大阪・箕面『ごはんや 燁』割烹の味をカジュアル和定食で

大阪・箕面の閑静な住宅街で大人気の『ごはんや 燁』。チキン南蛮やからあげ、どて焼きなどの親しみやすいメニューを主菜にしたカジュアルな定食を提供しています。日本料理店『一汁二菜 うえの』の系列店ということで、副菜の一つ一つまで、割烹級のおいしさです。

あの『一汁二汁 うえの』の系列店

お昼どき、閑静な住宅街が広がる箕面・牧落の一角に、老若男女の行列が。その先にあるのは、北摂が誇る人気日本料理店『一汁二菜うえの』が展開する定食屋『ごはんや 燁』です。

ごはんや燁の外観
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好評のチキン南蛮をきっかけに開店

扉を開ければだしのいい香りが漂い、メニュー表には「サバの炭焼き定食」や「からあげ定食」といった誰もが大好きな料理名。定食屋にして焼き物は炭焼き(!)という発見も期待せずにはいられません。

厨房を預かる料理長の松本拓大さんは豊中本店や箕面店で計9年腕を磨いた経歴の持ち主。「まかないを作るうちに、日常の料理の面白さに気づきました。特に故郷・長崎名物のチキン南蛮を作ったところ仲間から評判で、定食屋をやりたいという思いが生まれ、ならば店を出そうとなって」と、2021年5月にオープンしました。

ごはんや燁のチキン南蛮
一番人気のチキン南蛮定食1880円。分厚い鶏もも肉の上には微細に刻んだキュウリや沢庵を加え混ぜ、食感と漬物の旨味を加えたタルタルソース。「龍のたまご」を贅沢に使うたまご感たっぷりのタルタルソースと黒酢を加えたコクのある甘酢タレが鶏肉に絡みます。
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定番料理をアップグレード

加熱された味噌の香ばしい香りを辺りに漂わせ、ぐつぐつと煮えたぎって運ばれてきた「どて焼き」は、ごろっと食べ応えのある牛スジとプリプリのコンニャク、ツルンと口の中に入ってハフハフ食べる絹ごし豆腐のハーモニーがたまりません。
白と赤をブレンドする味噌は本店と同じもの。それをのばすだしは真昆布やカツオ節の等級は違うものの、本店と同じ技術で引いた一番だしです。「調味料や野菜は本店と同じものを使っています。家庭ではできない下処理の丁寧さで、いかに皆さんが知っている料理を美味しく提供するか。あと、定食屋なのでボリュームにもこだわっています」と松本さん。

ごはんや燁のどて焼き
ごはんや燁のどて焼き2
どて焼き定食1880円。写真の小鉢は「胡麻豆腐」、「切り干し大根」、レーズンや粒マスタードを効かせた「サツマイモのポテトサラダ」。定食はいずれもご飯おかわり1杯無料が嬉しい。残った味噌ダレにご飯を入れて食べるのも最高です。
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副菜にも日本料理の仕事が

注目したいのは主菜だけにあらず。サイドメニューの小鉢は日本料理の古典的な仕事と言われる「胡麻豆腐」や松本さんが本店で学んだという「小松菜と柿の白酢(豆腐を裏漉して酢や出汁などでのばすソース)がけ」、そして梅干しや一番だし、みりんなどで炊いてさっぱり仕上げた「切り干し大根」、タイのほぐし身と茗荷を合わせ大根おろしをそえてポン酢で食べる「タイのおろしポン酢」など、月替わりの7種から3種がセットに。土佐酢でもんだセロリなど、「香の物」まで感動のおいしさで、ツヤツヤに輝く北海道産ゆめぴりかのご飯がすすむ、すすむ!

こうした本店と同じ品質の素材や調味料を使いながらも、リーズナブルな定食で出せるのは、「姉妹店の連携プレーから」と松本さん。例えばタイのほぐし身に使うタイは本店の端材。とはいえしっかり肥えた極上もんゆえ、その身質や旨味の濃さはひと口食べただけで開眼必死。さらに焼き、煮、揚げといった技術など随所に輝く日本料理店イズムを発見するたびにたまらなく嬉しくなります。また、楽しい子どもメニューもあるので、子連れランチにもぜひ。

ごはんや燁の豚の角煮
下茹でしてから一番だしと醤油でコトコト煮込んだ豚の角煮はホロリと箸でほどけます。付け合わせもたっぷりでボリューム満点。写真の小鉢は「小松菜と柿の白酢がけ」「マカロニサラダ」「タイのおろしポン酢」。豚の角煮定食2080円。
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ごはんや燁内観
ごはんや燁内観
店内には琉球びんがたのあいうえお表やすごろく、全国各地の張子など、女将さんの趣味だという民芸品が随所に。
ごはんや燁内観
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writer

佐藤 良子

satoryoko

料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
instagram@ryocosugar