和菓子とワインが響き合う 京都『和菓子&ワイン 養老軒』での味覚体験
京都の歳時記とともに歩んで
昭和6年、京都・西院の地で創業した『養老軒』は、上用まんじゅうや桜餅といった昔ながらの菓子を通じて、地域の人々の暮らしや季節の行事に寄り添ってきた。
創業者から代替わりを経た現在は三代目・本田順子さんの「和菓子をもっと自由に楽しんでほしい」という思いのもと、新しい発想も積極的に取り入れている。
「どんな味がするんだろうとワクワクするような大福を作りたかった」と語るように、伝統を守るだけではなく、その時代の人々が求める楽しさや驚きにも目を向けながら、京都の和菓子文化を次代へつないでいるようだ。
和菓子の世界を広げる原動力
プロゴルファーを目指していた順子さんの人生が大きく変わったのは、手首のケガがきっかけだった。手術を余儀なくされ、リハビリを兼ねて店を手伝うなかで「お客様に喜んでもらう仕事もいいな」と考えるようになったという。
和菓子の世界に入った頃、二代目が手掛けていたいちご大福はまだ珍しい存在だった。「やるならいろいろなフルーツを使ってみよう」。そんな発想から試作を重ね、創作大福の可能性を広げていった。
さらに、お客様から寄せられた「漬物入りの大福はできないか」という一言をきっかけに誕生したのが「しば漬大福」。店の歴史は、職人の発想だけでなく、お客様との会話からも育まれてきたのである。
和菓子の余韻を深めるワイン
店内には和菓子とともにワインも並び、一見意外な組み合わせながら、この店ならではの提案として多くの人を惹きつけている。
そのきっかけは「ワインがぶどうからできているお酒という程度の知識しかなかった」という順子さんが、資格取得を目指してワインの世界に飛び込んだことだった。
学びを深める中で、香りや酸味、甘味の重なりによって味わいが変化するワインの奥深さに触れ「和菓子にも合うのでは」と発想を膨らませたという。
実際に試してみると、みかん大福と白ワイン、レモンクリーム大福とロゼスパークリングなど、創作大福との相性は想像以上。「こんな楽しみ方があったんだ」という声に後押しされて酒類販売小売免許も取得し、今では和菓子とワインのペアリングを目当てに訪れる客も少なくない。
伝統を守りながら新しい価値を提案する姿勢は、この店を象徴する魅力の一つとなっている。
果実の個性を引き出すために
京都府の「明日の名工」にも選ばれた順子さんは「フルーツが違えば、合わせる餡も違う」と語る。
看板商品のフルーツ大福には、それぞれの果実に合わせた専用の白餡を用意しており、みかんには酸味を引き立てるやや甘めの餡、スイカやメロンには果実の甘さを生かす控えめな餡と、甘さや硬さを細やかに調整。
さらに餅生地も果実の食感に合わせて仕立てており、「絹ごし豆腐のよう」と評されるやわらかな口当たりは、長年の試行錯誤の賜物だ。果実の持ち味を最大限に引き出すために餡や餅を設計する、そんな発想が多くの人を魅了しているのだろう。
和菓子の可能性を広げながら
店頭では母・カズ子さん、姉・雅子さん、そして順子さんが力を合わせて来店客を迎える。「お母さんがおらへんかったら心配するわ」と常連客から声を掛けられることもあるという。長年通う人にとって、この店は和菓子を買う場所であると同時に、人と人が言葉を交わす場所でもあるのだろう。
さらにワインとの出会いを通じて醸造家や愛好家との縁も広がり、今後はまだ広く知られていない和菓子とワインのペアリングの楽しさをより多くの人へ届けながら、新たな商品開発にも挑戦し続けていくという。
和菓子とワインが響き合う新たな世界は、これからさらに多くの人を魅了していきそうだ。
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- 店名
- 和菓子&ワイン 養老軒
- 住所
- 京都府京都市中京区四条通西大路東入ル南側
- 電話番号
- 075-311-3405
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 水曜・木曜(不定休)
- 交通
- 阪急西院駅から徒歩1分
- メニュー
- 完熟みかん大福430円、スイカ大福430円※期間限定、しば漬大福360円
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