
真っ当においしい!正統派ビストロ、大阪・天満橋 『ル・ビストロ クードポール』
蔦が目印の居心地良いビストロ
天満橋駅から谷町筋から少し西へ。静かな一画に、蔦の緑が目印のお店があります。「この蔦は開店のときに植えたものです。初夏にはバラもたくさん咲くんですよ」と、“イケオジ”なオーナーの田中悦男シェフ。扉を開けると、気軽なカウンター席。奥には、アンティークなキャビネットを配した落ち着いたテーブル席が余裕をもって配されています。創業以来40余年、たくさんのゲストの美味しかった記憶、楽しかった思い出が降り積もっているような、温かな空間です。
伝説のペンションでキャリア・スタート
長野県白馬村にあったペンション『ベル・プレ』の名をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。時は1970~80年代。当時、脱サラして田舎暮らしをしたい人々がこぞってペンションを始め、一大ブームとなっていました。そんな中、『ベル・プレ』は、プロの料理人で、京都で自分の店を営んでいた胡(えびす)英二郎さんが始めたとあって、料理の質が高く、メディアに盛んに取り上げられていました。今ならオーベルジュと呼ばれたはずです。
そんな『ベル・プレ』に、若き日の田中シェフが飛びこみました。サーフィンやスキーなどアウトドア・スポーツが大好きだった田中シェフは、友人の紹介で白馬のペンションにアルバイトに行き、そこで『ベル・プレ』の主・胡氏と運命的に出会ったのです。「カッコイイ人でね。この人の元で料理人になりたいと思ったんです」。大学を中退して、田中シェフのキャリアがスタートしました。
胡氏の元で5年ほど腕を磨き、故郷の大阪に戻った田中シェフは、ミナミや北新地のフランス料理店を経て、1983年、29歳という若さで独立。タンシチューや牛バラ肉のビール煮込み、スモークサーモンなど、胡氏から薫陶を受けた料理は、田中シェフに今も大切に受け継がれています。
素直においしいと思えるビストロ料理
「伝統料理って、おいしいからずっと残ってる。こういうのが好きやね」と田中シェフが話す料理の一つが、開店当初から作り続けている鴨のコンフィ。ランチのメインディッシュとして、骨付きのもも肉1本が1人前に大盤振る舞い。これぞビストロです。
「元々フランスの保存食。油に漬けて壺に入れて地下室に貯蔵してたものですよ」。気取って食べる必要なし。骨周りのおいしいお肉もかじりついていただきます。しっとりジューシーな身は絶妙の塩加減で、赤ワインとの相性抜群。
田中シェフの料理は、老若男女、どんな人も素直に「おいしい!」と笑顔にさせる、原初的なパワーが漲っているようです。
夏場になると常連客たちが、今か今かと心待ちにしてきたお楽しみが解禁。冷たい桃のスープです。少しジャガイモを加えて、まったりとした口当たりを作り、白ワイン、ヨーグルトで爽やかな酸味を加えたシンプルな桃のスープは、夏だけの味わい。冬のオニオングラタンスープと双璧を成す人気メニューです。
「シンプルでおいしい方がええんちゃう?」。
田中シェフの何気ない言葉に含蓄があるのは、40余年の間、いつも真摯に料理に向き合ってきたからに違いありません。今も休日はテニスを楽しんでいると言う田中シェフ、71歳。まだまだ元気溌剌です。
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- 店名
- ル・ビストロ クードポール
- 住所
- 大阪府大阪市中央区船越町1-3-5 ザ・マーキュリー愛晃ビル1階
- 電話番号
- 06-6941-8577
- 営業時間
- 12:00~13:30LO(土・日曜、祝日は11:30~)、18:00〜20:00LO
- 定休日
- 月曜、日曜夜、祝日不定休
- 交通
- 各線天満橋駅から徒歩6分
- 席数
- カウンター5席、テーブル20席
- メニュー
- ランチ1100円、3520円、4840円、ディナーコース5500円、8800円、11000円、14729円~、アラカルト880円~。グラスワイン880円~、ボトルワイン4400円~。
- https://www.instagram.com/queue_de_porc
- 備考
- 夜のみサービス料5%別。
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