風情もおいしい、京都・伏見『京料理 清和荘』の松花堂弁当

焼きたての甘鯛若狭焼や季節のご飯を盛り込んだ松花堂弁当は、1957年の創業時から人気の昼膳。美しい庭園と風情豊かな数寄屋造りの館も味わいどころです。

和の情緒に満ちた静謐な空間

京都・伏見の住宅街に佇む『京料理 清和荘』の創業は1957年。1000坪の広い敷地内に建つ数寄屋造りの屋敷は、昭和初期の建築。かつてのお座敷は、足の悪い方でも寛げる絨毯敷きの椅子席や掘りごたつ席に仕様を変更。2016年には、揚げたての天ぷらをいただける小さなカウンターを新設。数度にわたる改装や改築を施しながらも往時の風情を巧みに残した空間は、池の水音や小鳥のさえずりなどの自然の音がBGM。心安らぐ凛とした雰囲気に満ちています。

『清和荘』の個室イメージ
広さの異なる個室は全9室。常緑樹を配した日本庭園は、四季折々の景色を楽しめます。
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『京料理 清和荘』店主の竹中徹男さん
3代目店主の竹中徹男さんは1963年京都生まれ。大阪の老舗『つる家』で修業した後、1990年から家業の厨房に入りました。
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できたての松花堂弁当

こちらの料理は、館の風情によく似合う伝統を重んじた会席料理が基本。カウンターでいただく天ぷら会席やワイン会席など選択肢は豊富にありますが、昼だけの贅沢としてリピーターが多いのが、松花堂弁当です。

「できる限りで、できたてをお召し上がりいただけるように努めています」と竹中さん。造りはお弁当には込めず、最初の一皿として提供。その後に季節の椀物が続き、お弁当が登場する流れ。そのお弁当の中は、炊き物、焼き物、酢の物、ご飯物の4種。提供するタイミングを見計らって焼き物を仕上げたり、炊き物を盛り付けたりしているそう。俵に握られたご飯もほんのり温かく、細やかな気遣いを感じます。

『清和荘』のお造り
松花堂弁当の前に供されるお造りは月替わりで2種。左が二杯酢のジュレと低温で蒸したウニを添えた鱧の落とし。右が醤油のジュレをかけたマグロの焼き霜。
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『清和荘』の椀物
庖丁仕事が冴える牡丹鱧の椀物。天然の利尻昆布と本枯節でとった一番だしは透明感のある旨み。料理に使う水は敷地内に湧くまろやかな軟水〝清和の水″を使用しています。
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『清和荘』の松花堂弁当
ニシン茄子や枝豆ご飯が入ったこちらの松花堂弁当鶴は5500円。さらに天ぷらが付く雅6600円もあります。
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わらび餅とミニパフェで締め括り

お弁当の後はお待ちかねの甘味です。こちらも松花堂弁当に含まれていて、嬉しいことに2種類も登場します。

ひとつは、長年の名物として知られるわらび餅。もちろん清和の水で練り上げています。そしてもうひとつは、ミニサイズのパフェ。クリームチーズを少し混ぜた自家製のバニラアイスに、旬のフルーツと生クリームを添えた洋風の一品です。

部屋の灯りが暗めなのは、庭の緑が映えるようにするための演出。目にも舌にもおいしい日本情緒溢れるもてなしは、心も豊かにしてくれます。