和菓子の枠を越えて。 京都『吉村和菓子店』が届けたいもの
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食を見つめ直して生まれた和菓子
ブランド誕生のきっかけは、店主・吉村由依子さんの夫であり『亀屋良長』八代目当主でもある吉村良和さんの病気だった。治療や生活習慣の見直しを経験する中で、日々口にする食べ物について改めて考えるようになったという。
「身体にやさしいお菓子を作れないだろうか」。
そんな思いから始まったのが、こちらの菓子づくりだった。健康志向が高まり始めていた時代背景も後押しとなり、従来の和菓子の考え方にとらわれない挑戦がスタートした。
ただ砂糖を減らすだけでは、おいしい菓子にはならない。こちらが目指したのは、健康とおいしさを両立させることだった。
ココナッツシュガーや甜菜糖などの素材を取り入れながらも、ベースにあるのは老舗が長年培ってきた餡づくりや菓子づくりの技術。和菓子だからこそできる表現を探り続けてきた。
由依子さんは、かつてパリでフランス料理を学んだ経験を持つ。異国の食文化に触れたことは、現在の菓子づくりにも大きな影響を与えているはずだ。
伝統を大切にしながらも、新しい素材や技法を柔軟に取り入れる姿勢。その感覚は、和菓子と洋菓子という垣根を越えた発想にもつながっている。
「和菓子だからこうあるべき」という固定観念ではなく「もっとおいしくできるのではないか」という好奇心から生まれるアイデア。その自由な視点は真似できないだろう。
白餡とココナッツの出合い
同店を象徴する存在ともいえる「美甘玉(みかもだま)」。亀屋良長を代表する銘菓「烏羽玉(うばたま)」から着想を得ながらも「体に愛を向ける和菓子」という新たな発想から生まれた看板商品である。
白餡をベースに、一般的な砂糖ではなく低GIのココナッツシュガーや甜菜糖、ココナッツミルクを使用。やさしい甘さの餡を丸め、外側をココナッツシュガーの寒天で包み、けしの実を添えて仕上げる。
小豆の煮汁から生まれた、驚きの食感を持つ和菓子が「焼き鳳瑞(やきほうずい)〈あづき茶〉」だ。
通常は捨てられることの多い小豆の煮汁を泡立て、メレンゲのような生地に仕立てるという。
これまでの和菓子の概念を覆すようなエアリーな口どけは、一度体験すると忘れられない。手土産として喜ばれるのはもちろん、自分だけの静かなひとときに楽しみたい、唯一無二の一品である。
京菓子に新しい風を吹き込む
「体にやさしい」と「おいしい」を両立するための挑戦は、今も続いている。
現在は京都府立大学と共同し、自然界に存在する希少糖「D-アルロース」を活用した和菓子の研究を進めているという。カロリーがほとんどなく、食後の血糖値上昇を抑える働きが期待される一方で、一般的な健康志向の甘味料にありがちなクセが少なく、豆の風味を引き立てるという特長を持つ。
しかし、素材を変えれば済む話ではない。和菓子は砂糖が味や食感、色合いに大きく影響する繊細な世界だからこそ、新たな素材との相性を一つひとつ丁寧に見極める必要がある。
流行や話題性だけで飛びつくのではなく、自ら食べ続けて確かめながら取り入れる姿勢も同店らしいところ。健康意識の高まりとともに和菓子の在り方も変化するなか、新しい素材や価値観を柔軟に取り入れながら、次世代へ和菓子文化をつないでいく。
その尽きることのない探究心が、これからの歩みを支えている。
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- 店名
- 吉村和菓子店
- 住所
- 京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17番、19番合地 亀屋良長店内
- 電話番号
- 075-221-2005
- 営業時間
- 売店/9:30~18:00、茶房/11:00~17:00
- 定休日
- 年中無休 ※8月23日〜25日、1月1日〜3日を除く
- 交通
- 阪急大宮駅から徒歩5分
- メニュー
- 美甘玉(6個入)972円、焼き鳳瑞〈あづき茶〉(9枚入桐箱)1,523円
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