
『京都くりや』自然の風味を大切に、郷愁をそそる栗の菓子
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丹波の幸をふんだんに使う和菓子が並ぶ
京都・丸太町通に面して建つ店舗に掲げられている堂々たる木製看板に書かれているのは店名ではなく、看板商品である栗納豆「金の実」。大粒の国産栗をじっくり炊き、5~6回蜜漬けを繰り返してから乾燥させる、手間入りの逸品だ。
黄金色に輝く姿はまさに「金の実」。表面のシャリシャリ感と栗自体のホックリ食感は、日本茶はもちろん、コーヒーや紅茶との相性も抜群。和のマロングラッセとして、通年で幅広い世代に支持されている。
園部町の本家から分家して店を構えたのは100余年前。丹波産大納言小豆で作るつぶ餡と栗を挟んだ「栗どら」、栗の形が愛らしい最中「山の端」、栗がごろごろ入った「栗羊羹」など、丹波の豊かな自然に思いを馳せたくなる和菓子が並ぶ。
秋冬の一番人気は栗おはぎ
「栗の収穫期である晩秋は寝る暇もないぐらい忙しいですね」と3代目店主の山名清司さんは苦笑する。産地から届く栗を「金の実」に加工する作業に加え、多くのファンが待ち焦がれる季節限定の「栗おはぎ」も仕込まねばならないからだ。
「栗おはぎ」は、栗の実から作る餡でもち米を包むシンプルな和菓子。
「かつて日本各地で行われていた、秋の収穫を祝うために亥子の日に作るぼた餅がルーツだと聞いています。♪亥子のぼた餅 祝いましょ 蔵に千石積むように…♪などと歌いながら歩く子どもたちに渡していたそうです。ハロウィンに似ていますよね」
そんな郷土菓子をプロの味に進化させたのは初代。鬼皮ごと茹でた丹波栗を割り、中身をていねいにこそげる際、渋皮も加えることで味の奥行きを出している。グラニュー糖などを混ぜて練る栗餡作りは、山名さんが早朝2時から1人で行っている。
しっとり、みずみずしい栗餡は、秋の訪れを告げる風物詩的存在だ。
「私がこの仕事を始めた30年ほど前はお盆明けには栗が収穫できたのですが、今は9月半ばからと、作り始める時期が1ヵ月ほど遅くなりました。だからこそ販売開始を今か今かとお待ちいただいているお客様が多くいらっしゃるのは本当に有難いです」
data
- 店名
- 京都くりや
- 住所
- 京都府京都市中京区大文字町42−4
- 電話番号
- 075-231-4564
- 営業時間
- 9:00~18:00(日曜・祝日は10:00~15:00)
- 定休日
- 月曜
- 交通
- 地下鉄丸太町駅から徒歩8分
- メニュー
- 金の実 袋入り(6個)1373円~、栗おはぎ1個302円~。
- 公式サイト
- https://kyoto-kuriya.jp/
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