京都・清水五条『汽[Ki:]』でレバノン料理を朝8時から

明治半ばに建てられた古民家をリノベーションした高瀬川沿いのカジュアルレストランでいただけるのは、聞き慣れないレバノン料理。野菜と豆類を主体にレモンやハーブを利かせた中東の味を早朝から味わえます。

垣根のないレバノン料理専門店

「お酒を飲む人もそうでない人も。どんな世代でも、どこの国籍でも。誰もが一つのテーブルを囲み合える場所を作りたくて」と、想いを語るオーナーの長野浩丈さん。フランス料理ひと筋に四半世紀を超えるキャリアを積んできた長野さんが、日本では馴染みのないレバノン料理を選んだのも、理由はそこだとか。

「食材は野菜や豆類中心で、レモン、オリーブ油、ニンニク、ハーブを多用するのがレバノン料理の特徴。レバノンからの移民が世界各地に広げた味は、気取りがなくてヨーロッパや欧米では軽食としてかなりポピュラーな存在。多様性があってどこかヘルシー。間口が広い料理なんです」と言葉を続けます。

『汽[ki:]』外観
店があるのは清水五条駅から少し南西に歩いた、鴨川と高瀬川に挟まれた木屋町通沿い。オープンは2021年です。
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『汽[ki:]』オーナーの長野浩丈さんと料理長の西川勇作さん。
タッグを組んで20年近くになるという、オーナー・長野浩丈さん(写真左)と料理長の西川勇作さん。長野さんがレバノン料理に出合ったのは、フランスでの修業時代だそう。
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『汽[ki:]』店内
長野さんの祖母の生家をリノベーションしたフォトジェニックな店内は、石造りのカウンターと奥に長い大テーブルがひとつだけ。おいしい交流の場になるよう意識した造りです。
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朝昼はピタパン付のプレートが主役

朝昼共に、食事は‟メゼ“と呼ばれる前菜的な小皿料理とメインを盛り合わせたプレートに、自家製のピタパンが付くセットが主体です。

メインはスモークチキン、ひよこ豆と数種類のハーブやスパイスを使ったコロッケ風・ファラフェル、その両方の3種から選択するスタイル。
メゼの内容は季節替わりで、赤キャベツのラズベリービネガー和えやキャラウェイが香るザワークラウト、ひよこ豆のフムスなどが6種ほど。これらをギュギュっとピタパンに詰めていただきます。

『汽[ki:]』のチキンとファラフェルのプレート
チキンとファラフェル1900円。ズッキーニなど、季節のスープ付き。ファラフェルの下にはレンズ豆のピラフが潜んでいます。※昼はスープなしでピタ3枚付きになり、2400円。
『汽[ki:]』ピタパンイメージ
ピタは国産小麦にジャガイモを練り込んだ生地をひと晩発酵させて、しっとりした食感に。写真の様にたっぷり詰めるほど、多彩な食感や酸味、ハーブやスパイスのハーモニーを楽しめます。
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循環や調和を意識した取組み

自身の店で使うための野菜作りを始めて10年近く経つ中で、自然環境への配慮が年々高まっているという長野さん。
ピタパンが灰色なのは、野菜の皮などを薪窯で炭化させたパウダーを生地に混ぜ込んでいるから。スモークチキンは、薪窯ならではの残り火を生かし、薪でじっくり燻しているそうです。

また、ガラス張りの入り口と天窓からの採光を主な灯りにしているのは、エコな姿勢に加えて「日差しで変わる景色も楽しみの一つに」という考えも。さりげない自然との調和が素敵です。

『汽[ki:]』の薪窯イメージ
窯の熱源は薪と炭。鶏ムネ肉で作る自家製スモークチキンはあっさりしていますが、旨みも香りも奥深いです。
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『汽[ki:]』のカウンター
逆光が生むスタッフのシルエットが、なんとも画になります。
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夜はアラカルト注文もOK

2025年9月からは、アラカルトを頼める夜営業を再開。シャワルマという串焼きやパセリのサラダ・タブレ、クスクスのサラダなど、カウンターに並ぶ10種類前後の一品料理を選ぶスタイルに変わります。

昼とはガラリと変わる景色を楽しむのも、また一興。
レバノンを中心にした中東産のワインはもちろん、自家製コーディアル(シロップ)を使ったノンアルコールドリンクも充実しています。

朝飲みも夜のカフェ利用も大歓迎。
時間も楽しみ方も自由に選べるレストランは、多彩な顔触れで賑わっています。

『汽[ki:]』のラムシャワルマ
ラムシャワルマ1800円。コリアンダーやクミン、レモンタイムなど10種類以上のスパイスやハーブを利かせたヨーグルトで一晩マリネしてから串焼きした料理です。添えてあるのは、赤唐辛子やハーブの自家製ペースト。
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『汽[ki:]』のファラフェル
自家製の塩レモンや空豆ペーストが隠し味。人気のファラフェルをあえてアラカルトで頼んでつまみにする方も多いそう。
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