飾らない王道フレンチ、京都・二条城前『CHINON(シノン)』

ほろりと崩れる牛ホホ肉の煮込みや極厚の田舎風テリーヌなど、伝統的なフランス料理がズラリ。味わいは本格的ながら、カウンターメインの気取らない雰囲気。初めてのフレンチにもおすすめのお店です。

パリの名店『マキシム』仕込み

京都・二条城から東へ歩くこと3分。印象的なグリーンの壁色が、『CHINON』の目印です。シェフの坂由紀夫さんは料理人歴約40年という大ベテラン。19歳の時に単身でフランスへ旅立ち、パリの名レストラン『マキシム』の総料理長に学んだ経験も持つ実力派です。

坂さんが京都で最初に店を開いたのは2000年。イタリアンや居酒屋など異ジャンルでの経験と約10年の充電期間を経て、2019年に京都で再始動することを決めました。
「自身が年を取って改めて、昔ながらの飾らないフレンチって落ち着くなぁ。そんな店を作りたいなあと思って」と、坂さんは目を細めながらその理由を話します。

『CHINON』外観
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『CHINON』坂由紀夫シェフ
シェフの坂由紀夫さんは1960年京都生まれ。2000年に開いたお店はコース主体で今のような気軽なビストロではなく、レストランに近いスタイルだったそうです。
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とろける牛ホホ肉の煮込みが絶品

「老舗の味は、舌と身体に刻み込まれています」と話す坂さんが大切にしているのは、『マキシム』から受け継いだ伝統的な味わいです。カウンターの上に書かれているメニューは、常時20種ほど。豚肩肉と鶏レバーで作る田舎風テリーヌやオムレツ、エスカルゴのオーブンバター焼きなど、クラシカルな品々が並んでいます。

なかでも試していただきたいのは、「仕事の丁寧さがそのまま出る料理です」と坂さんが話す、牛ホホ肉の赤ワイン煮込みです。ピカピカと光る鳶色(とびいろ)のソースの澄み切った旨みは、3日以上かけて取ったフォン・ド・ボー(牛だし)のなせる業。仕上げにたっぷり加えるバターでコクを出すと同時にワインの酸味を和らげる手法も、先人たちが磨き上げたテクニックのひとつです。

『CHINON』の田舎風テリーヌ
豚肩肉と鶏レバーで作る田舎風テリーヌ2090円は豪快な厚切りで登場します。
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『CHINON』のエスカルゴのオーブン焼き
エスカルゴのオーブン焼きはフカフカの自家製フォカッチャ付で2310円。澄ましバターとパセリバターの2種を使って、奥行きのある味わいに仕立てています。
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『CHINON』の牛ホホ肉の煮込み
国産牛ホホ肉の煮込み4290円は約150gの大ボリューム。
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ワイン1杯とひと皿だけも大歓迎!

「夜ならワインと料理ひと皿だけでも、ウエルカム。ウチはボリュームがあるので、お一人様は量も相談に応じますよ」と坂さん。

ロースハムなどの自家製シャルキュトリーを少しずつ盛り合わせてもらうことも可能。わからないメニューがあれば、気軽に質問するのもOK!親しみやすい人柄の坂シェフとのカウンター越しの会話も、この店のおいしさのひとつです。