神戸・元町のフレンチ『シェ・ローズ』の夏の風物詩!「桃の冷たいスープ」

口コミの街・神戸で、夏が来ると聞く、「シェ・ローズの桃のスープ、知っとう?!」。
『シェ・ローズ』といえば、神戸を代表するフレンチレストラン。そこで提供される夏の定番スープは、リピート必須の垂涎の味です。

27年目を迎えたフレンチレストラン

神戸を象徴する坂道・トアロードに面したフレンチレストラン『シェ・ローズ』は、今はなき名店『ジャン・ムーラン』で修業された佐藤義明シェフが1998年に独立オープンした店。創業以来、夏季限定で提供しているのが、「桃の冷たいスープ」です。

『シェ・ローズ』の外観
元町駅からトアロードを上ること約10分。北野の街に馴染んだグリーンのファサードが目印です。
『シェ・ローズ』の佐藤義明シェフ
オーナー・シェフの佐藤義明さんは、北野にあった『ジャン・ムーラン』の美木 剛シェフの薫陶を受けて35歳で独立。その優しい人柄も坂の上のレストランに多くの人が通う理由のひとつです。
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溺れたいほどハマる桃のスープ

佐藤シェフが独立した際に「看板料理を作りたい」と考案したのが、完熟桃とビーフコンソメの相性を愉しむこのスープ。「私が桃好きで、当時流行っていた“生ハムメロン”から発想を得たのが始まり。それからずっと試行錯誤を重ねています」と言うとおり、毎年マイナーチェンジを繰り返しながら作り続けているそうです。現在は、甘く熟れた桃とヨーグルトシャーベットをキンキンに冷やしたミキサーで撹拌したスープに、味変でビーフコンソメのジュレをかけるスタイルに。

取材時はまだ実が硬めの走りの桃でしたが、口に入れた瞬間に濃密な桃の香りが広がり、外の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれる清涼感。コンソメジュレを加えると、桃の上品な風味が厚みを増して際立ち、添えた岩塩やブラックペッパーが程よいアクセントとなっています。

「梅雨明けからが本番。神戸市西区の桃から始まり、和歌山、福島、山梨など産地を変えながらその時期の糖度の高い桃を使用します。暑くなればなるほど、甘くてねっとり濃厚な味になるんです。お代わりを所望される方や、『どんぶりで飲みたい!』、『このスープの中で溺れたい!』とおっしゃる方もいらっしゃいますよ」と笑顔の佐藤シェフ。今夏の提供は、7月15日~9月1週目頃までの予定。初めての人は神戸っ子垂涎の味を、馴染の人は今年の味を確かめにぜひ。

『シェ・ローズ』の桃の冷たいスープ
まさに癒しの味!夏限定の「桃の冷たいスープ」。昼4000円台のコースと夜6000円台のコースに付くほか、他コースでもチョイスかプラス料金で楽しめます。
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凜とした料理と温かいもてなし

27年の歴史の中で磨かれ、深化するのは他の料理も同じ。「素材をどう生かすか、それだけを考えています」と、佐藤シェフは、その日仕入れた食材に最適な調理法を見極め、対話するように一つひとつ丁寧に、かつ無駄のないリズミカルな動きで料理を作り上げていきます。

この日いただいた「鮎のリエット」は、ほぐした鮎の身に鴨フォアグラのテリーヌを合わせていて、鮎の肝の濃厚な香味が利いた野趣溢れる味わい。添えられたトウモロコシの甘みやオクラのふくよかな香りや食感にも驚かされます。「炙り鱧と活け蛸のサラダ」は、旬魚介の力強い味と食感が直球で楽しめる一品。また、シェフお気に入り食材のスペイン産ガリシアポークは、炭火と低温調理を駆使して絶妙に火入れしたピンク色の身から溢れる旨みに溜息が出るほど。

どの料理も、優しい味付けながら凜とした強さがあり、香りや食感のプレゼンテーションが絶妙。その緩急ある料理をコースで楽しめるのがこの店の醍醐味です。調理のアシストは娘の智美さん、サービスはマダムの真由美さんと、息の合った温かい家族のもてなしにも心がほどけ、上質な癒しの時間が過ごせます。

『シェ・ローズ』の鮎のリエット
夏野菜を添えた「鮎のリエット」。野菜と魚のブイヨンにトウモロコシのピュレを合わせたソースが、鮮やかな夏の味を彩ります。夜13860円(全10品)のコースより。
『シェ・ローズ』の炙り鱧と活け蛸のサラダ
沼島の鱧と明石の蛸を使った「炙り鱧と活け蛸のサラダ」。ゴーヤなどの夏野菜と柑橘入りのドレッシングが、魚介の力強い旨みを引き立てます。夜13860円(全10品)のコースより。
『シェ・ローズ』のガリシアポークの黒酢ソース
脂身が甘くてしっかり噛み応えがあるスペイン産ガリシアポークは、熟成バルサミコのソースを合わせ、爽やかな実山椒をアクセントに。夜13860円(全10品)のコースより。
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『シェ・ローズ』の店内
こぢんまりとした温かい雰囲気の店では、オープンキッチンでの調理も身近に感じられます。14名までの貸し切りも可能。
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