京都『西洋茶屋 山本』の、和食材が巧みに融合するデザートコース
京都を味わうデザートコース専門店
JR梅小路京都西駅東口から歩いて3分ほど。ツタに覆われたミステリアスな外観が目を引く『西洋茶屋 山本』は、コアなスイーツファンの間ではちょっと名の知れた存在だ。
開業は2018年で、カウンター5席のみの小人数制。レコード盤からジャズが流れるほの暗い空間は、バーのような雰囲気。デザートコース専門店が今ほどメジャーじゃなかった開店当初からワインペアリングを提案。さらに「京都で出合った美味を和洋問わずに生かしたい」というオーナーシェフ・山本智弘さんの想いの下に、思いもよらない食材とスイーツとの素敵な出合いを教えてくれる。
プロローグは‶甘くない″小菓子
「デザートは、料理の後に頂くのが通常のスタイル。ですから、当店では最初に塩気のある小菓子をお出ししています」と、山本さん。今回注文したのは、最も人気が高い全5品のMenuB4200円。スイーツを楽しむための序章だというコース一品目のアミューズから、思いもよらない変化球が飛んでくる。
三日月形の漆器とガラスプレートに盛り込まれたその小菓子は3種類。ほんのり温かい塩味のパウンドケーキ「ケーク・サレ」の生地に混ぜ込まれているのは、奈良漬けとすぐきだ。
京都で約370年続く『七味屋本舗』の華やかな辛みが鼻に抜ける「七味のアーモンド・キャラメリゼ」は、ビールや赤ワインにも合いそうなピリ辛感。残るひとつ「フラン」は、いわゆるプリンで、和歌山『湯浅醤油』の白醤油を使用。甘じょっぱい味が、みたらし団子のタレを彷彿とさせる。
意外性がありながらハマるおいしさに、つい顔がにやける。
幸せ過ぎる、焼きたてタルト
2品目に洒落た名物チョコ「トリュフのトリュフ」を堪能したら、3品目はアヴァンデセール「ヨモギのプリン」が登場。続いて二者択一のグランデセールという流れ。この日は「和歌山産ブラッドオレンジのチョコレートタルト」を選択。すると、目の前のオーブンから取り出したばかりの熱々で供された。
「焼きたての幸せをぜひ」と山本さん。その特別な味わいは言わずもがな。贅沢な演出にキュンとする。
ノンアルも選べるドリンクペアリング
細部まで手の込んだスイーツもさることながら、山本さんが1品ごとに選定するワインやモクテル(ノンアルコールカクテル)のペアリングも素敵だ。
やるからには本格的にと、ソムリエ資格も習得している山本さん。ワインは産地を問わないフリースタイル。さらに「お酒が飲めない方にもペアリングの楽しさを知っていただきたい」と蒸留器を購入して大活用。ショウガや大葉、ハッサクなどのフレーバーを利かせた自家製蒸留水を使ったこだわりのモクテルは、間違いなくここだけでしか飲めない一杯。希望すればワインとモクテルを織り交ぜたミックスペアリングにも応じてくれるという。
‶山﨑″香る燻製マカロンにて終幕
締め括りのお茶菓子にも、興奮せずにはいられない。当日朝に焼いたばかりのフィナンシェともちもちのカヌレ、実山椒の生キャラメルなど、これでもかと言わんばかりに7種類も登場するのだから。
しかもそのうち一品は、国産ウイスキー「山﨑」を利かせたマカロンを、目の前で瞬間燻製にするプレゼンテーション付き。山本さんの引き出しの多さと溢れ出るサービス精神に、もうときめきが止まらない。
自称?世界一軽いショートケーキ?
MenuBの5品だけで充分な食べ応えだけれど、もしお腹に余力があったらコースに追加したいのが「ショートケーキ」。山本さんが「世界一の軽さを目指した自信作です!」と力説するそれは、口の中で完成を迎える仕掛け。夢のようなフワフワ感に癒される。
コース追加のみで楽しめるショートケーキは1200円。こちらをプラスしても、計9600円。これだけスイーツとドリンクに酔いしえられて1万円以内なら、本望だ。
data
- 店名
- 西洋茶屋 山本
- 住所
- 京都府京都市下京区歓喜寺町19-1七条澤井ビル1階
- 電話番号
- 080-7744-0631
- 営業時間
- 13:00~、15:00~、18:00~の3部制
- 定休日
- 水・木曜、ほか不定休あり
- 交通
- JR梅小路京都西駅から徒歩3分
- 席数
- カウンター5席
- メニュー
- MenuA(2品)2600円、MenuB(5品)4200円、MenuC(7品)6000円。ワインペアリング2杯2100円~、モクテルペアリング2種2100円~。紅茶(ポット)1210円~。
- https://www.instagram.com/patissier.man/
writer
川島 美保
kawashima miho
両親曰く、「生まれた時から食いしん坊」。3歳の頃から庖丁を握り、8歳から菓子作りにハマる料理好き。趣味と実益を兼ねて食メインの編集兼ライターになり、気付けば20余年。酒は弱いが、味は好き。甘いものはいくらでも。食べたいものを好きなだけ食べられる健康的な身体造りを目指し、週2回の筋トレに励んでいる。
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