この上ない栗の存在感。兵庫・芦屋『PÂTISSERIE éttoné』のテリーヌとモンブラン
contents
生地の7割が栗!のリッチなテリーヌ
神戸北野ホテルの『イグレックプリュス』にて長年製菓長を務め、芦屋で『PÂTISSERIE éttoné』を開業した多田征二さん。
開業時から不動の人気の「和栗のテリーヌ」はエトネの代表作のひとつだ。手土産にちょうどいいサイズ感と価格。何より日本人が大好きな栗の風味が生きている。
主役は多田シェフが10年ほど前に出会った熊本県産の利平栗。「食べたときに栗本来の甘さがしっかり感じられるんです。この味を生かした、うちにしかない名物をと考えました」。
利平栗のペーストとバターを、しっかりと、けれども栗の風味が飛ばないように加減を見ながら混ぜ合わせていく。コーンスターチと粉砂糖を加えてさらに攪拌。最後に温めた生クリームを少しプラスしてコクを持たせたら、栗の風味豊かな滑らかな生地の完成だ。
焼き型に絞ったら別品種の小粒の栗を敷き詰める。焼き上げ、一日冷蔵庫で休ませ、生地が馴染んだら完成。
全体の7割が栗で、それ以外の素材が3割という構成。どこをカットしても栗が出てくるリッチな栗のテリーヌだ。
お菓子は食べる温度も大切に
和栗のテリーヌは「食べる前に少し常温に置いてから味わって」と多田さん。冷蔵庫から出してすぐの冷たい状態では栗の香りを全開に感じられないから、とのこと。外国産の栗は単体でも味がしっかりしているけれど、和栗の甘みや香りは繊細。温度によって舌への伝わり方が全く違うそう。なるほど、適温で味わうと、生地のしっとり感も増し、より滑らかな口どけに。そして栗の風味が生きてくる。
栗の旨み際立つモンブラン
さてこの時期の洋菓子店のショーケースの花形といえば、老若男女問わず愛されるモンブラン。エトネでは現在、生菓子の販売はしていないが、秋には限定でモンブランが登場する。
「お店によって作り方は色々ですが、僕は余分な味が入るとモンブラン全体の味が切断されるような気がするので」と、極力余分なものを削ぎ落とし、栗を主役に考えたシンプル設計だ。
土台のメレンゲ、間に生クリーム、その上にマロンクリームをたっぷり絞る。口溶けが良いけれどもサクッとしっかり焼き上げたフレンチメレンゲ。間を繋ぐ生クリームは程よい甘みに抑える。マロンクリームに使うのは、愛媛県産の栗のシロップ煮。和栗は元来硬さが特徴で、風味は淡く繊細だ。そこで栗の香りが開くまで、ミキサーでしっかり撹拌して仕上げている。全体のバランスと、素材を生かすことを突き詰めた「エトネ」のモンブランは、一口目から栗のほっこりした質感もあり、栗感が立っている。ひとつが結構大きめなのだが、その風味を満喫していると瞬く間に消えてゆく。
data
- 店名
- PÂTISSERIE éttoné
- 住所
- 兵庫県芦屋市大桝町5-21
- 電話番号
- 0797-62-6316
- 営業時間
- 10:00〜18:00
- 定休日
- 月曜〜金曜
- 交通
- 阪神芦屋駅から徒歩5分
- メニュー
- サブレフレカンテ1280円、パールショコラ ルビー790円、アマンド サレ550円、ブール ド ネージュ550円。
- https://www.instagram.com/etonne71/

recommend






