世界を股にかけるスターシェフが夢の共演。『パティーナ大阪』のレストラン『P72』イベントレポート
国を超えて20年ぶりに同じキッチンで
2026年5月にオープンした、シンガポール発のラグジュアリーホテル『パティーナ大阪』。今回のイベントは、そんなホテルともゆかりのあるシンガポールがテーマだ。
総料理長のアントニー・ショルトマイヤー氏がゲストに招いたのはアンドリュー・ヨー氏。『Tao Group Hospitality』すべての料理部門を統括するグローバル・エグゼクティブ・シェフを務めたほか、『ザ・マイアミビーチ・エディション』や『ザ・リッツ・カールトン』など、世界各地のラグジュアリーホテルやレストランで経験を重ねてきたシェフだ。
ディナーのコースは両者の料理が登場する仕立て。アンドリューシェフの故郷・シンガポールの味をベースにした料理と、『P72』が大切にする土地の食材を使った料理がコースの中でつながっていく。
「アンドリューとは20年ぶりに一緒に厨房に立つんです」。実はシェフたちは約20年前に『ザ・リッツ・カールトン・ミレニア シンガポール』で一緒に働いていた仲。縁がつながり、今度は大阪で一緒に料理する。そう聞くとこの日の一皿一皿が少し特別にみえてくる。
最初の料理は、祝いの一皿「自家製ハーブ香る鱒(マス)のユーシェン」(アンドリューシェフ作)。ユーシェン=魚生とは、シンガポールやマレーシアなどで、旧正月に食べる料理。大皿に、刺身と細切りにした野菜などを盛り付けてソースをかける、海鮮サラダのようなイメージだ。
大阪で獲れた鱒を、2日間かけてマリネしフレッシュに仕上げた。包んでいるのは、大根と人参、柑橘。日本の紅白なますのような味わいに、トビコやスパイスをきかせたクラッカーが加わると、食感の変化も楽しい。
ハーブは、すぐ目の前の庭から
料理をいただきながらメニューの「自家製ハーブ」という文字が気になる。実は『P72』にはハーブガーデンがあり、テラス席のすぐ横で育てたハーブを料理に使っているのだ。
ここで『P72』について。Pはもちろん「パティーナ」の頭文字。72は、1年を72の「候」に細分した日本の七十二候から着想を得ている。関西は京都・亀岡、大阪・枚方、淡路島などのこだわりの野菜を使い、料理の約70%を野菜が占めるのも特徴。さらに、奈良・宇陀の摘果したキウイフルーツをピクルスにしたり、食材を無駄なく使った調味料を常備したりと、素材を最後まで使う工夫も。塩麹や醤油、フルーツのプレザーブなども自家製している。
スペシャリテはシンガポール郷土の味
続くスペシャリテは「鱈の蜂蜜グレーズ」(アンドリューシェフ作)。蜂蜜に漬けたタラを焼き、濃縮したラクサソースを合わせる。シンガポールの家庭料理をベースに仕立てた一皿だという。「この料理の特徴はハニーグレーズにあります。蜂蜜、胡麻、そして特製のラクサソースが、シンガポールらしいユニークな風味を生み出しています。僕も大好きなウニを使っているので、日本の方の口にも合うと思いますよ」とアンドリューシェフ。
肉料理は「国産豚肉の叉焼」(アンドリューシェフ作)。叉焼は通常、タレに漬けたら大きな鉄鍋を使って強火で焼き上げる。ところがここは日本。設備が異なるため、ゆっくりじっくり煮込むことで味を染み込ませ、噛まずともおいしくやわらかに。アジアン・チミチュリを添えて。
もうひとつの主役は月餅。イベント開催中はちょうど満月。そこで月餅を取り入れたという。里芋と中華豚ソーセージを使った月餅は、しっとりほくほくでやさしい味わい。満月だから月餅という季節の拾い方が素敵だ。
デザートの「杏仁豆腐」は驚くほど濃厚。ジャスミンや桃の香りが重なって、最後までアジアンな余韻を楽しめる。
世界で活躍するアンドリューシェフと、その土地の食材や季節などを大切にするアントニー氏。ふたりの料理が出合うことで、シンガポールの味そのままではなく新しい味わいに。普段の『P72』にも足を運んでみたくなるディナーだ。
data
- 店名
- P72
- 住所
- 大阪府大阪市中央区馬場町3-91
- 電話番号
- 06-6941-8888
- 営業時間
- 月〜火曜11:30〜18:00(17:00LO)、水〜金曜11:30〜22:00(20:30LO)、土曜10:00〜22:00(20:30LO)、日曜10:00〜18:00(17:00LO)
- 定休日
- なし
- 交通
- 地下鉄谷町四丁目駅から徒歩11分
- 席数
- テーブル84席(屋内46席、テラス38席)
- 個室
- なし
- メニュー
- 平日ランチコース3品5500円~、ディナーコース4品8000円~、アフタヌーンティー8200円。
- 外国語メニュー
- 英語
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amakara.jp編集部
amakara.jp
関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。
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