『アングレディアン 京都』シェフが情熱を注ぐ、栗菓子の新章

2020年のオープン時から看板として提供していたモンブランを2023年に一新。そこで誕生したプチガトーが「マロン」だ。淡いブラウンに、栗を思わせる印象的なフォルム。パティシエ・村田 健さんの確かな美意識が感じられる。

日々のingrédient(要素)となる “おやつ時”を思い浮かべ、高い技術を持ちながらも、奇抜さより親しみやすいお菓子を作る村田さん。日常に小さな特別をもたらしてくれる唯一無二の栗のお菓子をどうぞ。

名店で腕を磨き、大好きな街・京都へ

モノトーンの空間に鎮座するガラスケースの中には宝石のように美しいプチガトーが整然と並ぶ。その佇まいからはオーナーパティシエの村田 健さんの豊かな感性が伝わってくる。

フランスの五ツ星ホテル『シャトーサンマルタン・スパ』のレストランでデセール作りの腕を磨き、東京の『ジョエル・ロブション』で部門シェフパティシエを務めるなど、輝かしいキャリアを持つ村田さん。プライベートで何度も訪れ、知人も数多い京都に自店を構えたのは2020年。

日々を彩るingrédient(要素・構造)になればとの思いが込められたプチガトーは見目麗しいものの、味の構成を考える上で心がけているのは親しみやすさ。定番商品である季節替わりのロールケーキ、シュークリームも人気だ。

京都・聖護院『ingrédient Kyoto』外観
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新たな栗ケーキ誕生

開業当初は、かつて滞在していたフランスの街から眺めたモンブラン山をモチーフに、まさしくすっくと立つ白い山(モンブラン)を考案。すぐに完売する日もめずらしくない看板商品になっていたが、2年前にレシピを一新した。

京都・聖護院『ingrédient Kyoto』マロン
以前の「モンブラン」は縦長のフォルムだったため、持ち帰る際に倒れる可能性もあり、2023年に一新した「マロン」は安定感のある栗らしいフォルムに。トップには繊細な銀箔をあしらっている。896円。この季節でなくても食べられる通年販売というのが嬉しい。
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「マロン」と名付けられたプチガトーの土台は、ペースト状の栗を混ぜて焼いたコクのあるビスキュイ。そこにラム酒が香るムースマロン、渋皮栗、マロンペーストを重ね、バニラ風味のマロンシャンティで覆ったフォルムの美しさは圧倒的だ。妥協を許さない村田さんの姿勢は、ビスキュイ生地となめらかなムース、ペーストとの一体感からも歴然。まさに目も舌もうっとりさせてくれる。

京都・聖護院『ingrédient Kyoto』ショーケース
キラキラと宝石のようなお菓子が並ぶショーケース。赤や黄色のカラフルなスイーツの中に在っても、確固たる存在感を放つ「マロン」。
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京都・聖護院『ingrédient Kyoto』外観
京大病院沿いを歩いていると見えてくる店。外観、内観共に無駄を排したシンプルな造り。入り口の扉の窓を覗くと、輝くショーケースに目が引き寄せられる。販売スペースからは厨房がガラス越しに一望できる。生菓子のほか、サブレやケークなどの焼き菓子も販売されている。
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栗スイーツ特集

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writer

小林 明子

kobayashiakiko

京都在住フリーライター。缶入りクッキー、ワッフル、薯蕷饅頭、そば餅…、これらの名店に徒歩で行ける京都市の烏丸御池近くに生まれる。自動的に甘いもの好きが出来上がりました。