神戸・県庁前『Derire(デリール)』の華やぎと創意溢れるフレンチコース

相楽園の北西、繁華な中心街から離れた場所には、なぜか、神戸を愛する食通が秘密にしておきたいレストランができます。ここ『デリール』も、2022年にオープンして以来ずっと、“いいお店だ”とこっそり囁かれてきた隠れた人気店なのです。

星付きレストランで感動の大切さを学んだ

オーナーシェフの光山龍司さんは、調理師専門学校卒業後、一旦は日本料理の道に進みましたが、その後、路線を変更。イタリアンで働いてから、「フレンチを学びたい」と、御影の名店『御影ジュエンヌ』で長く修業し、料理で感動させることの大切さなど、大きく影響を受けたと言います。その後、『ル レストラン マロニエ』でシェフを務めた後、2022年5月24日に、マダムの奈緒子さんと自身の店をオープンさせました。
気取りのないカジュアルレストランでありながら、「生産者の想いや努力を大切にしたい」と、兵庫県産の季節の食材を多用した料理を月替りで。そして「レストランを気軽に利用してほしい」とコースも、サービス料込みで5000円からとリーズナブルに提供しています。

『デリール』の光山夫妻
昔は空手をしていたという一見強面な光山シェフ、実はおちゃめな性格。「デザートを楽しみに再訪してくださるお客様も多いんですよ」と奈緒子さん。
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『デリール』の店内
閑静な街に似つかわしいエレガントな空間。テーブルがゆったりと配され、落ち着いて過ごせます。
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強く印象に残る、華やかな前菜とデセール!

坂道をゆるゆると上がってたどり着いた『デリール』は、エントランスも店内もシンプルモダン。初めてだと、ちょっと緊張するかもしれません。でも、最初に運ばれてきた前菜に、女性客から歓声が上がります。華やかで、愛らしい!
例えば、メニューに「海老フライ」と書かれた一品。花を飾ったカダイフのパイ仕立ての下には、海老とアメリケーヌソースのジュレ。ビーツのソース、チーズマヨのクリームを付けて味わえば、口の中は、まさに海老フライを食べているかのよう! 毎月メニューは変わるのですが、ある時は前菜が缶詰に入っていたり、冬にはごく小さな器で1人ずつチーズフォンデュを提供したり…。光山シェフの遊び心が感じられて、最初の一皿目からワクワクさせられます。

『デリール』の前菜
料理は昼5000円のコースから。前菜「海老フライ」。エビとソースアメリケーヌのジュレを重ね、トップのカダイフのパイ仕立てでフライの食感を、チーズマヨのクリームでタルタルソースをイメージ。口の中はまさにエビフライ!
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『デリール』のメイン
メインは、鹿児島県産六白黒豚のロースト 赤ワインソース。サツマイモ、玉ネギ、椎茸などの兵庫県宍粟市の無農薬野菜を添えて。緑茶塩で。ピュレは新玉ネギとジャガイモ。
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兵庫県宍粟市の無農薬野菜をたっぷり添えたメイン料理も、ソースや添えてある塩にまでこだわりがあって美味しく味わえます。そして、お楽しみは最後にも用意されていました。そう、デセールです。取材時は「メレンゲ パイナップル カシス」。グレープフルーツのムース、パイナップルのマルムラード(ジャム仕立て)、バナナのソルベのヴァシュラン仕立て、白桃とホワイトチョコのクーリ(ソース)、レモンのクリーム、メレンゲ。様々な味と食感がひとさじごとに次々押し寄せてくる、その楽しさといったら!

光山シェフの創意工夫溢れる前菜とデセールの感動を胸に、「また、来よう!」と坂道を下りながら再訪を誓うのでした。

『デリール』のデセール
デセール「メレンゲ パイナップル カシス」。グレープフルーツのムースとパイナップルのマルムラード、バナナソルベのヴァシュラン仕立て、白桃とホワイトチョコのクーリ、レモンのクリーム、メレンゲという構成。温度も食感も色々の、甘酸っぱい初夏の一品。夏は、定番のトマトのデセールが登場予定。
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