京都・伏見『花吹雪』日本酒もワインもイケるアバンギャルドな小料理屋

伏見の日本酒「蒼空」をこよなく愛しながら、国産ワインやリキュールも幅広くスタンバイ。鯛の麻婆豆腐風や自家製ツナのパスタなど、自由奔放な酒肴が待ち受ける通好みの小料理屋です。

酒処・伏見で約20年

伏見と言えば、日本を代表する京都の酒処のひとつ。2007年開業の小料理『花吹雪』があるのは、日本酒「蒼空」で有名な『藤岡酒造』のすぐ近く。京阪電車の丹波橋駅と伏見桃山駅のちょうど真ん中あたりです。

『花吹雪』外観
漆黒の瓦壁に柿色の暖簾を配したやや重厚な店構えが目を惹きます。
10

カウンターにズラリと置かれているのは、リキュールやジン、グラッパなどの洋酒。奥の冷蔵庫には伏見の日本酒「蒼空」がレアな銘柄も含めて常時15種類以上。シックな外観といささかマニアックな酒の揃えに反して、店内はラフな雰囲気。そのギャップが何だかワクワクします。

『花吹雪』店主の大山貴弘さん
店主の大山貴弘さんは京都・八幡市出身。調理師専門学校を卒業後に、宇治の寿司屋や創作ダイニングでの修業を経て独立。奥様と共に選び抜いた酒は、日本酒だけで20種、ワインは100本以上をストックしています。
10

自由奔放な創作つまみが魅力

気になる料理はアラカルトが基本で、常時50種類ほど。品書きを開くと、揚げ出し豆腐や鶏の唐揚げ、だし巻きなどの定番に加え、おつまみ塩ピザ、カボチャとキノコのキッシュ、麻婆豆腐まで勢揃い。

驚くほどのバラエティ感に悩みますが、ここでは和洋様々な飲食店で料理を学んだ大山さんならではの創作料理をオーダーするのが大正解。食材や調理法の組合せやワインとのペアリングなど、ちょっと他にない様々な‟出合い“を楽しめます。

『花吹雪』のヒラメの利休揚げ
白ゴマと黒ゴマをたっぷりまぶしたヒラメの利休揚げは1200円。ほんのり甘い柿のすり流しを絡めていただく仕立てが斬新です。お供に選んでくれた日本酒は「蒼空 美山錦 純米」100㎖600円。「香り控えめながら旨みが豊かで、食中酒に最適です」と大山さん。
『花吹雪』の鯛の薄造り 麻婆豆腐仕立て
「生魚が苦手な方にも喜んでもらえるように考えました」という鯛の薄造り 麻婆豆腐仕立て1350円。豆腐替わりに使っている汲み上げ湯葉のクリーミー感が、程よく火が通った鯛と抜群の相性を奏でます。優しい辛さで、果実味豊かな甲州産の白ワイン「ハナミズキ・ブラン」100㎖700円と意外なほど馴染みます。
『花吹雪』の鯛の角煮挟み焼き
鯛の角煮挟み焼き1080円。鯛の切り身に甘辛い豚の角煮を挟むという奇想天外な一品。豚バラ肉の濃厚な脂をあっさりとした鯛が抱くことで、不思議なおいしさが生まれます。ブロッコリーのスプラウトやミョウガなどたっぷりの野菜と共に。
10

「店を開いた頃は割と普通の割烹だったのですが、気が付いたら今のようなスタイルになっていました。おいしそうな組合せや調理法を考えているだけなんですけどね」。カウンターの中で屈託なく笑う大山さん。ソムリエ資格を持つ奥様と共に好みの酒を探し集め、それに合う酒肴を考えているうちに、自然と創作料理が増えていったそうです。

締めの定番はパスタ

ソーセージケチャップチャーハンや豆腐雑炊など、締めのメニューもそそるものばかり。またも選択に悩みますが、特に注文率が高いのが“本日のパスタ”です。

カウンターのアクリル板に手書きでアナウンスしているパスタは、シンプルなトマトソースやペペロンチーノの定番を含めて常時5種ほど。自家製ツナとウイキョウのスパゲティを頼めば、これまたワインにも日本酒にも合う見事な酒肴。締めるつもりが、ついつい長居してしまうおいしさなので要注意です。

『花吹雪』の自家製ツナとウイキョウのスパゲッティ
自家製ツナとウイキョウのスパゲッティ1700円。ウイキョウのシャキシャキ感と涼し気な香りが爽やか。「味にコクがあるので、オイルパスタとよく合いますよ」と大山さんがすすめてくれたのは、「蒼空 特別純米生原酒 短稈渡船(たんかんわたりぶね)」100㎖740円。
10