和食な串揚げ、大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』

串揚げ屋のはずが、お造りや手の込んだ八寸のような前菜に、和だしの椀物まで登場。串揚げも、大阪・泉州にあがった新鮮な魚介やなにわ伝統野菜を使って一捻り。“大阪の食文化”をテーマにしたユニークなスタイルは唯一無二。串揚げ×和食×大阪=『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』の楽しいコースの魅力は体感しなくちゃ分からない!

異色の料理人による串揚げ店

店主は、畑島 亮さん。ミナミや北新地の料亭で和食を学び、『USJ』で500人収容のレストランでも経験を積み、フレンチやイタリアンの料理人と交流する中で、ソムリエ資格も取得した異色の料理人です。「色んな経験をした中で、自称でも何かで一番を目指したいと思いまして」。好きで食べ歩きしていた串揚げの店を北新地で仲間と共に開いたのは22年前。大人気を博したけれど、34才になった畑島さんは、「もっと季節感のある料理を出したい」と考え始めたといいます。
そんな折、日本料理の錚々たるメンバーが毎月開く“大阪料理会”という勉強会に誘われ入会。「重鎮の皆さんの中で、僕はちょっと面白い切り口を提案するのが役割」と、魚の肝にカカオを合わせたり、ハモの骨切りを通常とは逆の皮目から施してジューシーな唐揚げを披露して、「なんじゃこれ! オモロイな」と会を沸かせているとか。大阪料理会で得た大阪の食文化の知識や経験を生かして、他にはない楽しいコースをこの店で提供しています。

大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』店主
お髭がトレードマーク。異色の料理人・リョウさんこと、畑島 亮さん。
大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』内観
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旬の味を盛り込んだ和洋折衷の前菜

それでは、春のコースからお料理をご紹介。先付に続いて、前菜盛合せが登場すると、「串揚げのお店だと思ってたのに、これはもう会席の八寸みたい!」と、歓声が上がります。ホタルイカの自家製醤油煮は、あっさりきれいな味わい。菊菜と北寄貝のおひたしに、スモークサーモンと春キャベツは、博多帯の織り柄のように色の違う食材を重ねた「博多」という日本料理の細工を施してあります。かと思えば、そら豆の塩蒸しにはチーズソースを掛けて。和洋を自在に行き来する畑島さんの真骨頂が楽しめます。

大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』前菜盛合せ職人が作る名物・鶉卵の串揚げ
コース1万円は、先付、前菜盛合せ(八寸風)、串揚げ10本、合間に季節の料理をはさんで、ご飯、デザート付き。前菜盛合せは、黄色の器に蛍イカの醤油煮。花型の器は菊菜と北寄貝のおひたし。スモークサーモンと春キャベツの博多はタスマニア・マスタードをのせて。真ん中はさよりの手まり寿司。ソラマメの塩蒸し チーズソースがけ。カブラのズワイガニ味噌のせ。シャンパーニュはシャルル・ド・カザノーヴ・グラス1500円。
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職人が作る名物・鶉卵の串揚げ

活けの車エビや、牛ヘレ肉のシャトーブリアンという希少な部位の串揚げに、名物・鶉(うずら)卵の串揚げは定番。2分ほど沸騰した湯に入れて、氷水に落として半熟に仕上げたという鶉卵が、口の中でプチュッと弾けるのが快感。「鶉卵の黄身がおいしいので、それを味わってもらいたくて工夫しました。半熟の卵を剥くのはちょっと経験が必要。失敗したら?食べちゃいます」とお茶目な畑島さん。
大阪のブランド・犬鳴ポークはお気に入りの食材。トリュフソースとオレンジピールを合わせてあり、赤ワインにピッタリです。

大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』活けの車エビ
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大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』串揚げ
串揚げは、1本ずつ揚げたてが、個性的な皿に供されます(通常は1本ずつ登場)。串を差し込める面白い皿は特注だとか。定番の串揚げを一堂に。車エビ、牛ヘレ肉シャトーブリアンおろしポン酢のせ。ウロコがサクサク、身はふっくらと仕上げたアマダイの鱗揚げ、鶉半熟卵は、キャビアとフレンチキャビア(マスの卵)のせ。犬鳴ポークはトリュフソースとオレンジピールと。コースでは、季節の串が加わわる。スティック野菜も新鮮、白菜やミニトマト、ヤーコン、大根、キューリ、ニンジンなど。季節で変わる。味付けには、モンゴルの岩塩をまろやかにするためブレンドした塩、魚介に合うように白ワインや柑橘類、ニンニクで作った白醤油。串揚げ用にブレンドしたソースの3種を用意。皿は信楽焼の作家に特注。
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大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』茶わん蒸し
コース途中の箸休めならぬ串休めとして。フグの茶わん蒸し。皮をポン酢漬けしたものを載せて。菊菜のソースで。
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「ワインに合う」こともテーマのひとつ

ソムリエでもある畑島さん。「職人が作る串揚げで、ワインに合う串揚げ、そして大阪食文化を感じられる串揚げがテーマです」と、ワインの品揃えもリーズナブルに豊富に揃っています。
場所は、大人の食ストリートとして名高い老松通り沿い。大阪食文化を味わいにぜひ、訪れてください。

大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』外観
2010年オープンした店は、雰囲気はイタリアンのよう。鉄を使ったシャンデリアや家具など、アイアン職人によるインテリアが独自の洒落た空気感を創っています。
大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』アイアン
大阪・西天満『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』個室
個室(6名まで)もあります。事前連絡で貸し切りもOK。
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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。