大阪の真ん中で、愛媛のおもてなし。大阪『宇和海料理 藝夢(げいむ)』

大阪・天神橋筋沿いでさりげなく目を引く「宇和海料理」の文字。宇和海(うわかい)とは、愛媛県屈指の漁場のこと。大阪ではまずお目にかかれない宇和海の高級魚を豪快に盛りつけた郷土料理のおもてなしは、まるで旅先で温かな民宿に出合ったような気分になります。

ここは“大阪にある愛媛”

最寄駅は、大阪メトロ・南森町駅かJR大阪天満宮駅。天神橋筋沿いを南へ2~3分歩くと、こんな看板が目に入ります。

大阪『宇和海料理 藝夢』看板
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「見たことない魚もあるでしょ。愛南町(あいなんちょう)から毎朝送られてくるんですよ」と朗らかな笑顔で迎え入れてくれたのは、愛媛県の最南端にある、南宇和郡愛南町出身の店主・柴原美枝さん。三代続く実家の魚介卸から、この日はウチワエビやヒオウギ貝、茶色マルハタ…といった高級食材が。

大阪『宇和海料理 藝夢』魚介の写真
店内にも愛南町の魚介の写真がずらり。
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「愛南町で生まれて大阪に嫁いできました。25年前に主人の事務所の小さな部屋を借りてお店を開いたんですが、私のふるさとの味が思いのほか好評で。狭いのに『30人予約できますか?』なんて声をいただいたことも。2008年に元倉庫だったこの広い場所へ移転して、今では主人も巻き込んで家族でお店をしています」

食材や味付けだけでなく、大皿で取り分けるスタイルも現地感たっぷり。「みなさんでお腹いっぱい召し上がってほしくて。『こんなの食べたことない!』と喜んでいただくことが多いけど、とにかく素材がいいので、私らは別に何にもしてないんですよ(笑)」と笑う柴原さん。実家の母のような温かな人柄や店内の落ち着いた雰囲気も相まって、大阪にいながらまるで愛媛の民宿でおもてなしを受けたような気持ちになります。

大阪『宇和海料理 藝夢』内観
写真は、カーテンで半個室にできるタイプの部屋。ほかに個室が3つあり、グループでもゆったりと過ごせます。愛媛県の「えひめ食の大使館」に認定されていて、今治タオルのおしぼりや砥部焼の器など、店内は料理以外も愛媛づくし。
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絶品!母の味カツオのタタキ

メニューはおまかせのコース仕立て。6000円〜1万5000円ぐらいの間で予算を伝えると、その日に届く鮮魚をあらゆる手法で提供してくれます。基本的な内容は、さしみ盆、タタキ、盛り込み鉢4〜5品、炮烙(ほうらく)焼き。値段によって登場する食材が異なります。

揚げたり茹でたり、さまざまな魚介を楽しめる「盛り込み鉢」のほか、「自家製カツオのタタキ」は店の看板メニュー。

大阪『宇和海料理 藝夢』の「自家製カツオのタタキ」と「貝の盛り合わせ」
手前は「自家製カツオのタタキ」。奥の「貝の盛り合わせ」にはマガキ貝とカメノテが。豊かな風味にお酒も進みます。
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「実は、愛南町はカツオの水揚げ量が四国一。現地ではまだ動いているほど新鮮な状態で食べるんですよ。分厚く切っても透き通るほど質が良く、もちもちした食感が特徴です」

味付けは、カツオが見えないほど薬味をたっぷり乗せた、塩タタキをベースにした柴原さんのお母さんの味。愛南町では甘めの味付けが好まれるそうですが、関西人も食べやすいように少しだけアレンジしているのだとか。さっぱりとしたタレと旨みが凝縮したカツオの組み合わせにお箸が止まらなくなります。

歓声が上がる「炮烙(ほうらく)焼き」

必食はもう一品。昔ながらの製法で焼き上げた、藻塩でいただく愛南町の「炮烙(ほうらく)焼き」です。取材日は大きなイシダイに、なんとウチワエビとヒオウギ貝も!シンプルながら滋味深い贅沢な一皿は、ほかではなかなか味わえません。

大阪『宇和海料理 藝夢』の「炮烙焼き」
塩の上に魚を置いて焼き上げた「炮烙焼き」。
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絶景かな、「刺身の盛り合わせ」

みんなが大好きな刺身。「日によってお出しできない種類もあるんです」とは、おいしい魚を味わってもらうべく、とことん質にこだわるからこその言葉。提供可能な日は、白身の高級魚を中心にしたこんな絶景が目の前に。

大阪『宇和海料理 藝夢』の「刺身の盛り合わせ」
「刺身の盛り合わせ」。
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写真の皿には、イサキ、ヒラメ、シマアジ、クエのほか、プリプリで甘いゾウリエビとウチワエビが。鮮度抜群の上質な魚は、麦麹で仕込んだまろやかな味わいの愛南町の醤油と相性抜群です。

誰と訪れても大満足を約束する、豪快で愛情たっぷりな郷土料理のおもてなし。ぜひ、グループで大皿を囲んでみてください。大阪にいながら、愛南町へ旅した気分になれるはず。

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