『キッチンぽっと』京都・北山で50年続く、庶民派手作り洋食の店

学生時代のアルバイトをきっかけに洋食料理人になった小泉信さんが始めたレストラン。近くに住む大学生のため、安くてボリュームのある料理を作り続けて50年が経ちました。今も開業当時と同じように、じっくり手を掛けて作るハンバーグやエビフライを目当てに、日々多くのファンが訪れています。

ずっと変わらない“ぽっと”できる空間

初夏にカキツバタが美しく咲くことで知られる太田神社のすぐ近くで、50年前の1975年にオープンした洋食店。オーナーシェフの小泉 信さんは学生時代に洋食店でアルバイトしたことをきっかけにその店に就職。腕を磨いて27歳で独立しました。

「当時、北山の辺りは今のような住宅密集地ではなくて、のどかな田園地帯でした。その合間にポツンポツンと建つ下宿にはお金のない大学生が住んでいて、いつもお腹をすかせていた彼らのために安くておいしい手作り洋食を出す店を始めました」。

店前の駐車場には、湯沸かしポットのイラスト入り看板が掲げられていて、今では目印になっていますが、店名を考えた当初の意味は“ぽっとできる店”。そんな理由から“ぽっと”は平仮名で表記しています。

木をふんだんに使った欧風の店内は創業当時とほぼ変わらず。十数年前、奥にもテーブル席を増築したため、よりゆったり過ごせるようになりました。

「近年はこの辺りに住む学生は減りましたが、昔、学生だった人たちが今度は家族を連れて通ってくれています」。

京都『キッチンぽっと』外観
店を始めた50年前、辺りは田畑ばっかりだったそう。
10
京都『キッチンぽっと』店内
赤いテーブルクロスが印象的な店内は常に多くの客で混み合う。遠方から訪れる、かつての“学生さん”も少なくない。
10

昼も夜もメニューは迷うほど多彩

京都『キッチンぽっと』ぽっと弁当
ぽっと弁当1050円。出来たてのホカホカが運ばれてくるぽっと弁当は、長年にわたって開店当初と変わらない価格を維持してきたが、最近、ついに値上げ。それでも1050円は破格。食後のコーヒーは+150円。ミニアイスクリームは+200円で終日追加できる。
10

名物メニューは、瓢箪型の容器で昼のみ提供されるぽっと弁当。蓋が閉まらないほどのボリュームも人気の所以です。茶碗2杯分以上あるご飯の横には、オーダーが通ってから生パン粉をつけて揚げるプリプリのエビフライ、自家製デミソースを掛けたミンチカツ、豚ロース肉の天ぷら、サラダなどがぎっしり詰められています。

「ウチのデミソースには赤ワインをたっぷり使います。無くなりかけたら仕込んで追い足ししている自慢の味です。仕込みは朝8時から。手伝ってくれるスタッフもいますが、作業のほとんどは私がやっています」。

京都『キッチンぽっと』コンビセット
好きなメインが2品選べる、夜のコンビセットは1250円。「価格が維持できるのは、長年付き合っている仕入れ先が支えてくれているから」と小泉さん。コンビは、ヒレカツ・チキンカツ・ハンバーグ・エビフライ・イカフライ・唐揚げ・フィッシュフライ・ビーフカツ(+250円)・エビクリームコロッケ(+100円)から2品選べる。
10

昼夜共にアラカルトも迷うほどバラエティ豊か。ほぼすべてのメニューがテイクアウト可能ですが、週末はかなり込み合うので早めの予約がベターです。

京都『キッチンぽっと』オーナーシェフの小泉信さん
オーナーシェフの小泉信さん
10