジャズ喫茶レストラン 陽』となり、店名の枕詞が一つ増えるのです。

喫茶陽の内観
壁面には版画家・山本容子さんの作品などが飾られ、音楽とアートが融合した空間。
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喫茶陽のポスター
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writer

猫田しげる

nekota shigeru

北海道出身。20年以上、グルメ誌、新聞地域面、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。各地を転々とした挙句、現在は関西在住。「FRIDAYデジタル」などのweb媒体で記事執筆。めったに更新しない猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」と恐ろしくフォロワー数の少ないInstagramをヨロシク!