旨い肉で一日をシメる。大衆焼肉の真骨頂、大阪・心斎橋『焼肉 藤もと』
最高級の和牛を驚きの価格で提供するその美学と、わざわざ足を運びたくなる名物の「ロース丼」などが待っている。
高級店クオリティの和牛を大衆価格で
賑わう宗右衛門町や日本橋の路地を歩くと、焼肉激戦区にして目を引く赤提灯が手招きしている。一歩足を踏み入れれば、活気あふれるスタッフの声と肉を焼く芳しき煙。ここ『焼肉 藤もと』が掲げるのは「高級店と同じクオリティの肉を誰もが楽しめる価格で提供する」という、情熱的なコンセプトだ。
実はこのお店、ルーツを辿れば南船場のワインバーから始まったという意外な経歴を持つ。コロナ禍という飲食業界にとっての逆風の中「みんなが盛り上がる場所、明るい店を作りたい」という想いから大衆焼肉を展開して大ヒット。福島や梅田界隈に続き、2025年11月に誕生したのが心斎橋店だ。
取り扱う肉は厳しい基準で選ばれた国産黒毛和牛のA5ランク雌牛。特定の銘柄に限定するのではなく、その日一番の状態のものを買い付けることで、驚異的なコストパフォーマンスを実現している。
さらに近年、店終いが早い店が多いなか、こちらは翌朝4時までという営業時間も特徴。食事の後、少しお腹が落ち着いた頃、“本当に旨い肉をほんの少し”楽しむには、これ以上ない一軒なのだ。
至福の名物「藤もとのロース丼」を目がけて
酒宴が盛り上がりを見せるなか、多くのお客がシメに注文するのが看板の「藤もとのロース丼」。
たっぷり80gのロース肉を、心地いい音と共にスタッフが目の前で焼き、丼の白飯を覆い隠すように重ねて仕上げには卵黄を落としてくれる。
この丼、ただの焼肉丼ではない。というのも肉は秘伝のタレを絡めて焼き上げ、ご飯は京都の米専門店『八代目儀兵衛』の艶やかな白米、卵黄は濃厚な旨味を持つ「神の卵」というこだわり抜いた素材が凝縮する。
卵黄を崩し、タレと肉汁が染みたご飯とともに肉を頬張る。時折、お好みで加えるワサビの辛味が効いた味変や共に提供されるテールスープのおいしさもたまらない。口いっぱいの幸福感が、記憶にしっかりと刻まれる。
飾らない本気を誰かに話したくなる店
他にもオーダーするならば、さっと炙ってとろけるような食感に悶絶する「レアロースユッケ」を。わずか1mm厚にスライスした極薄のロースが舌の上でスッと溶け、ナッツやゴマ、昆布パウダー、ネギの食感や旨み、風味が追ってくる。
例えば一軒目遣いならばロースやカルビ、赤身などを盛り合わせた「和牛&特選和牛6種盛り合わせ(タレ)」があるのは心斎橋店の特徴。食べ比べできるメニュー群が楽しい。
味のみならずカウンター席ならば、目の前で肉が切り出される様子も一興。
「切り立てを提供したい」というこだわりからほとんどの肉は、注文が入ってからスライサーや手切りでカット。その一手間を目にすることで、期待値が自然と高まってゆく。
飾らない大衆焼肉の空気感。それとは裏腹に、美学すら感じるほどこだわり抜いた高品質の肉。無骨な空気の奥にある本気というギャップこそがこの店の真骨頂。食べ終えた後は、きっと誰かに話したくなる。
data
- 店名
- 焼肉藤もと 心斎橋店
- 住所
- 大阪府大阪市中央区宗右衛門町1-21 ベイステージ宗右衛門町 1F
- 電話番号
- 06-7633-8851
- 営業時間
- 17:00〜翌朝4:00
- 定休日
- 不定休
- 交通
- 地下鉄心斎橋駅、日本橋駅より徒歩5分
- 席数
- カウンター12席、テーブル44席
- メニュー
- 和牛焼きしゃぶ1790円、ホルモン五種盛り1690円、厚切り上タン(塩)2590円、和牛&特選和牛6種盛り合わせ(タレ)300グラム5999円〜、特選和牛ハラミ&上ハラミ食べ比べ(塩orタレ)1990円、冷麺890円、藤もとの牛タンラーメン890円。飲み放題付きコース5500円〜。

特集:20時からの楽しみ
1軒目のあと、もう1軒くらい行きたいなと思う、そんな時間。
仕事帰りに、遅掛けの食事を食べる、そんな時間。
コロナ前ほど遅くまで飲み歩かなくなったけれど、それでも時計が20時なら、家に帰ってしまうのはもったいない。
20時以降の楽しみをお届けします。
writer

佐藤 良子
satoryoko
料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
instagram@ryocosugar
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