パンを通じて「大きな喜び」を届けたい。大阪・福島『Boulangerie grande joie(ブーランジュリーグランジョア)』。
第1回目は大阪・福島に2026年7月に開店した新星を訪ねた。
朝から晩までパンを揃えて
JR大阪環状線の福島駅から歩いて3分の場所に、2026年7月24日にオープンした新店『Boulangerie grande joie(ブーランジュリーグランジョア)』。開店時刻の午前8時過ぎに訪ねたが、店内には早くも先客が何組も。陳列台にはクロワッサンなどのデニッシュ系から、サンドウィッチ、焼きそばパンにカレーパンなどの惣菜系と、パンが勢揃いしている。これは、悩ましい……朝イチでこんなにたくさんのパンが並んでいるとは!
「どの時間帯にもパンを並べておきたくて。せっかく来てくださったのに売切れで棚がガランとなっていたら悲しいじゃないですか」と話すのは、シェフの中村大喜さん。毎朝8時の開店時間には、商品全体の8割から9割を完成させて並べているそう。「仕事終わりに明日の朝食用のパンを買いに来られる方もいらっしゃるので、閉店前の18時ごろでも選んでいただけるようにできる限りパンを補充しています」。
ひと捻りのサプライズを込めて
お父さんが卸専門のパン職人だったことがきっかけで、20歳の時に、四天王寺前夕陽ヶ丘の有名店『ブーランジュリーパリゴ』の門を叩いた。10年間、修業し、独立を果たした若き実力派だ。実はここ福島本店の開店に先行して、北堀江にも売り場を構えておりその味が評判を呼んでいた。より多くのパンを焼ける広々とした厨房を備えた福島店を2026年7月24日に本店としてグランドオープン。今はここで焼いたパンを1日に2便、3便と北堀江店に届けている。
店名の『grande joie』は直訳すると大きな幸せ。学生時代からサプライズや人に喜んでもうことを企画するのが好きだったと話す中村さんの思いを込めたものである。「僕の名前も大喜(たいき)なので。パンで大喜びしてもらえるようにといつも考えています」。その思いは店内のあらゆる所で実現されている。
例えば「牛すじ黒カレーパン」。平野区の精肉店から仕入れる高級国産牛スジをたっぷり使った自家製のカレーを作り、ルーと牛スジの量もほぼ1対1の比率という原価度外視の構えだ。おまけに中にうずらの卵を1個潜ませて。スパイス香る大人仕様の黒カレーと、どこを食べてもプルプルの牛スジが出てくるのが嬉しい。他にも焼きそばパンなら、一般的にあるソース焼きそばを挟んだタイプではなく、海鮮を使った上海焼きそばの上に、糸唐辛子をトッピングするなど細部まで手抜きなし。中華料理店レベルの焼きそばを挟んだ焼きそばパンなのだ。
パン屋さんではあまり見たことがない、弁当のような大きなプラケースは「フレンチBOX」なる商品だ。中にはプチバゲット2個と唐揚げ、ラタトゥイユが入っていてお値段951円。パンとスープをセットにして販売することで、フレンチレストランの味を手軽に楽しんで欲しいと考案したもの。このBOXひとつで食事として完結するし、弁当代わりにも、人への差し入れにもいいかも。ということで、パン以外の調理の仕込みも手間暇を惜しまず。ひと味違う商品を揃えている。
店の外には小さなテーブルが配され、すぐに食べる人のために、店内にはトースターと電子レンジが設置されている。レンジで温め直す方がいいパンと、トースターで焼く方がおいしいパンがあるから、2つ必要なのだという。
どの時間帯にもたくさんのパンを揃えることも、商品ひとつひとつにプラスアルファの楽しみが仕掛けられていることも、とにかく食べる人を喜ばせたいと、独自のサプライズを散りばめている。
コレクション1「エスカルゴ ピスターシュ」
さて、ここからはお店自慢のパンコレクション。『ブーランジュリーグランジョア』の1つ目は、グルグルした形とピスタチオのグリーンが鮮やかな「エスカルゴピスターシュ」だ。
デニッシュ生地に、自家製のカスタードクリームとピスタチオクリームを合わせたものを塗り、ホワイトチョコチップと一緒に渦巻き状に成形し焼いたもの。上には刻んだ生のピスタチオをふんだんにあしらった豪華な仕立て。売り場の中でもビジュ的に目を惹き、女性客に人気とか。コーヒーにもよく合う。
コレクション2「粗挽きフランク」
近年流行中のパンスイスの生地をソーセージに巻き付けてみたらどうだろうかと考えたオリジナル。何よりザグザクとした食感が小気味よく、中は生地のバターとソーセージの肉汁が一体化していて味わい深い。一度食べるとクセになる、ありそうでなかった「粗挽きフランク」は、食べ応えも充分な、人気商品だ。
コレクション3「鴨と九条ねぎのオリーブサンド」
惣菜パンが充実しているのも特徴。中でもサンドウィッチ系は、食パンに挟むタイプから、カンパーニュ生地を使ったオープンサンドなど多彩な品揃えだ。その中からエントリーしたシェフのイチオシは「鴨と九条ねぎのオリーブサンド」。
バゲット生地に刻んだ黒オリーブを混ぜ込んだパンに九条ねぎはゴマ油で炒めて香りを引き出して。身厚な鴨は2枚も入って品の良い脂としっとりとした旨みが特徴。粒マスタードで味を引き締めて、この小さな1個のパンの中でレストランの味を表現している。
豊富な種類を揃え、ナッツなど素材の下処理も丁寧に心を配り、調理もレストランレベルを追求する。ひとつ1つのクオリティーを高く保ちながら、価格は良心的。北堀江店と併せて人気店になる日もそう遠くないと思わせる新星。ぜひチェックを!
data
- 店名
- Boulangerie grande joie 福島本店
- 住所
- 大阪府大阪市福島区福島7-9-21
- 電話番号
- 06-6467-8758
- 営業時間
- 8:00〜19:00
- 定休日
- 月曜
- 交通
- 福島駅から徒歩3分
- 席数
- テーブル8席
- メニュー
- クロワッサンジョア314円、くるみとラムレーズン346円、カヌレ・ド・ボルドー346円。レギュラーコーヒー280円〜、カフェ・オレ350円。
writer

三好 彩子
Miyoshi Ayako
愛媛県生まれ。関西の飲食店の皆様に育てられ、丸々成長した食いしん坊フードライター&編集者。特技はレストランの厨房に潜入取材をすることで、調理師免許も取得。イベント司会や企業のプロモーションも担う。共著書に『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく神戸』(株式会社KADOKAWA)がある。
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