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京都の和食店『福やす』で、コク深いだしと旬の食材の出合いに身を委ねる。ひとり17時からチビチビ呑み

独自の手法で引く味わい深いだしを基本に、「ちょうど食べたいと思っていた」旬の食材をふんだんに散りばめてくれるコースが全8品で8800円。ジャズの流れる京都・丸太町『福やす』店内で主の仕事ぶりを眺めながら、冷酒でほろ酔う。

大混雑エリアを避けて、地元民が集うゾーンへ

今や、京都=インバウンドでどこも激混みと思われがちだが、御池通から北は人通り少なめ。リーズナブルに食事が楽しめる地元民が通う良店が軒を連ねる。2023年の夏にオープン、地下鉄丸太町駅からほど近い『福やす』もそんな1軒だ。

厄除けの守り神である鍾馗しょうきさんがにらみをきかせる築100余年の町家。暖簾をくぐると、和食一筋23年の店主・福安雅己さんが出迎えてくれる。

京都・丸太町『福やす』外観
京都・丸太町『福やす』店内
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カウンターに陣取って日本酒のリストをチェックする。あまり強くはないのだが、この日は喉を潤したく、冷酒を見繕ってもらう。かつては日本酒が苦手だった福安さんを開眼させた思い出の銘酒「田酒」の純米大吟醸に決定。上品な香りとすっきりした飲み口が気分とドンピシャだ。

京都・丸太町『福やす』酒
青森湾に面する『西田酒造店』で「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」の思いを込めて醸造される田酒の「秋田酒こまち」バージョン。軽やかな甘みもあって飲みやすい。一合1800円
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数時間かけて煮出す自慢のだしを

一品目の先付は季節の野菜とエビ、イクラにだしのジュレを纏わせる冷菜。歯切れ良い食感のウグイやアスパラに旨み深いジュレが絡み、冷酒を進ませる。イクラとジュレを混ぜ合わせると魅力倍増。旨塩味に箸が止まらなくなった。

京都の和食店『福やす』で、コク深いだしと旬の食材の出合いに身を委ねる。ひとり17時からチビチビ呑み
だしの旨みが堪能できる、キラキラ輝くジュレが食欲をそそる。シャキシャキの山菜を味わうと、体の中から浄化される気分に。
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続く吸物のタネはハマグリの真丈。自慢のだしが染み渡る。

福安さんのだしの引き方は独自に編み出したもの。水出しした利尻昆布のだしを煮立て、旨みが引き出せたら血合いを少し含んだカツオ節を投入。納得できる味になるまで80度前後を保ちながら数時間かけてじっくり煮出す。火入れ時間は日ごとに調節するそうだ。

造りは常に3~4種を盛り合わせ。脂の乗ったマグロにシマアジ、肉厚のコウイカ、モチっとした食感のヒラメ、いずれも「田酒」との相性抜群。酔ってしまうと思いながらも、つい杯を重ねてしまう。

テンポよく繰り出される佳肴に季節を感じる

4品目は香ばしく焼き上げたニジマス。皮目には香り高い木の芽味噌がたっぷり。身を開いて骨を取ってあるので豪快にかぶりつく。付け合わせはタケノコと花山椒の自家製佃煮。春の味尽くしだ。

京都・丸太町『福やす』焼き物
骨を気にせず食べられるニジマス、香ばしい皮と濃厚な木の芽味噌がよく合う。
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蒸し物は、名物的存在のあんかけまんじゅう。この日は、裏漉しして白玉粉を加えた一寸豆の生地でウナギの蒲焼を包み、熱々のあんをかけたもの。レンコンや芋類など、生地に使う野菜は時々で変わるが、一品料理としても人気だ。芯にする食材は、野菜に合わせて鶏そぼろなどを包むことも。暑くなる季節も「ほっこりしてもらえる、温かな料理を一品は出すように」心がけている。

京都・丸太町『福やす』蒸し物
ヒスイ色が美しい、一寸豆のあんかけまんじゅう。熱々をすくうと中から甘辛味の鰻があらわれる。
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揚げ物は、長崎揚がりの白ぐじ。軽く塩を当てて半日ほど寝かせた後、厚めの切り身にして薄く粉をはたき、サッと唐揚げに。

ゲランドの塩と自家製ポン酢が添えられるのだが、「塩をあえて残して日本酒のアテにするお客さんもおられますよ」。嬉しいアドバイスを早速実行。最後のひと口を食べ終わると同時にグラスが空になった。

京都・丸太町『福やす』揚げ物
皮はサクッと、身はホロホロの食感に仕上げる白甘鯛。まずはゲランドの塩で。ポン酢はあっさりした味わいなのでたっぷりつけても大丈夫。
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〆は、昔ながらのおくどさんを使い、羽釜で炊くご飯。自家製のちりめん山椒をパラリ。季節の食材を使う炊き込みご飯になる時もあり、お腹いっぱいと思いつつ、ついお代わりをしてしまう。自家製の白ゴマアイスもきれいに完食し、お腹ははちきれんばかり。「休みの日は道の駅などを巡って、新鮮な食材を探すのが楽しい」と話す福安さん。旬の味をリーズナブルに提供したい、アクティブさの根底にはその思いが流れている。

京都・丸太町『福やす』デザート
生クリーム、卵黄などに練りごまを混ぜて自家製するアイスはねっとり濃厚。ほうじ茶などで作ることもある。
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この日のお会計は8800円のコースに田酒1合1800円を付けて1人当たり10600円。来月に予定している女友達との食事会も『福やす』なら、酒呑みはもちろん、下戸も満足してくれるに違いない。楽しみがひとつ増えたことにウキウキしながら駅に向かった。