兵庫・室津の漁港にある料理店。兵庫・たつの市『まるよし』

瀬戸内海の東部に広がる播磨灘。夢前川や揖保川、千種川と大きな河川が流れ込み、1年を通してさまざまな魚介が獲れる豊かな海域です。この播磨灘の西の方、室津港にあるのが魚介料理店『まるよし』です。

代々続く魚卸が料理店へ

山からの滋養をたっぷりと含む播磨灘。栄養豊富な海域のため、近年、牡蠣の養殖が定着しましたが、「うちは元々からいる天然の魚で勝負したい」とは、創業50年を超える『まるよし』の店主・坂上吉憲さん。

もとは、室津の魚卸だった『まるよし』。坂上さんが仕出しを始めるようになったのをきっかけに現在の料理店の形になったそう。

こだわりは、何といっても鮮度。毎朝、室津港で魚介を仕入れ、それを店内の生け簀へ。見ると、5kgを超える平目やアコウなどの大型魚から小型の磯魚まで、旬の魚がぎっしりと入れられています。そして注文ごとに、その生簀から新鮮なまま魚を供するのです。

『まるよし』初代吉憲さんと、二代目の吉久さん
初代吉憲さん(右)と、二代目の吉久さん(左)。ご家族で店を切り盛り。
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魚料理を食べるなら丸一尾で

「魚を食べ慣れているのもあって、街の方とは食べ方が違いますね。切り身を使うのは賄いくらい」と話す通り、室津では一人一尾付けが基本だとか。もちろん『まるよし』でも、丸ごと魚を調理したメニューが多く登場します。

『まるよし』「スゴイの塩焼き」
写真の料理は夜のコース6600円~、昼のコース3500円~から。アブラメの一種「スゴイの塩焼き」。小ぶりながらも脂がしっとり。
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また、素材を引き立てるため、味付けはいたってシンプル。例えば、煮付には薄口醤油のみを使用することで、白身の味を生かします。煮汁はすっきりと上品ながらも、魚の旨みがたっぷり。思わず飲み干したくなるほどの美味しさです。

『まるよし』「メバルの煮付」
白身ながら濃密な旨みの「メバルの煮付」。
『まるよし』「目板カレイの唐揚げ」
カリッと揚がった中骨と、ふわふわの身の食感が楽しい。「目板カレイの唐揚げ」。
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人気のメニューは、その日に仕入れたネタが揃う「室津特選にぎり」。「よその魚がないのが値打ち」という通り、14貫すべてが播磨灘でとれたもの。その多彩さに、あらためて播磨灘の底力を思い知らされます。

『まるよし』「室津特選にぎり」
新鮮なネタが14貫「室津特選にぎり」(吸物付き)。3500円。
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栄養豊富な海で育まれた魚介、そして魚を知り尽くした店主による料理は格別。その贅沢な味わいを堪能しに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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amakara.jp編集部

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