京都『越後家多齢堂』のカステイラ【シェアしたい和菓子③】

人は手土産を切り分けるとき、「平等に」が暗黙のルールになってはいないだろうか。

でも実際は、そのときの気分や予定によって、食べたい量は人それぞれ。
嗚呼…大きくても小さくても、おいしさを損なわないまま、自由に切り分けられるお菓子があったなら、もっと心地よいシェアができるかもしれないのに。

しかし、心配無用ノ介である。
その願いは、京都市上京区のカステラ専門店『越後家多齢堂』で叶えられる。
そう、「カステイラ」ならね。

自由に切り分ける楽しさ

一般的なカステラとは異なる多彩なサイズ展開も越後家多齢堂の「加壽天以良/カステイラ」の魅力の一つ。
3色刷りイラストがレトロモダンな紙箱入りはちょっとした手土産にもぴったりだ。

越後家多齢堂
カステイラ 750円〜。こちらの18㎝×22㎝は3900円。
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蓋を開けると、薄紙越しにカステイラと御対面。
18cm×22cmということは、単純に2.8cm×9cmの「THEひとり分のカステラ」サイズなら16カット分。だが、この大きさは、いつもと違うことがしたくなる誘惑に満ちている。

越後家多齢堂
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「どんな形にでも切れそう」——そう思い、いろんなサイズ感やフォルムでカットしてみる。
1カットずつ、包丁を濡れ布巾で拭いてあげるのが、表面がボロボロにならないように切るコツ。

越後家多齢堂
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今回は十字に4分割したのち、4種のサイズに。ただし、繊細なカステイラは、切ったところから乾燥が進むので、本来は、食べる分だけ切るのが望ましい。
予期せぬ収穫は手で割ると、フォークで押し切るのに比べて気泡が潰れず、一層ふんわりとした食感を楽しめたこと。

越後家多齢堂
手割りの際に「しゅわり」と鳴る音にも耳をすませてみて。
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5日間のワクワクを手土産に

底にザラメはなく、甘さよりも卵の風味がしっかり伝わってくるタイプ。
飲みものがなくても食べられるほどしっとりしているため、飲み込むための水分としてではなく、飲みものを純粋に味わえるのも嬉しい。同時にふわっと軽い食感も両立させているところが専門店たる所以か。
原材料は卵・砂糖・小麦粉・水あめ・ラム酒のみ。色も食欲をそそるたまご色だ。

越後家多齢堂
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「この卵だから、このおいしさにできる」と店主が語る卵は、京都と鹿児島のものをブレンドして使用する。
「その日に焼いた分だけを売る」ことをモットーに、焼き置きはせず、添加物は一切不使用。そう聞くと、頑固一徹な雰囲気を想像するが、物腰はカステイラ同様にやさしいのでご安心を。
日持ちよりも本来のおいしさを選んだ結果といえるし、何より、いつでも出来立てが買えるのは手土産としてもありがたい限り。

越後家多齢堂
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暗黙のルールから解き放たれた、均一ではないシェアの仕方。
それは、相手への気遣いや、その日の気分を尊重すること、といっては大袈裟だろうか。
一緒にお茶する2人が、全く違うサイズや形を選ぶ。その画が、想像以上にいい。

越後家多齢堂
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「今日はこれくらいで勘弁しといたるわ」

「私はガッツリいきたい気分」

「この小っさいの、おかわりしちゃおうかな」

日持ちは5日間。
越後家多齢堂のカステイラは、自由でやさしい5日分のワクワクをもシェアしてくれるはずだ。

writer

かがたにのりこ

kagataninoriko

月に2度、あんこを炊くあんこ熱愛ライター。各種媒体での和菓子に関するインタビュー記事やコラムを執筆。ライティングの他にも、あんこの食べ比べワークショップや、和菓子イベントのコーディネート、商品プロデュースなど活動は多岐にわたる。