京都・祇園『凌霄(りょうしょう)』で和食×ワインの愉楽に浸る

セラーに眠るワインはフランス産を中心に700本。例えば、伊勢海老の揚げ物にはシャンパーニュ、海老芋のもち粉揚げには赤ワインを。和食に寄り添うとっておきのワイン提案を楽しめる、ハレの日に相応しい和食店です。

臨場感あるヒノキのカウンター席

花街の風情が色濃く漂う祇園町南側の一角、町家を改装した数寄屋造りの館は、2022年にオープンしました。客席は8席のカウンターがメイン。和洋の調度品でセンスよく整えられた静謐な空間の中、目の前で料理が仕上げられていく様を堪能できます。

『凌霄』外観
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フレンチの技法も交えた柔軟な和食

料理長を務める藤原誠さんは、京都の名店『祇園丸山』で13年修業。それから高台寺にある『高台寺 十牛庵(じゅうぎゅうあん)』で料理長を3年ほど務めてこちらへ。料理人として京都に身を置いて、20年を超えています。

『凌霄』料理長の藤原誠さん
料理長の藤原誠さんは愛知出身。お父様は和食の料理人だそう。
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料理は昼夜共に48400円のコースのみ。先付から刺身、椀物、焼き物、油物など全部で10~12品ほどです。

名店で培った経験を生かすために、昔ながらの伝統的な手法を重んじている藤原さん。刺身では庖丁仕事の冴えや素材の目利きを、椀物では味の軸となるだしのおいしさを真っ直ぐ伝えるために、定番的な仕立てにすると決めています。

その一方で油物や焼き物などには、さりげなくフレンチの手法を交えることを厭(いと)いません。場所柄舌の肥えたお客様が多い中、やりすぎない程度の新味を意識したコース構成になるよう工夫をしているのだと話します。

『凌霄』の椀物
甘鯛と丸大根の清汁(すましじる)仕立て。マグロ節と利尻昆布の清らかなだしに、焼いた甘鯛の香ばしさがコクを添えます。
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『凌霄』の先付
先付、伊勢海老の生揚げ。焼いた伊勢海老の殻の香ばしさを油に移し、卵黄と合わせてソースにするアイデアはフランス料理の手法から。伊勢海老の身は軽く油に通してレアに仕上げています。
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セラーに眠るワインは700本!

和食とは思えない膨大なワインの揃えも、楽しみどころです。専用のセラーを用意する約100本のシャンパーニュを始め、ブルゴーニュやボルドーなどフランスの銘醸地を中心に約700本をコレクションしています。

セレクトはソムリエにお任せすれば安心。例えば、先ほどご紹介した伊勢海老の生揚げなら、シャルドネ100%のキリっと辛口のシャンパーニュ。海老芋のもち粉揚げなら、果実味豊かなブルゴーニュの赤ワイン。センスが光る、とっておきのマリアージュを提案してもらえます。

『凌霄』の油物
手前は海老芋のもち粉揚げにフキノトウ田楽を添えた油物。奥は猪ロース肉とセリ、九条ネギ、ゴボウの炊合せ。合わせたブルゴーニュの赤ワイン、『ルイ・ジャド』の「シャルム・シャンベルタン2003」はボトルで33000円。
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価格が明確な方が安心…という方は、ぜひワインペアリングコースを。7500円から30000円まで、4コースの中から選べます。

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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。