灘温泉の前に、さらっと一杯
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「寿限無」の一節に混じっていても気付かれないであろう長い店名は、「たかたやあさひみせいっしきや」と読む。濁点は付かない。日暮れ前の夕方4時には、店に明かりを灯す。
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おでんが名物の何でも屋
まだまだ職場でもうひと踏ん張りしなくてはならない時刻、夕方4時に開店し、まだ少し飲み足りない夜10時には閉店してしまう。名を「高田屋旭店一色屋」という。通年美味しい白味噌おでんがいただける酒場だ。
店内はほとんどが一人客、もしくは二人連れ。三人以上の団体で来ている客はいなかった。隣に座ったロマンスグレーなお父さんは、生中とおでん、シマアジの刺身でちびちびやった後スッと席を立ち、店を出て行った。周りを見ても、そこまで長居をしている客が居ないので、0次会の利用に向くのかもしれない。
黒板を見ると、げそ唐揚げ、チキンカツ、海老フライ、山芋短冊揚げ……18品ある定番メニューのうち、揚げ物が11品を占めている。「本日のおすすめ」には海老チリ、すじどて煮、骨付きカルビ、あら炊き、酢がきなど酒を呼ぶ一品がずらり。四代目によると、二代目に代替わりした際に居酒屋というより何でも屋になり、メニューが増えたのだそう。
隣に、また別の一人客が座る。手には浴用タオルが握られている。店のある水道橋筋には、灘温泉がある。入浴前の腹ごしらえか。よく見れば、風呂上がりの一杯をやりにきたような客も多い。今度真似してみようか。
本日のおすすめより、トンテキ550円。
■店名
高田屋旭店一色屋
■詳細
兵庫県神戸市灘区水道筋1-32
Writer ライター
あまから手帖 編集部
amakara techo