四畳半の箱に詰めた、京の四季と菓子職人の技。 京都『御菓子司 亀末廣』の「京のよすが」
六代目が考案した京の菓子
秋田杉の箱の蓋を開けると、色とりどりの小さな菓子が整然と並ぶ。
菊や梅などの草花、京都の年中行事にちなんだ意匠。形も色も異なる菓子が一つの箱に収まり、眺めているだけでも楽しい。京都の老舗『御菓子司 亀末廣』を代表する「京のよすが」は、干菓子や半生菓子を取り合わせた詰め合わせだ。
考案したのは六代目。戦争によって一時休業していた店が、戦後に商いを再開した頃に生まれたという。菓子を楽しむ余裕さえ乏しかった時代に、少しでも人々の目を楽しませたい。そんな思いから、趣向を凝らした菓子の詰め合わせを作り上げたと伝わる。
特徴的なのが茶室に見立てた箱の造り。菓子を区切る仕切りも六代目が考案したもので、色や形の異なる菓子が美しく収められている。蓋を開けると仕切りごとに表情の違う菓子が現れ、箱全体で季節の風景を描いているようだ
四軒の別家が支える味わい
一箱に詰まっているのは、色も形も異なる小さな菓子の数々。
秋の詰め合わせには稲穂や小芋の葉、萩、光琳菊など、秋ならではの意匠が並んでいた。黄色や緑、淡い紅色を取り合わせた彩りも美しく、季節の草花や風物を細やかに表現している。どれからいただこうかと迷うのも「京のよすが」ならではの楽しみだ。
これほど多彩な菓子を揃えられるのは『亀末廣』と縁のある四軒の別家が製造に携わっているからという。
それぞれの技術を生かし、小さな菓子を作り分けている。菓子の形や色だけでなく、口どけや歯触りにも変化をつけられるのは、異なる技を持つ職人たちが関わっているからこそ。長年の付き合いが、一箱の豊かさにつながっている。
材料には和三盆や丹波の大納言小豆など、良質な素材を惜しみなく使う。昔ながらの味を大切にしながら、菓子ごとに異なる製法を駆使。一箱に京菓子の多彩な技が詰まっている。
京の四季を映す菓子の意匠
「京のよすが」の楽しみは、訪れる時期によって中身が変わることにもある。春には梅や桜、秋には萩や菊、柿など、その季節ならではの草花や風物が小さな菓子になって登場する。祇園祭や五山送り火といった京都の行事を表す意匠もあり、一箱から京都の一年の移ろいが感じられる。
菓子が変わるのは一年におよそ14回。ただし、決まった日にすべてを入れ替えるわけではなく、季節の進み具合を見ながら少しずつ切り替えていく。ある菓子が姿を消し、別の菓子が加わることで、箱の中の景色もゆっくりと変化する。
その判断を担っているのが八代目の吉田かな女さん。桜の開花時期が年によって異なるように、季節は暦通りに進むとは限らない。そこで実際の気候にも目を配りながら、少し先の季節を感じられるようにしているという。まだ目にしていない花が菓子になって現れれば、次の季節を待つ楽しみも生まれる。
箱を開ける楽しみを贈る
小さな菓子が隙間なく並ぶ姿は華やかで、手土産や贈り物にも人気が高い。季節によって中身が異なるため、同じ相手に何度贈っても新しい楽しみがある。受け取った人が蓋を開け、菓子を一つずつ眺めながら、京都の季節に思いを巡らせる。そんな時間まで届けてくれる詰め合わせだ。
味わう時、形や色の違いを眺めながら、気になるものを一つずつ。口の中でほろりとほどけるもの、しっとりとした口当たりのものなど、異なる食感や味わいを楽しめる。温かいお茶とともに、少しずついただくのもいい。
秋田杉の木箱入りのほか、気軽に楽しめる小さな「京のよすが(亀甲)」1,400円も用意されている。六角形の紙箱に色とりどりの菓子を詰めたもので、少人数への手土産や自分用にも選びやすい。小ぶりながら、蓋を開ければ華やかな菓子の世界が広がる。
「京のよすが」を購入できる場所
「京のよすが」の購入は京都・姉小路通に店を構える『御菓子司 亀末廣』の本店が基本。百貨店への常設出店やオンライン販売は行わず、昔ながらの対面販売を大切にしている。季節によって詰め合わせの内容が変わるため、訪れるたびに異なる意匠に出合えるのも楽しみ。確実に購入したい場合は、事前に電話で予約しておくのがおすすめだ。
data
- 店名
- 御菓子司 亀末廣
- 住所
- 京都府京都市中京区姉小路車屋町東入ル車屋町251
- 電話番号
- 075-221-5110
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 水・日曜、祝日
- 交通
- 地下鉄烏丸御池駅から徒歩2分
- メニュー
- 京のよすが(16cm、木箱)4,200円、京のよすが(亀甲)1,400円、絹のしずく1,750円
- https://www.instagram.com/kamesuehiro/

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