加古川は肉のまち。地元だけで消費されるブランド和牛を訪ねて
神戸ビーフと同等にもなる、「加古川和牛」とは
加古川和牛は兵庫県内で生まれた但馬牛のうち、加古川の農家で育てられた牛を指す。ただし、そのすべてが加古川和牛と認定されるわけではない。兵庫県産但馬牛の子孫で、加古川市内の農家によって12か月以上育てられていること。兵庫県内の食肉センターで、屠畜解体・取引されたものであること。屠畜月齢が生後28か月齢以上60か月齢以下であること。歩留等級がAまたはBであり、肉質等級が2等級以上であること。そうした条件を満たしたものだけが、「加古川和牛」を名乗ることができる。
あまり知られていないが、神戸ビーフと同程度の水準にありながら、価格はやや抑えめ。しかし、旨い肉なら他府県にもある。加古川和牛の最大の特徴は、創業から150年という日本最古級の牛肉処理施設である加古川食肉センターがあり、生産者から届いた牛をすぐに加工、精肉して消費者に届けられること。つまり牛の繁殖、飼育、加工、精肉までを地域で一貫して行うため、安心・安全。通常なら別ルートで流通するホルモン類も加古川和牛の名のもとに販売することができる。
加古川和牛の担い手の一つ『井相田牧場』
その土台を支える生産者の一つが、『井相田牧場』である。加古川市上荘町に拠点を置き、但馬牛と神戸牛、自社ブランドである播州牛を育てる。二代目社長の井相田弘幸さんは、これまで行ってきた但馬牛の肥育事業に加え、繁殖事業にも参入し、生産から出荷まで一貫生産することで流通や価格の安定を目指している。
「特別なことはしていないけれど、牛は個体差があり、日ごとの体調もある。それを毎日見て、異変があれば早めに手を打ち、状態を崩さないよう整える。その繰り返しが、最終的な肉質の安定につながります」と井相田さん。
現在飼育している和牛は700頭。神戸牛への認定率約95%(平均約70%)、神戸牛のコンテストでも最優秀賞なども受賞するなど、高い生産・飼育技術を誇っている。
自社牧場で社長が毎朝目利きする『志方亭』
もちろん、育てる人がいれば、販売し、消費する人がいることで地域循環が成立する。地元で愛される肉の名門『志方亭』では、社長自らが牛を目利きし、食肉センターで処理してすぐに店で加工する。一番美味しいものを、一番美味しい状態で味わえる、何とも贅沢な焼き肉店だ。
「脂が軽い」「脂がしつこくない」とは、よく和牛における褒め言葉として使われるが、加古川和牛は、「脂がクリア」。霜降りでびっしりとサシが入っている部位も、少しの加熱で融点の低い脂がじわっと染み出し、舌になじむように消える。同時に、上品な和牛香が鼻腔を抜ける。
加古川和牛の良さは脂と赤身の折り合いがよく、部位ごとの表情が見えることにある。志方亭は、その特徴を皿の上で過不足なく伝えている。
たとえばハラミ。細かなサシは入っているが、見た目重視の霜降りではない。焼けば脂の甘さは立つものの、噛んだ後に赤身の旨みがきちんと追いかけてくる。
特上ロースやシャトーブリアンも同様で、柔らかさ一辺倒ではなく、肉そのものの輪郭がきちんと残る歯応えに仕上がっている。
加古川和牛は、全国的な知名度ではまだ発展途上かもしれない。だが、訪れてみると加古川市内には焼き肉店が100店舗以上あり、「加古川和牛」「志方牛」などの文言があちこちで見られるなど、肉のまちであることが実感できる。ビーフカツをのせた「かつめし」もご当地グルメとして売り出し中。肉好きなら一度足を運んでみる価値はある。
data
- 店名
- 志方亭 稲美店
- 住所
- 稲美町国岡1-106
- 電話番号
- 079-497-0029
- 営業時間
- 11:00~14:30、17:00~21:30 土曜11:00~15:00、16:00~22:00 日曜、祝日11:00~15:00、16:00~21:30 ※ラストオーダーはいずれも30分前
- 定休日
- 月曜
- 公式サイト
- https://shikatatei.com/
recommend






