魚介×トマトの一体感。大阪・本町『SPICE STAND TONGARI』のスパイスカレー。

スパイスカレー屋がひしめく大阪・本町エリアで、「わかりやすく見た目をとんがらせた」と話すこの皿は、山形のご飯が目印。インパクトある見た目の奥には、魚介出汁と自家製トマトソースの優しく奥深い味わいが広がる。

本町に現れた新星カレー

本町駅から徒歩約5分。スパイスカレー屋が軒を連ねるエリアに、新たに現れたのが、『SPICE STAND TONGARI』。もともと難波で間借り営業をしていたが、2025年にこの地に自店を構えた。

『SPICE STAND TONGARI』外観
『SPICE STAND TONGARI』内観
店内は、アメリカのダイニングバーのような雰囲気。
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店主は、もともとバーテンダーやDJ、建設業など、異業種でキャリアを積んできた野村勝さん。「実家が農家ということもあり、生きるうえで一番大切なのは“食”だと改めて感じて。それがお店を始めたきっかけです」と振り返る。

『SPICE STAND TONGARI』店主・野村勝さん
伊丹出身・鹿児島育ちの野村さん。実家では鶏や牛も飼っていたといい、豊かな食環境の中で育った。
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もともと料理好きだったそうだが、スパイスカレーの店を開くにあたっては、何度も試作を重ね、味のバランスを探り続けた。そうしてたどり着いたのが、仕込みに3日かけて完成させる特製スパイスカレーだ。

味の決め手は、魚介の出汁と、自家製のトマトソース。出汁は、新鮮なタイやヒラメなどのアラ、鰹節、野菜を丁寧に煮出して作る。トマトソースは、トマトや生姜、ニンニク、野菜を白ワインでじっくり煮込んだイタリアン風。

それぞれ作った後に1日寝かせて熟成する工程も挟むため、仕込みだけで3日を費やすという。その丁寧な工程が、深みのある味わいを生み出している。

看板メニューは3種のスパイスカレー

スパイスカレーのラインナップは、「トンガリビーフキーマ」「サワーチキン」「ポークマン」の3種。なかでも人気は、「トンガリビーフキーマ&サワーチキン」のあいがけだ。ホールスパイスを使ったキーマは、口の中で弾ける香りが心地よく、サワーチキンはヨーグルトの酸味がまろやかに広がる。対照的な2つの味を混ぜて食べると、また新しい一体感が生まれる。

ピーマンやパプリカのアチャール、リンゴ、ジャガイモなど、付け合わせの野菜が盛りだくさんで、味変も楽しめる。「大葉は小さくちぎってカレーと一緒にどうぞ」とおすすめ通りに食べると、大葉の香りが鼻を通り、カレーとも相性抜群。

『SPICE STAND TONGARI』トンガリビーフキーマ&サワーチキン
トンガリビーフキーマ&サワーチキン1450円(ディナータイムは1600円)。
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『SPICE STAND TONGARI』スパイスカレーのメニュー
カレーは、ご飯の量や辛さが選べる。また、チーズや半熟卵のピクルスなどトッピングも多様。
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夜限定のロモ・サルタード

夜は酒を片手にスパイス料理を楽しめるダイニングバーに。
野村さんが「初めて食べた時に衝撃を受けたんです。おいしいから広めたくて」と、目を輝かせながら話すのは、ペルー料理のロモ・サルタード。牛ステーキ、オニオン、トマト、フライドポテトを、ペルーの醤油とスパイスでフランベして仕上げる一皿だ。中華鍋でサッと炒める瞬間、立ち上る香ばしい香りに食欲がそそられる。

南米料理でありながら、アジアからの移民も多く中華料理の影響を受けたこの料理。エスニック感がありつつも日本人の舌にもなじむ味わい。醤油の香りをまとったステーキ肉はご飯との相性が良く、気づけばあっという間に完食してしまう。

『SPICE STAND TONGARI』ロモ・サルタード
ロモ・サルタード2500円。ロモ・サルタードは夜限定メニューだが、不定期でランチにも登場。
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『SPICE STAND TONGARI』野村さん
レシピは、友人のペルー人シェフから教わったそう。「たまに抜き打ちで食べにきますが、いつも『GOOD』と親指を立ててくれるので、シェフお墨付きです」と、野村さん。
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『SPICE STAND TONGARI』ブラックニッカ、ジャックダニエル、黒霧島など
夜はブラックニッカ、ジャックダニエル、黒霧島など幅広くラインナップ。
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