日本料理店の仕事と美学を感じる天ぷら。大阪・箕面『天麩羅うえの』
国定公園を望む、風光明媚なカウンター席
大阪府箕面市の国定公園の一角にある箕面公園。83.8 ヘクタールもの敷地内には『日本の滝百選』に選定される箕面大滝や子供たちから大人気の『箕面昆虫館』が。
四季折々の豊かな自然を求め、散歩やハイキングを楽しむ地元住民や観光客など、幅広い世代に親しまれている。
そんな箕面大滝へと続く滝道に、2025年4月、新たな天ぷら専門店が誕生した。
展開したのは1998年の開業以来、北摂で愛される日本料理店『一汁二菜うえの』。箕面店の隣にあった『カフェ&ギャラリー ゆずりは』を建物の2階へと移転し、その跡地を『天麩羅うえの』としてリニューアルしたのだ。
開業のきっかけは「本店や箕面店のコースに登場する天ぷらを喜んでくださるお客様が多く、もっとゆっくり天ぷらを楽しみたいと言っていただくことも。そこで、夜は営業していなかったカフェを建物の2階へ移し、1階のカウンターを天ぷら専門店とすることにしました」と若主人の上野純平さんは話す。
高温でサッと揚げる技術にこだわり
店内に足を踏み入れた瞬間、目を奪われるのは朱色に輝く輪島塗のカウンター。希少なぶ厚い一枚板に、輪島の漆職人が泊まり込みで幾重にも漆を塗り重ねて完成させたというまさしく工芸品だ。
そんな輪島塗の舞台に立ち、箕面の緑を借景に天ぷらを揚げるのは若き料理長の濱田和希さん。
一般的に天ぷらは180℃前後で揚げることが多いが、濱田さんがこだわるのは200℃の高温の油でさっと揚げる技術。
クリアな太白ゴマ油をベースに甘みのあるコーン油を配合したブレンド油を高温にし、瞬時に衣を固めることで素材自身が持つ水分をキープ。素材の魅力が伝わるようジューシーかつ中心レアに仕上げる。
「天ぷらは蒸し料理。揚げる素材はもちろん、その日のお客様の数によっても油の温度が変化するため難しく、火入れのベストを追求することが楽しいですね」と濱田さんは話す。
日本料理店のイズムが随所に
注目したいのは、随所に輝く日本料理イズムだ。
例えばサツマイモならば、サツマイモを蜜煮にする日本料理「丸十」を天ぷらに。下仁田ネギの天ぷらには鶏味噌をのせて提供。キンメダイは、中心をレアに仕上げて半分に切りスダチを絞り、カマスなら幽庵地に漬けてから天ぷらに…と日本料理の仕事が垣間見える。
10種のうち6〜7割はシンプルに季節の素材を味わう天ぷらを。3〜4割は日本料理の仕事を施したここだけの天ぷらが登場するのが嬉しい。
その他、先付けや一品料理には酢の物など、天ぷらの油脂を切ってくれるサッパリとした料理が登場。
「素材のアクがまわってしまうため、切り置きは一切せず、天ぷらにする直前に切ることから始めます」と、オペレーションから天ぷら1品のクオリティー全てにおいて、日本料理の哲学が通底している。
シメは看板のだしを味わう
コースのシメは、タマネギと桜エビ、三ツ葉をかき揚げにした丼が登場。
揚げたてのかき揚げを、目の前で天丼のタレに沈めると“ジュッ!”っと音がする演出も一興だが、楽しみの真骨頂はここから。
それは天丼を食べている途中で提供される『一汁二菜うえの』看板のだし。
「当店ではお茶ではなく、本店名物のだしを提供しています。そのため、天丼を半分残してもらい、山葵や三ツ葉をお好みで加え、出汁茶漬けにして最後は食べていただきます」と濱田さん。
まずは甘辛く濃厚なタレが絡んだ「天丼」を、続いて清廉な名店のだしを味わう「天茶」を楽しむことができる至福の二段階活用がたまらない。
4月にはカウンター前の借景が藤の花で彩られ、5月は新緑が美しいという。
その他、6月にはすぐ真下を流れる箕面川にホタルが舞い、秋は鮮やかな紅葉が。冬にはシンとした深淵たる雰囲気も格別。
子連れならば、夏の川遊びや昆虫館に足を運ぶというレジャーも。箕面の四季という贅沢な借景と共に、過ごす贅沢な時間を求めて訪れたい。
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- 店名
- 天麩羅うえの
- 住所
- 大阪府箕面市箕面公園2-5
- 電話番号
- 072-737-8072
- 営業時間
- 11:30〜14:00LO、18:00〜20:00LO
- 定休日
- 火曜(火曜日が祝日の場合、翌日休)
- 交通
- 阪急箕面駅から徒歩8分
- 席数
- カウンター7席 (最大10席まで対応可能)
- メニュー
- 昼コース6600円~、夜コース11000円~。
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