灘温泉の前に、さらっと一杯

灘温泉の前に、さらっと一杯

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2024.03.05

文:「あまから手帖」編集部・森千尋 / 撮影:山口謙吾

「寿限無」の一節に混じっていても気付かれないであろう長い店名は、「たかたやあさひみせいっしきや」と読む。濁点は付かない。日暮れ前の夕方4時には、店に明かりを灯す。

目次

おでんが名物のなんでも屋

おでんが名物の何でも屋

まだまだ職場でもうひと踏ん張りしなくてはならない時刻、夕方4時に開店し、まだ少し飲み足りない夜10時には閉店してしまう。名を「高田屋旭店一色屋」という。通年美味しい白味噌おでんがいただける酒場だ。

店内はほとんどが一人客、もしくは二人連れ。三人以上の団体で来ている客はいなかった。隣に座ったロマンスグレーなお父さんは、生中とおでん、シマアジの刺身でちびちびやった後スッと席を立ち、店を出て行った。周りを見ても、そこまで長居をしている客が居ないので、0次会の利用に向くのかもしれない。

黒板を見ると、げそ唐揚げ、チキンカツ、海老フライ、山芋短冊揚げ……18品ある定番メニューのうち、揚げ物が11品を占めている。「本日のおすすめ」には海老チリ、すじどて煮、骨付きカルビ、あら炊き、酢がきなど酒を呼ぶ一品がずらり。四代目によると、二代目に代替わりした際に居酒屋というより何でも屋になり、メニューが増えたのだそう。

隣に、また別の一人客が座る。手には浴用タオルが握られている。店のある水道橋筋には、灘温泉がある。入浴前の腹ごしらえか。よく見れば、風呂上がりの一杯をやりにきたような客も多い。今度真似してみようか。

本日のおすすめより、トンテキ550円。本日のおすすめより、トンテキ550円。

■店名
高田屋旭店一色屋
■詳細
兵庫県神戸市灘区水道筋1-32

テーマは「地元密着」。外から北摂へ戻ったお店のストーリーから、新店情報が満載の「ほくほく北摂ニュース」、ご近所バー、ほろ酔いおでん酒場、毎日通いたいパン屋などなど。地元人へのアンケートや常連さんが映った写真も掲載しているので、あなたの知り合いが載っているかも!?

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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