『原了郭』の黒七味[京都]祇園で生まれた、一子相伝の個性派薬味
貞享2年(1685)創業の香煎屋
『原了郭』の創業は、江戸時代中期にあたる貞享2年(1685)。その始まりは、煎った陳皮やウイキョウ、山椒などの粉末を白湯(さゆ)に振り入れて香りを楽しむ飲み物「御香煎(おこうせん)」の製造・販売を手掛ける香煎屋と呼ばれるもの。5代将軍・徳川綱吉が治世していた頃から、八坂神社からほど近い京都・祇園の真ん中に店を構えていると聞くと、歴史の重みを感じる。
初代は赤穂義士四十七士の一人、原惣右衛門元辰(はらそうえもんもととき)の息子・原儀左衛門道喜(はらぎざえもんみちよし)と由緒ある家柄。そこから13代に渡り、一子相伝で味を繋いでいる。
黒七味は100年前からの‟新商品“
今や御香煎の売り上げを遥かに凌ぐ看板商品「黒七味」は、実は『原了郭』の長い歴史の中では‟新商品”にあたる。
「御香煎の材料のひとつ、山椒に着目した11代目が編み出した薬味で、誕生してからまだ100年ほど。商品名は最初『ヒリッとからひ』でした」と13代目の原 悟(さとる)さん。
その後12代目が「七味唐からし」と名を変えたものの、一般的な七味唐辛子とはかけ離れた真っ黒な見た目はそのまま。「古くなって変色しているのでは?」などといった問合せが絶えないことから、何か分かりやすい名前をと悟さんが考えた結果生まれたのが「黒七味」という名称。黒七味の名前になってからは、まだ20年ほどしか経ってないのだという。
黒七味は、なぜ黒い
黒七味の原料は、白ゴマ、唐辛子、山椒、青海苔、けしの実、黒ゴマ、おの実(麻の実)の7種類。材料自体は、一般的な七味唐辛子とそう大差ない。では、なぜにここまで黒いのか。その秘密は独自の製法にある。
「白ゴマなど一部の原料をじっくり乾煎りしてから挽いて使っていることが、一番の理由ですね」と悟さん。
加えて、原料をしっかり揉み込みながら混ぜ合わせていく工程も、黒くなる一因だ。「揉むことで各々の素材が持つ油脂分が滲み出て、味も香りも馴染む。うちは香煎屋ですから、黒七味も香りの調和が命。何かひとつが突出することないよう風味を馴染ませることで、唯一無二の味を生んでいます」と語る。
幼児期からの英才教育?
黒七味の製法は、一子相伝の秘技。作業場に入ることを許されるのは、当主となる者だけ。さぞかし丁寧に伝授されるかと思いきや、「何も教えられないまま、『まずは作ってみろ』。実践から始まりましたね」と、初めて黒七味作りを許された日を振り返る悟さん。無茶なと思いつつも挑戦すると、なぜか身体が勝手に動いたという。
「思えば、物心つく前から作業場を遊び場にしていました。だから、白ゴマを煎る音の変化や香りの立ち方を自然と覚えていて、ああ、このタイミングで火を止めて、あれをこう入れていたな…と作業の流れが不思議なほど分かったんです」。
ある程度の配合はあるものの、火入れ具合や混ぜるタイミングは、その日の気温や湿度に左右されるもの。「作業場で過ごした時間は、職人に必要な繊細な感覚を磨くためのものでもあったのでしょうね。ですから息子も同じように幼い頃から作業場に入れています」と話す悟さん。そんな息子さんも、近年入社を果たして14代目として本格的な修業の真っ最中。秘伝の味は連綿と継がれている。
カレーからスナックまで、関連商品多数
「黒七味」は趣深い振り出し式の木筒容器のほか、可愛らしい缶や詰め替え用の小袋、旅行の際にも重宝する豆袋まで、中身はそのままにパッケージが幅広く展開されている。どれも「ひとりでも多くの方に手にして欲しいから」という想いから生まれたものばかりだ。
さらに、「黒七味はフライドポテトやかけうどん、パスタなど、和洋中何にでも合う万能薬味。より気軽に楽しめるよう、黒七味を使った加工品も年々増やしています」と悟さん。黒七味カレーやれんこんちっぷす、黒七味ドレッシングなどのそそるアレンジ商品は、類のないものばかり。こちらも合わせ買いして贈れば、よりインパクトのある手土産になる。
『原了郭』の黒七味が買える場所は
「黒七味」は、ここ本店のほかに、同じ祇園エリアの大和大路通にある姉妹店『Ryokaku(りょうかく)』や黒七味を使った和風担々麺などをいただける『原了郭 京都駅八条口店(おもてなし小路内お食事処)』でも購入可能。京都市内の百貨店ならいずれでも取り扱いがあり、オンラインショップもあるので、比較的手に入れやすい。
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- 店名
- 原了郭
- 住所
- 京都府京都市東山区祇園町北側267
- 電話番号
- 075-561-2732
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 1月1・2日
- 交通
- 京阪祇園四条駅から徒歩7分
- メニュー
- 黒七味(缶)858円、黒七味(四角)1265円。
- 外国語メニュー
- 英語

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